車の板金修理とは?作業内容、板金修理の費用相場を解説

修理・修復

車の板金修理とは、自動車の事故や接触によって生じた凹みや傷を、元の状態に近付けるための作業です。

金属部分を叩き出したり引き出したりして形を整え、必要に応じて塗装を施すことで見た目を回復させると同時に錆の発生を防ぎます。

板金修理で保険を利用できるケースもありますが、適用には注意点があるため事前に確認が必要です。

今回の記事では、車の板金修理で対応できる傷や作業内容、費用相場などについて解説していきます。

車の板金修理とは?

車の板金修理とは、事故や接触で車体にできた凹みや傷を元の形に近づける作業のことです。

専用の工具で金属部分を叩き出したり引き出したりして形を整え、必要に応じてパテで表面を滑らかに仕上げます。

その後塗装を施すことで見た目を回復させ、錆の発生も防ぎます(板金塗装)。

対応できる範囲は、ドアやフェンダーの小さなへこみからバンパーの擦り傷、さらには衝突による大きな歪みまで幅広いです。

修理の範囲や深さなど、傷の規模に応じて作業工程や費用が変わります。

「板金塗装」や「デントリペア」との違いについて

  • 板金    :形を直す作業
  • 板金塗装  :見た目まで仕上げる作業
  • デントリペア:軽度な凹みに特化した修理

板金は車体の金属部分を叩き出したり引き出したりして形を整える作業を指し、損傷を直す基本的な工程です。

板金塗装はその後に表面を滑らかにし、塗装を施して外観を回復させる方法です。傷や凹みだけでなく、塗装の剥がれにも対応できます。

一方でデントリペアは塗装を行わず、専用工具で金属を押し戻すことで小さなへこみを短時間で修復する技術です。

つまり板金は形を直す作業、板金塗装は見た目まで仕上げる方法、デントリペアは軽度な凹みに特化した修理になります。

板金作業で修理できる車の傷

板金作業で修理できる車の傷

板金作業で修理できる車の傷は、線傷や擦り傷、軽度の凹みなどです。

  • 線傷、擦り傷
  • 軽度の凹み
  • フレームの歪み
  • ボディの錆び
  • 塗装剥げ

線傷、擦り傷

車の板金作業では、日常的に起こりやすい線傷や擦り傷の修理にも対応できます。

たとえば、狭い道で枝や壁に触れてできた細い線状の傷は、表面を研磨して滑らかに整えた後に塗装を施すことで目立たなくすることが可能です。

また、駐車時の接触などでできる擦り傷は、浅い場合は表面処理と部分塗装で修復できます。傷が深い場合は、パテで形を整えたうえで塗装を重ねる工程が必要です。

軽度の凹み

軽度の凹みとは、買い物中に隣の車のドアが当たったり、駐車場で不注意に物をぶつけたりしてしまった際などに発生しやすい損傷です。

板金作業では、専用の工具を使って金属を内側から押し戻したり、外側から引き出したりすることで元の形に近付けます。

凹みが浅ければ、塗装を剥がさずに修理できる場合もありますが、表面に傷が伴う場合はパテで整形し塗装を施す工程が必要です。

フレームの歪み

フレームの歪みは、強い衝突や事故によって車体の骨格部分が変形してしまう状態を指します。

外装の傷や凹みと違い、車の走行性能や安全性に直結するため、板金作業でも特に高度な技術が必要です。

修理では専用のフレーム修正機を用いて車体を正しい寸法に戻して歪みを矯正します。わずかなズレでも直進性やタイヤの摩耗に影響するため、精密な測定と調整が欠かせません

ボディの錆び

車のボディに発生する錆びは、塗装が剥がれたり傷から水分が入り込むことで進行します。

板金作業ではまず錆びた部分を削り落とし、必要に応じて腐食した金属を切除して新しい素材を溶接します。

その後パテで表面を整え、塗装を施すことで見た目を回復させると同時に再び錆びが広がるのを防ぎます。

軽度の錆びであれば、研磨と再塗装で対応可能です。しかし、進行が深い場合は構造部分まで補修が必要になることもあります。

塗装剥げ

車の塗装剥げは、長年の紫外線や雨風の影響、または擦り傷などから進行します。放置すると金属部分が露出して、錆びの原因となるので注意が必要です。

板金作業では、まず剥がれた塗装や劣化部分を研磨して下地を整え、必要に応じてパテで表面を滑らかにします。

その後、下地塗装から仕上げ塗装までを丁寧に行うことで、外観を美しく回復させると同時に防錆効果を高めます。

車の板金修理の作業内容は?

車の板金修理の作業内容

車の板金修理の作業内容は、外板板金・フレーム修正・パネル交換と、大きく分けて3つあります。

外板板金

外板板金は、車のドアやフェンダーなど、外側の金属パネルにできた凹みや傷を修復する作業です。

事故や接触で変形した部分を、専用工具で叩き出したり引き出したりして形を整えます。作業としては、パネルを裏から叩いたり表を引っ張ったりします。

フレーム修正

フレーム修正は、事故などで車体の骨格部分が歪んだ際に行う作業です。

外板の傷や凹みと違い、内部の骨格に関わるため、フレームの変形は走行性能や安全性に直結します。

そのため専用の修正機を使って、正確な寸法に戻す必要があります。わずかなズレでも車の動作に影響するため、精密な調整が欠かせません。

フレーム修正は見た目の修理以上に、車本来の強度と安全性を取り戻すための工程です。

パネル交換

パネル交換は、ドアやフェンダーなど外板の損傷が大きく、板金修理では形を戻せない場合に行われる作業です。

パネルと同様にドアやリヤゲートも損傷がひどい場合、まるごと交換になるケースもあります。    

変形や錆びが進んだパネルを取り外し、新しい部品を取り付けて車体に合わせて固定します。

その後、周囲との段差をなくすために調整を行い、塗装を施して全体の色合いを統一します。

交換によって強度や見た目を確実に回復できるため、広範囲の損傷や劣化に対して有効な修理方法とされています。

車の板金修理は自分でできる?

車の板金修理は工具や材料を揃えれば自分でも行うことは可能ですが、仕上がりや安全性を考えると専門業者に任せるのが安心です。

たとえば、カーディーラーは純正部品を使った高品質な修理が強みです。ガソリンスタンドは、気軽に相談できる身近さがあります。

カー用品店では、比較的安価に簡易的な補修を受けられます。整備工場は、経験豊富な職人による幅広い修理に対応してくれます。

こうした違いを理解すると、自分で挑戦するより専門業者に依頼するメリットが分かりやすいでしょう。

板金修理の費用相場は?

板金修理の費用相場

板金修理にかかる費用は、修理内容や依頼先によって異なります。相場として、たとえば5cm以下の線傷・擦り傷程度の場合、1万円程度で修理できる可能性があります。

ちなみに、フレーム修正のような大掛かりな板金修理となると、数十万円かかることも珍しくありません。

カーディーラー、ガソリンスタンド、カー用品店、整備工場で費用やサービス内容が異なります。

修理に出す前に、複数の業者から無料見積をもらって、費用とサービス内容をよく比較してください。

板金修理で車両保険は使えるのか?

板金修理で車両保険が使えるのは、事故や接触によって車体に明確な損傷が生じた場合です。

自損事故や相手のある事故でも、契約内容によって補償範囲が異なり、修理費用が保険で賄えるケースがあります。

ただし、保険を利用すると翌年の等級が下がり、保険料が上がる可能性があるため注意が必要です。

小さな傷や軽度の凹みの場合、自己負担の方が結果的に安く済むケースがあります。そのため修理前に見積もりを確認して、保険を使うかどうかを慎重に判断することが大切です。

まとめ

  • 車の板金修理とは、事故や接触で車体にできた凹みや傷を元の形に近づける作業のこと
  • 板金修理で対応できるのは線傷や擦り傷、軽度の凹み、錆や塗装剥げなど
  • 車の板金修理は自分でも行うこともできるが、仕上がりを考えると専門業者に任せるのがおすすめ

車の板金修理は凹みや傷を直すだけでなく、塗装による美観の回復や錆の防止まで含まれる重要な作業です。

修理に出す際はサービス内容や値段を比較し、信頼できる業者に依頼することが安心に繋がります。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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