フロントガラスが凍結したときの対処法|原因・凍結防止・NG行動も解説

メンテナンス

厳しく冷え込んだ早朝、車で出かけようとしたらフロントガラスが凍結していた、という経験が多くなります。フロントガラスの凍結は氷点下に到達する地域に限らず、全国各地で起こる現象です。

今回の記事では、フロントガラスが凍ってしまった時の対処法・対策方法を解説していきます。

フロントガラスの凍結を解消する方法

フロントガラスの凍結を解消する効果的な方法は、以下の4つです。なるべく早く出発できる状態にできる順から紹介していきます。

  • デフロスターを稼働させる
  • 解氷スプレーを使用する
  • アイススクレーパーを使用する
  • エンジンスターターを使用する

それぞれの対処方法を詳しく見ていきましょう。

デフロスターを稼働させる

デフロスター(エアコン)を使って凍結を除いていく対処法です。送風口から温風を送り、車内の曇りを取り除きます。手順としては以下の通りです。

エアコンの除湿(A/C)をオンにする
数分から10分程度待つ

デフロスターを稼働させると車内の空気を循環させることができるうえ、フロントガラスの凍結も解決できて車内も温めることができます。

また、エアコンの稼働と併せてぬるま湯(お風呂の残り湯)を使うと時間短縮にもなります。

凍結の程度によっては更に時間がかかるので、時間に余裕をもって行うようにしてください。

ポイント

再凍結防止のため、ワイパーを動かしながら行いましょう。

解氷スプレーを使う

解氷スプレーは、ホームセンターやカーショップ、オンラインショップなどで購入できるガラス凍結対処用スプレーです。

値段も1,000円前後と比較的手に入れやすい価格帯です。銘柄によって噴射力・解氷力・香りなどに違いがあるので、実際に確かめて購入することをお勧めします。

また、エタノールスプレーでも解氷スプレーとして十分に活躍してくれます。以下の記事を参考に、フロントガラスの凍結を解消してみてください。

車の脱脂にアルコールは使える?脱脂剤以外の方法と効果を解説

自宅でカンタンに作れる解氷スプレーの作り方

解氷スプレーの主成分は消毒用アルコールと同じ成分です。家庭用のアルコールスプレーが普及している中、解氷するためのスプレーを自作することもできます。

解氷スプレーの作り方

消毒用アルコール2:水1の割合で混ぜた液体をフロントガラスの凍結に吹きかければ簡単に溶かすことができます。

ガラスに撥水加工・コーティング加工を施していると、スプレー(解氷のための薬品)の成分によって撥水力が損なわれる可能性があります。
不安であれば、ホームセンターもしくはカーショップの店員さんに相談してみてください。

アイススクレーパーを使う

アイススクレーパーとは、凍結したガラスの表面に付着している雪や氷、霜などを削り取るヘラのようなものです。「アイスカッター」とも呼ばれています。

アイススクレーパーを使う場合、単体で使用するとかなり時間がかかってしまうのでエアコンや解氷剤と併用するようにしてください。

また、中には金属製のスクレーパーも販売されていますが、ガラスを傷つけてしまう恐れがあるため、できるだけプラスチック製やゴム製のものを使うようにしましょう

エンジンスターターを使う

エンジンスターターとは、エンジンのON/OFFを遠隔で操作するリモコンスイッチです。車に乗る前に、家にいながらあらかじめ車内に暖房を効かせることができます。

暖房を効かせることでフロントガラスの解凍にもつながり、乗車したときには車内が暖かくなっているので一石二鳥です。

お値段は16,000円〜と少し高額ですが、夏場も乗車する前に冷房を効かせることができるので、購入しておくのも良いでしょう。

フロントガラスが凍る温度や条件

フロントガラスが凍る気温は「5℃以下」です。気温が5℃以下、物体の表面が0℃以下になると霜がおります。フロントガラスに降りた霜は、「放射冷却」と呼ばれる現象により凍結します。

霜ってなに?

空気中の水蒸気が夜間に冷えた地面や物体に触れて、その表面に結晶したものです。

放射冷却ってなに?

日中に温められた地面の熱が、夜間に宇宙へ放出されるとともに気温が低下する現象です。夜になると昼間のうちに溜まった熱が地面から放射されるため、地面の温度が下がっていき、それに伴って地表に近い空気も急激に冷やされます。

つまり空気中の水蒸気が、放射冷却によって冷えたフロントガラスに付着することで、フロントガラスが凍結します。

フロントガラスの凍結を防止する方法

フロントガラスの凍結は対策することができます。主な対策方法は、以下の7つです。

  • 凍結防止シートを使う
  • 毛布や厚みのあるタオルをかけておく
  • プチプチを使う
  • なるべく屋根がある場所へ駐車する
  • 冬場はワイパーを立てておく
  • ガラスに撥水処理を行う
  • 油膜を除去しておく

フロントガラスの凍結防止に有効な7つの対策|100均で買えるアイテムでも防げる

凍結防止シートを使う

専用の凍結防止シートを、前日の夜にフロントガラスにかけておきましょう。そうすれば凍結を防げて、翌日にシートを回収するだけで出発できます。

凍結防止シートの種類は紐タイプや磁石タイプ、ドアに挟み込むタイプなどがあり、取り外しは簡単です。凍結防止シートは遮光用としての機能も兼ねていたり、車内が見えにくくなるためプライバシー保護にもなったりもします。

カー用品店やオンラインストアで購入でき、サイズやデザインも豊富なので愛車に合った商品を選んでみてください。

毛布や厚みのあるタオルをかけておく

凍結防止シートがない場合は、毛布やバスタオルなどで代用するのも効果的です。使わなくなった古い毛布や、バスタオルが多めにある場合は、フロントガラスに被せておきましょう。このとき、風で飛ばされてしまわないよう工夫をしてください。

重りを置いてしまうとガラスに負荷がかかってしまうので、紐でくくるなどの方法をお勧めします。

プチプチを使う

大きめのプチプチ(気泡緩衝シート)を使うのも、凍結防止には有効です。プチプチの気泡には断熱効果があり、大気中で起こる放射冷却現象から温度の低下を防いでくれます。

プチプチ自体は100均でも購入でき、フロントガラスに被せて養生テープなどで止めるだけなので手軽です。

プチプチの凍結防止に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

フロントガラスに「プチプチ」を被せると凍らないって本当?

雪を避けられる屋根がある場所へ駐車する

屋根があり、かつ駐車可能な場所に停めることができればフロントガラスの凍結は防ぐことができます。

雪や風、昼間と夜間の寒暖差に大きく左右されることがないため、霜や放射冷却の影響を受けにくくなります。

ただし、雪や風を避けられるからといって屋根から雪が落ちてくる可能性の高い場所などに駐車するのは危険です。絶対にやらないようにしてください。

冬場はワイパーを立てておく

放射冷却によりフロントガラスが凍結すると、ワイパーがフロントガラスに貼り付いてしまいます。

フロントガラスに貼り付いたままの状態で、無理矢理ワイパーを動かそうとするのは危険です。ワイパーゴムが剥がれたり、ワイパーブレードが変形してしまったりすることがあります。

なので、冬場はフロントガラスの凍結防止策と並行して、ワイパーを立てておくと安心です。

冬にワイパーを立てる理由3つ!立て忘れたときの対処法も解説

フロントガラスに撥水処理をしておく

撥水剤をガラスに散布してコーティング処理しておけば、ガラスの表面に水蒸気が付着することがなくなるので凍結防止に繋がります。

気温が低い状態でも効果を発揮する撥水剤が販売されているので、効果や値段など条件を確認してから購入してみてください。

フロントガラスには撥水コーティングは必須|タイプ別の使用方法をご紹介。

フロントガラスの油膜を除去しておく

フロントガラス上の油膜を除去することで、凍結を防ぎやすくなります。

水分は温度が0℃になると凍り始めますが、これは純粋な水分の場合です。空気中に飛散している水分の中には油分などの不純物が含まれており、もう少し高い温度から凍り始めます。したがって、油膜がガラス上についている状態ではガラスが凍結しやすくなってしまいます。

油膜を除去する方法に関しては、以下の記事で解説しています。

フロントガラスの油膜を簡単に除去する方法|綺麗に落とせる方法を実践紹介

フロントガラスが凍結したときに「やってはいけないこと」

フロントガラスが凍結した際に以下のようなこのような行為は、フロントガラスが割れたりワイパーが劣化したりするので、絶対にやってはいけません。

  • 熱湯をかける
  • ワイパーを動かす
  • 叩いて氷を割る

熱湯をかける行為

凍結したフロントガラスに熱湯はかけないでください。ガラスが急激に温められ空気の膨張に伴って割れる危険性があるうえ、気温が特に低い地域ではお湯をかけてもすぐに再凍結してしまう可能性があります。

時間が迫っていて、どうしてもお湯をかけて対処しなければならないという状況であれば、以下の手順を試してみてください。

30℃程度のぬるま湯を用意する
デフロスターをMAXまで効かせる
ワイパーゴムが凍っていないことを確認する
フロントガラスの上部から全体的にお湯をかけていく
全体にお湯がかかったら水気をワイパーで完全に切りる(再凍結防止の為)

フロントガラスにお湯をかける場合は自己責任・自己判断で行うことになります。基本的にはフロントガラスが割れてしまう危険があるため、オススメはできません

ワイパーを動かす行為

ワイパーを動かしてフロントガラスの氷を取ろうとすると、ゴム部分が痛んでしまいます。ゴムが劣化すると雨水や汚れを拭き取る効果が弱まり、車検にも通らないので絶対にやめてください。

また、ワイパーはガラスに接触しているので、一緒に凍結してしまいます。気温が低い日や雪の日は、ワイパーをフロントガラスから離して立てておくのがおすすめです。

叩いて氷を割る行為

氷を叩いて割ろうとすると、フロントガラスまで一緒に割ってしまう危険性があります。ハンマーやカナヅチなど、金属製の道具を使うのは特に危険です。

たとえ小さな傷やヒビだとしても、時間が経過すると大きな傷やヒビになるので、ガラスの修理や交換が必要になります。

フロントガラスが凍結したときの対処法まとめ

  • フロントガラスが凍結する原因は、放射冷却によるもの
  • 凍結防止のためには凍結防止シートや毛布をかけておく
  • 撥水処理や、油膜・水垢を落としておくことも重要
  • 熱湯をかけたり、ワイパーを動かす行為はNG

フロントガラスが凍結してしまう原因は、気温の低下で起こる霜や放射冷却です。しかし、凍結防止シートや毛布をかけるなどの対策をしておけば、フロントガラスの凍結を防げます。

寒い季節でもゆとりを持って安全に運転できるよう、凍結への対策を心がけるようにしましょう!

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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