はみ出しタイヤはどこまで車検が通る?はみ出しタイヤの基準や罰則を解説
『はみ出しタイヤ』という言葉を、車検のときに耳にする場合があります。はみ出しタイヤとは、その名の通り「車のフェンダーからタイヤがはみ出ている状態」です。
実は、はみ出しタイヤについては、細かい規定があるのをご存じでしょうか?この規定に収まっていないと、はみ出しタイヤと見なされて、車検を通すことができません。
この記事では、車検における『はみ出しタイヤ』の判定基準や、はみ出しタイヤになるケース・危険性について解説します。
目次
はみ出しタイヤは10mm未満なら車検に通る
2017年6月22日のタイヤに関する保安基準の改正により、はみ出しタイヤに関する車検基準は以下の通りです。
【第7章新規検査・予備検査・継続検査又は構造等変更検査】
1.自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる走行装 置の回転部分(タイヤ、ホイール・ステップ、ホイー ル・キャップ等)が当該部分の直上の車体(フェンダ 等)より車両の外側方向に突出していないもの。
この場合において、専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員10人以上の自動車、二輪自動車、側車付 二輪自動車、三輪自動車及び被牽引自動車を除く。)であって、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通りそれぞれ前方 30°及び後方 50°に交わる2平面によりはさまれる範囲の最外側がタイヤとなる部分については、外側方向への突出量が10mm 未満の場合には「外 側方向に突出していないもの」とみなす。
引用:独立行政法人自動車技術総合機構審査事務規程
最後の文章にある通り、「はみ出しタイヤでも10mm未満ならOK」ということが分かります。
ちなみに、保安基準が改正される前は、1mmでもタイヤがはみ出るのはNGでした。
はみ出しタイヤの測定の仕方
上記の文章をもう少し分かりやすく解説すると、10mmのはみ出しについては、以下の測定の仕方であれば大丈夫ということになります。
10mm以上のはみ出しタイヤは罰金や反則金の対象に
10mm以上のはみ出しタイヤになると、不正改造という扱いになり取り締まりの対象です。
不正改造扱いになると、「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の懲罰」に加えて、「15日以内の整備命令」が下されます。
ただし悪質性が低いと見なされれば、整備不良として「違反点数1点+反則金7,000円」、もしくは「違反点数2点+反則金9,000円」で済む場合もあります。
とはいえ取り締まる警察官の判断にもよるので、不正改造扱いにならないよう、はみ出しタイヤには気を付けましょう。
タイヤ以外のはみ出しは認められない
あくまでもはみ出しがOKなのはタイヤだけです。そのため、ホイールを大きくしても良い、というわけではありません。
厳密にはみ出してOKなのは、タイヤの側面に記された銘柄・サイズ・ブロックなどを指す『ラベリング』です。
また、『リムガード』と呼ばれる、ホイールリムを縁石などから保護するためのタイヤ突起部分も対象になります。
【リムガードのタイヤ画像】
はみ出しNGなのは、ホイールや取り付けナットなどです。これらに関しては、保安基準改正前と一緒で、フェンダー内に収める必要があります。
- はみ出しOK:ラベリング、リムガード
- はみ出しNG:ホイール、ホイールステップ、ホイールキャップ、ホイールナット
車検におけるタイヤ部分のポイント
車検を通すためには、ホイールや取り付けナットなどが、フェンダーよりはみ出していないことです。車検には以下の項目が存在します。
サイドスリップ検査:ハンドルを真っ直ぐの状態にして、車が直進できるかの検査
各種メーター検査:スピードメーターと実際の速度に、大きな誤差がないかの検査
ブレーキ検査:ブレーキペダル・サイドブレーキの効き具合の検査
はみ出しタイヤの場合だと、車体とタイヤの規格が合わないので、これらの検査が通らない可能性があります。
車検については、以下の項目でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
はみ出しタイヤになるケース
そもそも、何故はみ出しタイヤになるのでしょうか?はみ出しタイヤになってしまうケースは、主に以下の2パターンです。
- 車をいじった場合
- ツライチがはみ出てしまった場合
車をいじった場合
タイヤやホイールを換えたり、車高を変えたりして、はみ出しタイヤになってしまうケースがあります。
これは、これまでの車のバランスが崩れて、タイヤがはみ出てしまうケースです。はみ出しタイヤと自分では思っていなくても、車検で引っかかる可能性があります。
ツライチがはみ出てしまった場合
「ツライチ」とは、タイヤホイールのチューニングです。両側のタイヤ間隔の距離を広げる(チューニングする)ことで、コーナリングをスムーズに走行することができます。
ホイールの位置と車体の外側を、ギリギリまでフラットにしようとするため、ホイールが車体から少しでもはみ出てしまう場合があります。
はみ出しタイヤの危険性
はみ出しタイヤによるトラブルは、以下のケースが考えられます。
- 巻き込み、接触事故
- 小石や泥などが飛び散る
- タイヤバースト
- スピン事故
- 実際の速度表示と誤差が出る
巻き込み、接触事故
交差点でのカーブや、狭い道で歩行者などとすれ違うときに、巻き込みや接触事故を起こすリスクが高くなります。
小石や泥などが飛び散る
運転中に小石や泥、水たまりの水などを飛び散らさないように存在するのが「フェンダー」です。しかし、フェンダーからタイヤがはみ出すと、これらのものが飛び散りやすくなります。
タイヤバースト
タイヤがはみ出すことで、フェンダーの切れ角と当たり、タイヤの破損(バースト)が起こりやすくなります。
スピン事故
フェンダーと接触すると、タイヤロックがかかる可能性があります。運転中にタイヤロックがかかると、車がスピンして大事故を起こすリスクが存在します。
実際の速度表示と誤差が出る
タイヤの大きさが変わると、スピードメーターと実際の速度に大きな誤差が出る可能性があります。しかし、よほど大きなタイヤに変えない限り、大きな誤差は出ません。とはいえ、速度規制を守っているつもりでも、実際にスピード違反をして取り締まられる可能性はあります。
はみ出しタイヤの対策「オーバーフェンダー」とは?
たとえばタイヤが10mm以上はみ出した場合、フェンダーを後付けで取り付けることで、はみ出しタイヤを防ぐことができます。このボディーパーツのことを「オーバーフェンダー」と言います。
オーバーフェンダーは陸運局への申請が必要
オーバーフェンダーを取り付ける場合、サイズにもよりますが陸運局への申請が必要です。申請は書類を提出して審査が通った後に、検査場で車検を取得しなければいけません。
取り付けは自分でできない場合、業者にお願いするのがベターです。
オーバーフェンダーを車検に通すためのポイント
車検を通すポイントのひとつとして、オーバーフェンダーを取り付けたことで車の幅がどのくらい大きくなったかです。車検証に記載されている全幅より、20mm以上大きくなった場合は構造変更申請が必要になります。
固定方法は、ビスやリベットでしっかりと固定しないと通りません。
また、フェンダーとタイヤの隙間が小さいと、ハンドルを切った時などにタイヤとフェンダーが接触するとみなされて不合格になる場合もあります。
不合格にならないよう、フェンダーの加工やサスペンションを変更するなどして、フェンダーとタイヤの隙間を確保してください。
はみ出しタイヤについてのまとめ
- はみ出しタイヤは10mm未満なら車検に通る
- 10mm以上になると、罰金や反則金の対象になる可能性がある
- オーバーフェンダーは、陸運局に出向いての申請が必要
はみ出しタイヤについては、目視で確認することができます。タイヤやホイールが、フェンダーよりはみ出している場合は、はみ出しタイヤです。
タイヤやホイールを換えたり、車体を変えたり、ホイールをチューニングしたりした人は、日常点検をしっかりと行ってください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。