安全ガラスとは?自動車に使用されているガラスについて解説

安全ガラスは、自動車における安全性向上の重要な要素です。突然の衝撃や事故時の破損を防ぐために設計されたこのガラスは、運転者や乗客の命を守るための革新的な技術を活用しています。
安全ガラスは、耐久性が高く、破片が飛び散るリスクを減少させることにより、より安心できるドライブを提供します。そのため、現代の自動車にとって欠かせない存在となっています。
今回の記事では、自動車に使用されている安全ガラスについて解説していきます。
目次
自動車に使用されている「安全ガラス」とは?
車のウインドウガラスには、飛び石からの保護、事故が起きた時の被害軽減など、安全を確保する役割があります。車のガラスには、破損しにくく、割れても破片が人を傷つけにくい安全ガラスを使うよう定められています。
安全ガラスには2種類あり、それは「合わせガラス」「強化ガラス」です。「合わせガラス」はフロントガラスに、「強化ガラス」はサイドウインドウやリアウインドウに使用されています。
「合わせガラス」はフロントガラスに使用されている
・運転時の視界を確保しやすい
・飛び石などの飛来物から保護する
・事故の際の被害を軽減
合わせガラスとは、2枚のガラスとガラスの間に中間膜という樹脂膜を挟んで接着した3層構造のガラスです。
この間に挟まる中間膜により、合わせガラスならではの特徴が出てきます。中間に樹脂膜があるために、ガラスが割れても飛び散らない、中間膜が衝撃を吸収するという特徴があります。
フロントガラスに合わせガラスが使われることにより、事故の際、中間膜が衝撃を吸収して歩行者のダメージを減らすことができます。
また、中間膜に2枚のガラスが接着された構造の合わせガラスは貫通性が低いため、事故の時に運転者のほうも外に投げ出されにくく安全性が確保されます。また、割れても散らばりにくいため、割れたガラスの破片が運転者の目などに入るリスクも少なくなります。
1987年9月以降に作られた車のフロントガラスには、この合わせガラスを使うよう義務付けられています。
「強化ガラス」はサイドウインドウやリアウインドウに使用されている
・通常のガラスよりも3倍〜5倍の強度を誇る
・一点に衝撃を加えれば割れるため、緊急時に車内から脱出できる
・割れても鋭利な形ではなく、粒状の破片になる
強化ガラスは、ガラスの溶ける700℃程度まで温度を上げた後、空気を当ててガラス表面を急速に冷却することで、表面に圧縮応力層を作ります。この圧縮応力層により、強化ガラスは通常の板ガラスの3倍〜5倍の強度になります。
強化ガラスは、サイドウインドウ、リアウインドウに使われます。強化ガラスの強度は強いですが、表面圧縮層に傷をつけていくと、ガラス内部とのバランスが崩れて簡単に割れます。
工具などで一点から衝撃を与えれば容易に割れるようになっているので、車内に閉じ込められた時などはサイドウインドウ、リアウインドウから脱出できるようになっています(貫通性の低いフロントガラスからは脱出しづらくなっています)。
また、通常の板ガラスは割れた際は大きく鋭利な破片が飛び散り、大怪我を負うリスクがあります。強化ガラスの場合は、通常の板ガラスと異なり、鋭い破片ではなく粒状に砕けます。このため強化ガラスは割れたとしても、大怪我をするリスクが少なくなります。
「合わせガラス」と「強化ガラス」の違いは?
ここまでの解説で、合わせガラスと強化ガラスの特徴について、ご理解いただけたと思います。
合わせガラスと強化ガラスの違いについて、決定的な違いを挙げるとしたら、衝撃を受けたときの「割れ方」と「安全性」です。
合わせガラスと強化ガラスで、衝撃を受けた際の違いは次の通りです。
- 合わせガラス:ヒビが入る程度で粉々になりにくい
- 強化ガラス:破片が角のない粒状になる
合わせガラスは、よほど大きな衝撃を受けない限りは、粉々に砕け散ることはありません。ヒビが入るだけで、視界を大きく妨げず運転できます。
また、事故の衝撃で搭乗者が車外に飛び出したり、車上荒らしが安全ガラスを割って侵入したりするのも、難しい作りになっています。
強化ガラスは強い衝撃を受けると、網目状の亀裂が入って粉々に砕け散ります。破片は角のない粒状となり、破片がドライバーの目に入る危険性があるため、フロントガラスに使うことはできません。
サイドウインドウやリアウインドウであれば、ガラス片によって大きな怪我をするリスクは、フロントガラスよりも少なくなります。
安全ガラスと呼ばれているが〝絶対に割れない〟というわけではない
安全ガラスは通常のガラスより強度が高く作られていますが、絶対に割れないというわけではありません。フロントガラスは万一の事故の際、歩行者や運転者への影響が少なくなるように作られています。割れた時に破片が飛び散らず、変形することで歩行者への衝撃が軽減されます。
強化ガラスについても、通常の衝撃には強いですが、工具などによる一点からの衝撃では割れやすいです。車の水没などで車内から出たいがドアを開けられないといった状況になったとき、サイドウインドウ、リアウインドウから出られることで安全性を確保していると言ってよいでしょう。
このように車の使用者や事故時の歩行者の安全を最優先に安全ガラスは作られており、状況により割れることがあります。ただし、割れ、亀裂などが発生したら、すぐに修理に出しましょう。
安全ガラスについてのまとめ
- 車の自動車に使われている安全ガラスは、「合わせガラス」と「強化ガラス」
- 「合わせガラス」は、フロントガラスに使用されている
- 「強化ガラス」は、サイドウインドウやリアウインドウに使用されている
安全ガラスには、合わせガラスと強化ガラスがあり、それぞれ性質が異なります。サイドウインドウは、強化ガラスが使われていることが多いです。しかし、一部車種では合わせガラスを使っている車種もあるので、車を購入する際には是非チェックしてみてください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。