雹害に遭った車の直し方|ボコボコになった雹害車を直さないとどうなる?

トラブル

梅雨から夏場は湿った空気で天候が不安定になりやすく、ゲリラ豪雨などで突然天候が乱れます。

天候が突然乱れて注意したいのが「雹害(ひょうがい)」です。雹害とは、雹が降ってくることで車や家、農作物が傷ついたりする被害のことを言います。

雹害で車が傷ついた場合は、すぐに整備工場やガラス専門店に修理を依頼してください。修理せず放置したままだと、車が錆びたり、売却する際に査定額が減額されたりします。

今回の記事では、車が雹害に遭った際の直し方や修理費用、雹害に遭った車を放置した場合のデメリットについて解説していきます。

車の雹害とは?

車の雹害とは、車両にこれらの氷の塊がぶつかって、フロントガラスが割れたりボディが凹んだりして、傷ついた状態のことを言います。

雹が降る仕組み

雹(ひょう)とは直径5mm以上の氷の塊のこと、5mm未満の氷の塊は霰(あられ)です。

雹は、発達した積乱雲の中で強い上昇気流によって、氷の粒が何度も持ち上げられ、周囲の水滴が付着して成長します。やがて重くなり、上昇気流で支えきれなくなると、地上へ落下し雹となります。

特に大気の状態が不安定な時に発生しやすく、雷雨とともに降ることが多いです。雹の大きさは様々で、時にはゴルフボールほどの大きさになることもあります。

被害を防ぐためには天気予報を確認して、車を保護する対策が重要です。

小さな雹でも車に傷がつく恐れがある

雹は小さいサイズでも、車に傷がつく恐れがあります。たとえば直径5mm程度の雹でも、時速36km以上の速度で落下し、車のボディやガラスに衝撃を与えます。

特に塗装が薄い部分や金属部分に当たると、細かいへこみや塗装の剥がれが発生することがあります。

さらに、繰り返し雹が降ることでダメージが蓄積し、修理が必要になるケースもあります。雹の被害を防ぐためには、カバーをかけるなどの対策が有効です。

雹害が起こりやすい時期

雹害は積乱雲が発生しやすい梅雨、夏場に多く起こりやすいです。梅雨から夏の終り頃までは、上空に強い寒気が流れ込むと大気の状態が不安定になり、積乱雲が発生して雹が降ることがあります。

また最近では温暖化の影響で、秋に雹害が起こることも珍しくありません。そのため、6月〜10月くらいは雹が降る可能性を頭に入れておきましょう。

雹害は車以外にも建物の屋根や壁を破壊したり、農作物を傷つけたり、人が怪我をしたりといった被害が生じて大変危険です。

雹害に遭った車の直し方・修理費用

雹害に遭った車の直し方・修理費用

雹害に遭った車は、専門業者にお願いして直すしかありません。ディーラーを始め、整備工場や板金業者、車のガラス専門店に修理をお願いしてください。

こちらでは、車のボディとガラスに分けて、直し方や修理費用について解説していきます。

ボディ全体(ボンネット、屋根、ドアなど)の直し方や修理費用

ボンネットや屋根、ドアなど車のボディが傷ついた場合は、デントリペアや板金塗装修理など、次の3つの方法で修理をします。

  • デントリペア
  • 板金塗装修理
  • パーツ交換

デントリペアや板金塗装修理などの修理方法、費用については次の表を参考にしてください。

修理方法内容費用
デントリペア凹んだ部分が少ない、軽度な凹みの場合の修理方法です。
凹んだ部分を、専用の器具で直接押し出したり、引っ張ったりして修復します。
雹害等の大きいへこみは修理できません
10,000円~ (凹み1ヶ所につき)
板金塗装修理広範囲にできた凹みを、一気に修理する方法です。
凹んだ部分を、ハンマーで叩いたりパテで埋めたりした後、整形してから塗装を施します。
凹みがひどい場合はルーフや、フェンダーなど、部品の交換が必要になります。
100,000円~300,000円以上
パーツ交換上記2つも対応できない場合は、パーツを丸ごと交換する必要があります。200,000円~500,000円以上

※料金相場はあくまで目安です。

フロントガラス・リアガラスの直し方や修理費用

フロントガラスやリアガラス、サイドガラスが雹害で割れたり傷ついたりした場合、ガラスを丸ごと交換します。

料金は車種やサイズによってことなりますが、フロントガラスの交換費用は60,000円〜150,000円、リアガラスは50,000円〜100,000円が相場です。

サイドガラスは、20,000円~50,000円が費用相場になります。

車種ごとによる、フロントガラス交換費用は次の表を参考にしてください。

【フロントガラスの交換費用】

車種費用
軽自動車60,000円~90,000円
小型乗用車65,000円~120,000円
中型乗用車70,000円~150,000円
大型乗用車90,000円~180,000円
ワンボックス・RV100,000円~180,000円

※料金相場はあくまで目安です。

普通自動車、軽自動車によるリアガラスの交換費用は、下の表を参考にしてください。

【リアガラスの交換費用】

車種費用
普通自動車50,000円〜100,000円
軽自動車50,000円〜80,000円

※料金相場はあくまで目安です。

フロントガラスやリアガラスの交換費用については、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

車の雹害に車両保険は使えるのか?

雹害に遭って、車が傷ついた際に気になるのが、車両保険を適用できるかどうかです。結論から言えば、雹害でできた車の傷に保険は使えます。ただし、注意しなければいけないポイントもあるので、よく把握しておいてください。

雹害に車両保険は使える

雹害で車が傷ついた場合、車両保険を使うことができます。車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2種類がありますが、雹害はどちらも補償対象です。

たとえば、修理費用が500,000円で免責費用を100,000円と設定していた場合、400,000円の保険金が支払われます。

※車輛の状況や、保険の契約内容によっては保険で修理できない場合もあります。

雹害で車両保険を使う際の注意点

雹害で車両保険を使うと翌年の等級が1つ下がるため、毎月支払う保険料が上がります。

ちなみに保険料が上がったとしても、雹害の修理費用は車両保険を適用した方がお得になる場合が多いです。

そのため、雹害で車両保険を適用する際は、保険が適用されるのか、翌年の保険料がいくら上がるのか、修理費用と合わせてどれくらいお得なのか、担当者にしっかりと確認してください。

【デメリット】雹害でボコボコになった車を直さないとどうなる?

雹害でボコボコになった車を直さないデメリット

雹害でボコボコになった車を直さないと、デメリットしかありません。車が錆びる可能性が高いですし、車を売却する際に査定額が減額されます。

また、フロントガラスが割れたままだと、公道を走行することができません。こちらでは、雹害でボコボコになった車を直さない場合のデメリットについて解説していきます。

車が錆びる

雹害でできた車の凹みを放置すると、塗装が剥がれた部分から水分が浸透して、錆が発生する危険性があります。

特に傷が深い場合、金属部分が露出し、酸化が進みやすいです。錆が広がると、車の強度が低下し、修理費用も高額になることがあります。

早めに板金塗装やデントリペアで修理することで、錆の進行を防ぎ、車の寿命を延ばすことが可能です。

車を売却する際に査定額が減額される

雹害車はボディの凹みや傷の影響で、査定額が減額されることが一般的です。

特にルーフやボンネットに多数の損傷がある場合、修理費用が高額になります。そのため、買取価格が大幅に下がることは避けられません。

軽度の損傷なら中古車市場で販売可能ですが、重度の損傷がある場合は廃車買取業者の方が適した選択肢となることもあります。売却前に査定基準を確認し、最適な方法を選ぶことが重要です。

フロントガラスは割れたままだと走行できない

雹害でフロントガラスが割れたまま公道を走行すると、警察に検挙されます。道路交通法では、整備不良車両の運転を禁止しており、違反すると罰則が科される可能性があります。

そのため、フロントガラスが割れた車は公道を走行できません。割れたガラスは視界を妨げ、運転の安全性を大きく損ないます。また、走行中の振動や風圧でヒビが広がり、突然破損する危険もあります。

安全のため速やかに修理や交換を行い、適切な状態で運転することが重要です。

フロントガラスが割れたまま走行することについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

車を雹害から守る方法

車を雹害から守る方法は、夏場は天気予報をこまめに確認すること、そして屋根のある場所に駐車するか、車に毛布を被せることです。

夏場は天気予報をこまめに確認する

雹は積乱雲が発生しやすい梅雨、夏場にかけてよく降ります。そのため、この時期は天気予報をこまめに確認して、雹が降るかどうか気を付けてください。

気にしておく注意報は「雷注意報」です。雷と雹は、どちらも積乱雲の発達により発生します。そのため雷注意報が発令されたときは、雹が降る可能性も考えられます。

雷注意報には、雷以外にも「積乱雲の発達による雹や突風などへの注意」という意味も含まれているのです。

屋根のある場所に駐車するか、車に毛布を被せる

「雷注意報」の発令で雹が降ってくる可能性があると感じたら、屋根のついた場所に駐車するのがベストです。

ガレージがあれば、そこに車を停めてください。運転中にショッピングモールなど大型の駐車場があれば、一時的にそこへ避難しましょう。

屋根のある場所に駐車できない場合は、毛布を被せて車を守ってください。自宅の駐車場にカーポートがある場合、屋根との隙間から雹が降ってくる可能性があります。

そのため自宅の駐車場に屋根がない場合、カーポートの場合は、車に毛布を被せておくと良いでしょう。

【Q&A】車の雹害について、よくある質問

こちらでは車の雹害について、よくある質問を解説していきます。

Q
雹害車とは何ですか?
A

雹害車とは、雹によって車体に凹みや傷、ガラスの破損などの損害を受けた車両のことです。

Q
雹害車は売れないですか?
A

売ることは可能ですが、傷を直さないと査定額は減額されます。

修理しても、ルーフやフレームなどの骨格部分に修理が及ぶと「修復歴あり」となり、査定額が下がる要因となります。

Q
雹でできた車の凹みの修理は自分でできますか?
A

自分で直すのはおすすめできないので、業者に任せた方が良いです。

自分で修理すると仕上がりが悪くなり、見た目や売却時の査定額に影響します。また専用の工具は、扱いを間違えると更なる損傷を引き起こす恐れがあります。

車の雹害についてのまとめ

  • 車の雹害とは降雹が車両にぶつかって、フロントガラスが割れたりボディが凹んだりして傷ついた状態
  • 雹害の修理費用は板金や部品交換が必要な場合がほとんどで、修理金額は高額になります。
  • 雹害の修理に車両保険を使うのがおすすめだが、翌年の等級が下がって毎月の保険料は上がる

雹害で車が傷つくといったケースはレアですが、いざ自分の身に降りかかったら、どうすれば良いか分からないものです。

とりあえずは整備工場やガラス専門店などに相談して、早急に修理してもらうようにしてください。

雹害に遭った車を放置すると、車体が錆びたり、車を売却する際に査定額が減額されたりするデメリットがあります。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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