サポートカー限定免許とは?メリット・デメリット、「意味ない」と言われる理由を解説
70歳以上の高齢ドライバーになると、運転免許の更新には高齢者講習を受けなければいけません。高齢者講習を受ける人の中には、免許証の返納を考えている人もいます。
免許証の返納を考えている人の中には、「運転技術に自信がなくなってきたけど、生活環境として車が必要。」という人も少なくありません。
そんな人の選択肢として、2022年5月から「サポートカー限定免許」への切り替えが可能になりました。
この記事では、サポートカー限定免許や対象車両、切り替えがおすすめな人・おすすめでない人について解説していきます。
目次
サポートカー限定免許とは?導入背景について
サポートカー限定免許とは、運転に不安を覚える高齢ドライバーが、運転免許証の自主返納以外の選択肢として、より安全な自動車等に限って運転を継続できる制度です。
サポートカー限定免許とは、2022年5月13日からスタートした運転免許の一種になります。正式名称は「安全運転サポート車等限定条件付免許」です。
「AT限定免許」と同様に、運転できる車種が限られており、サポートカーに限定して車を運転することができます。
普通免許からサポートカー限定免許に切り替えると、免許の条件等に「普通車はサポートカーに限る」と記載されます。
導入された背景として、「運転技術が衰えたので免許証を返納したいけど、生活環境として車がなくなるのは不便で困る。」という高齢ドライバーのために、サポートカー限定免許が開始されました。
サポートカー限定免許の条件、対象車両について
こちらでは、サポートカー限定免許の条件や、対象車種について解説していきます。
条件は普通免許のみ|年齢制限はなし
サポートカー限定条件を付与できる免許は、普通免許のみです。中型免許や第二種免許等、普通免許よりも上位免許を取得している場合は、申請による免許の一部取消しにより、普通免許を取得した上で、条件を付与することができます。
サポートカー限定免許を導入した背景に、「高齢ドライバーに対して中間的な選択肢を設ける」という趣旨がありますが、年齢制限はありません。
サポートカー限定免許の対象車両は?
サポートカーとは、自動車事故の被害を減らすために、安全運転技術が搭載された車のことです。機能としては「前方障害物衝突被害軽減ブレーキ」や「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」などが挙げられます。
警察庁のホームページを見ると、サポートカー限定免許の対象車両については、以下の記載があります。
【サポートカー限定免許で運転することができる車両】
サポートカー限定免許では、次の安全運転支援装置が搭載された普通自動車(サポートカー)(※)のみ、運転することができます。なお、後付けの装置については対象となりません。
①衝突被害軽減ブレーキ(対車両、対歩行者) 車載レーダー等により前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報し、さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキが作動する機能
②ペダル踏み間違い時加速抑制装置 発進時やごく低速での走行時にブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑える方法により、加速を抑制する機能
※①の装置が道路運送車両の保安基準に適合するもの又は①及び②の装置(MT車は①の装置のみ)がそれぞれ国土交通大臣による性能認定を受けているものに限ります。
引用:警察庁|サポートカー限定免許について
トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、スバル、ダイハツ、マツダ、三菱自動車などの各自動車メーカーの対象車両については、以下の資料をご覧ください。
サポートカー限定免許に切り替える際のメリット・デメリット
こちらでは、サポートカー限定免許に切り替える際の、メリットやデメリットについて解説していきます。
メリット
サポートカー限定免許に切り替えるメリットとしては、高齢で運転技術が衰えても、安心して車を運転できることです。
生活する上で車が必須な地方であっても、免許証を自主返納することなく、今までの暮らしを維持することができます。
また当然ながら、サポートカー限定免許に切り替えることで、交通事故のリスクを減らすことができます。
近年話題となっている、高齢者ドライバーの事故が減ることで事故の被害者が少なくなり、家族や親戚など周囲の人に余計な不安を抱かせることがありません。
デメリット
サポートカー限定免許に切り替えるデメリットは、新しくサポートカーを購入することです。
今まで乗っていた車を処分する手間がかかり、新車購入には多額の費用がかかります。後付けで安全装置を取り付けた場合は、サポカー限定免許の対象外のため、車の買い替えに伴う手間や費用がネックです。
またサポートカー購入の補助金は、2021年11月29日で終了しており、2023年の段階では国や自治体から優遇が受けられるなどの制度も整っていません。
サポートカー限定免許が「意味ない」と言われる理由は、ハードルの高さ
サポートカー限定免許については、「免許を切り替えても意味がない。」という声が聞かれます。
「サポートカー限定免許が、意味ない。」と言われる原因は、メリットよりもデメリットが大きいことでしょう。
サポートカー限定免許に切り替えると、サポートカーを購入しなければいけません。サポートカーは安いものでも120万円はします。
サポートカーの補助金は、2021年で終了しました。さらに2023年現在は物価高騰により、一般消費者の生活が苦しくなっています。
そして、サポートカー限定免許に切り替えたところで、免許証を自主返納したときに交付される「運転経歴証明書」のような特典はありません。
費用や優遇を考えると、サポートカー限定免許に切り替えるよりも、免許証を返納して「運転経歴証明書」を交付してもらい、買い物や銀行の預金金利の優遇を受けた方がお得です。
そのため「サポートカー限定免許を導入しても、切り替える人が少なくて意味がないのでは?」という声が聞かれるのは、やむを得ないのが現状です。
サポートカー限定免許への切り替えがおすすめな人、おすすめでない人
サポートカー限定免許がおすすめな人と、おすすめでない人は以下のように分けられます。
●資金的に、サポートカーを購入する余裕がある人
●すでに対象のサポートカーを所持している人
●サポートカーを購入する余裕がない人
●運転経歴証明書を交付してもらい、様々な優遇を受けたい人
●都会暮らしで、移動や買い物などの生活環境に不便がない人
●家族が車を所有しており、移動の負担が少ない人
普通免許からサポートカー限定免許に切り替える人は、運転技術に自信がなくなり、運転免許の自主返納を考えている高齢ドライバーです。
ただし、サポートカー限定免許に切り替えると、新しくサポートカーを購入しなければいけません。
手間や費用は大きな負担となるため、全ての高齢ドライバーにサポートカー限定免許への切り替えを、おすすめできるわけではないです。
そのため自分の環境を考慮して、サポートカー限定免許に切り替えるか、免許証を返納して運転経歴証明書を交付してもらうか検討しましょう。
サポートカー限定免許について、よくある質問
こちらでは、サポートカー限定免許について、よくある質問について解説していきます。
サポートカー限定条件の申請は、運転免許の更新手続きと併せて行うのが一般的です。そのため、サポートカー限定免許への切り替えを検討している人は、免許の更新時に警察署や免許センターで相談してみてください。
切り替えの手数料は無料です。
参考:警視庁|サポートカー限定条件の申請手続をする方へ
可能です。ただし、サポートカー限定免許を解除して普通免許に戻すには、運転免許試験場等で運転技能の審査、もしくは教習所で限定解除のための教習を受ける必要があります。
サポートカー限定条件の解除を希望する場合は、公安委員会の審査(指定自動車 教習所において限定解除のための教習を受けた場合は、運転技能の審査が免除されます。)を受ける必要があります。
引用:警察庁|サポートカー限定免許について
サポートカー限定免許についてのまとめ
- サポートカー限定免許は、運転技術に自信のない高齢ドライバーが、安全な車に乗れるための制度
- サポートカー限定免許には対象車両が設けられており、後付けで安全装置を取り付けた場合は対象外
- サポートカーを購入する費用や物価高騰を考えると、2023年時点では浸透しにくいのが現状
70歳以上の高齢ドライバーの場合、免許証の自主返納を考えるようになります。まだまだ切り替えへのハードルは高いですが、「サポートカー限定免許」という選択肢があることを忘れないでください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。