車の熱中症対策|夏の車内は何分で熱中症になるのか?危険性を解説
真夏は、外を長時間歩くのはかなり億劫になる時季です。「熱中症」も聞きなれたワードになり、夏場は熱中症で体調を崩してしまう人も多く出てきます。屋外はもちろん屋内でも熱中症になることがあり、車も例外ではありません。
夏は太陽の照り付けが強く、日光を受けて熱くなった物体から放射される「輻射熱(ふくしゃねつ)」によって、熱中症になってしまいます。また、エアコンが効いている車内は乾燥しているため、水分補給を怠ると脱水症状を引き起こす可能性があり危険です。
この記事では、今さら聞けない「熱中症」の症状をはじめ、車内の熱中症のメカニズムや対策を対策を解説していきます。
目次
今さら聞けない「熱中症」とは?
熱中症とは、高温多湿な環境にいることで体温が上がり、体温の調節や機能がうまく働かなくなったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりする状態です。
以下の症状が出始めたら、熱中症の可能性があるので注意してください。
- 立ちくらみ(脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)
- 筋肉痛、筋肉の硬直(発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り)
- 大量に汗をかく
酷くなると頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が、重症になると意識障害や痙攣がでてきます。
熱中症は、屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症して、最悪の場合は死亡することも珍しくありません。
夏の車内はエアコンを止めると、すぐに車内温度が上昇します。そのため炎天下の車内では、少しの時間でも熱中症になる可能性があります。
夏の車内は15分でも熱中症になるリスクがある
炎天下にエンジンを止めてから30分ほど駐車すると、車内の温度は40〜60℃まで上昇します。また、ダッシュボードは車内で最も高温になる場所であり、夏場には80度にも達することも当たり前です。
JAFの検証では、気温35度の炎天下に車を停止させ、エアコンを切った状態で熱中症指数の推移を測定した結果、「エアコンの停止からわずか15分で熱中症指数が危険レベルに達した」という事実が証明されました。
エアコンが止まった車内では、5分後には熱中症の警戒レベルを超え、15分後には人体にとって危険なレベルに達すると言われています。
また、日中は気温20度ほどの日でも車内温度が50℃近くまで上昇することが、JAFのテストでも明らかになっています。
「車内はすぐに温度が上昇しやすい。」という認識を持ち、熱中症には気を配る必要があります。
【警告】夏の車内は5分でも子供を放置するのはNG
エアコンが止まった夏の車内では、5分後には熱中症の警戒レベルを超えます。そのため、わずかな時間でも子供を車内に放置するのはやめましょう。
乳幼児の体温調節機能は大人よりも未発達であり、高温下に晒され続けると体温が急激に上昇してしまい、熱中症になってしまいます。その結果、炎天下で駐車した車内に小さなお子さんを残してしまったことによって亡くなってしまう悲しい事故に繋がります。
「5分くらいの、少しの時間だから…。」と油断して、絶対に子供を1人にしないように配慮してください。
夏の車内で熱中症が起きる原因
夏の車内で起こる熱中症の原因には、以下の2点が挙げられます。
①.日差しによる「輻射熱(ふくしゃねつ)」
②.エアコンが効いている中での長時間ドライブ
①.日差しによる輻射熱(ふくしゃねつ)
「輻射熱」とは、主に太陽光を受けて熱を持った物体から放射される熱のことを指します。夏は日照時間が長く日差しも強くなるため、輻射熱が発生しやすい環境が続きますが、この輻射熱によって「隠れ脱水」が起きてしまうことがあります。
②.エアコンが効いている中での長時間ドライブ
同じ姿勢が続く車内で、長時間エアコンを効かせることは実は危険な行為です。長時間同じ姿勢で冷たい風に当たり続けると、身体の血流が悪くなり、体温調整機能が低下してしまいます。
また、長時間エアコンを効かせることで車内の空気が乾燥し、脱水症状を起こしてしまう可能性が高くなります。
夏の長時間ドライブでは休憩の回数を多くとり、頻繁に姿勢を変えることを心掛けてください。
①と②、どちらも「身体機能の低下」が関係している
人の体の中では、運動などをすることによって自分自身で熱を生み出す「産熱」と、汗をかいたり体表から体外に熱を逃す「放熱」という運動が繰り返し行われています。
この運動によって体温が調節され、平常時は36°C〜37℃前後の体温に保たれているのですが、輻射熱やエアコンによって一定の温度が長時間続くと、体温の調節機能が徐々に低下してしまうのです。
体内の血流が悪くなったり、体の表面から熱を逃がせなくなったり、汗をかけなくなったりするため熱中症になってしまいます。
大きい車両は熱中症になりやすい?
JAFが行った、軽ワゴン車と大型SUVの車内温度の上昇経過の差を測定する検証では、「テスト開始から1時間後に大型SUVの車内温度は43.5℃になり、軽ワゴン車に比べて6℃高くなった」という結果が出ました。
出典:5月ならまだ大丈夫?車内での熱中症の危険(JAFユーザーテスト)
大型SUVは軽ワゴン車に比べて車内空間が広く、エアコンの空気循環においては滞りないように思えます。しかし、車体に使われているガラスの総面積は圧倒的に大型SUVの方が広く、角度も浅いことから直射日光が当たりやすいです。そのため、反射や輻射熱が起きやすい状態であります。
車内での熱中症や脱水症状を防ぐ5つの方法
車内での熱中症や脱水症状を防ぐためには、以下の方法がおすすめです。
- 車内の熱気を外に出す
- 外気導入・内気循環を活用する
- 熱中症対策のカー用品を使用する
- 濡れタオルを使う
- ウォータークールスカーフを首に巻く
車内の熱気を外に出す
駐車して車内の温度が上昇したときは、まずは車内にこもった熱気を外に出しましょう。簡単な方法で熱気を外に追い出すことができます。
対角線上のドアを開けて空気の通り道を作り、車内にこもった熱気を入れ替えることができます。
外気導入・内気循環を活用する
熱気を追い出したあとも、車内はまだまだ暑いです。車を走らせた直後は、外気導入・内気循環を活用して車内温度を下げてください。
また、窓を開けながらエアコンをかけて走行すると、効率よく車内温度を下げることができます。
熱中症対策のカー用品を使用する
熱中症対策にはサンシェードやカーフィルムなどの、カー用品を活用することも大切です。
サンシェードを取り付ける
サンジェードは、ダッシュボードへの直射日光を遮って照り返しを防ぎ、車内の温度上昇をやわらげる日よけアイテムです。駐車時には、フロントガラスにサンシェードを取り付けましょう。
カーフィルムを貼る
カーフィルムには、断熱効果・UVカットの効果があります。
夏場は冷房の効き目が良くなる効果も期待できます。断熱効果に優れたスモークフィルムや、UVカットに優れたクリアフィルムなど、カーフィルムの種類は様々です。
カーフィルムに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています!
濡れタオルを使う
車内をくまなく濡れタオルで拭くと、気化熱の効果で車内の気温をやわらげることができます。気化熱とは、液体が気体になるときに周囲から奪う熱のことです。夏に海や山などへ出掛けた際、タオルを濡らして車内を拭きあげてみてください。
ウォータークールスカーフを首に巻く
運転中は、首にウォータークールスカーフを巻くのも効果的です。気化熱を利用した熱中症対策グッズで、スカーフがぬるくなってきたら冷水につけ直すことで、繰り返し使用することができます。
【重要】車に乗る際は水分を必ず持参する
車内で起こる熱中症や脱水症状を防ぐには、やはり水分補給が大事です。汗をかくと、体内のミネラルや塩分も逃げてしまいます。
ミネラルウォーターや麦茶を飲んだりするのももちろん良いのですが、できれば経口補水液やスポーツドリンクでこまめな給水をするようにしましょう。
また、コーヒーや緑茶などはカフェインが入っているため、利尿作用があり、水分補給には適していません。なるべく避けるようにしてください。
車の熱中症対策についてのまとめ
- エアコンを止めた車内では15分でも熱中症になるリスクがある
- 夏の車内で熱中症が起きる原因は、「輻射熱(ふくしゃねつ)」やエアコンが効いた長時間ドライブ
- 駐車後は車内の熱気を外に出して、早めに温度を下げる
夏はリゾート地への旅行や故郷への帰省など、遠出をする機会が多いです。車によっては、運転席・助手席と後部座席ではエアコンの効き目が違うものがあります。ご家族やたくさんの人数で乗車するときは、運転席・助手席に座っている人が後部座席の人の体調を気にかけるようにしてください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。