【自動車の盗難防止】盗難件数や盗まれやすい車種、盗難対策を解説

自動車の盗難手口といえば、キーの抜き忘れの車両を狙ったり、窓ガラスを割って強引に盗んだりする方法を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし自動車の盗難は近年、巧妙化・多様化しており、安心して車を所有するためには、防犯対策が欠かせません。
たとえば、スマートキーの電波を悪用したリレーアタックや高度な技術を駆使したコードグラバーなど、最新の盗難手口が増加しています。
今回の記事では、警察庁のデータを元に自動車の盗難件数を紹介し、自動車盗難の防止策について解説していきます。
大切な愛車を守るために、盗難リスクを軽減し安心したカーライフを実現する方法を知りましょう。
目次
【自動車の盗難件数】盗まれやすい車種は?
こちらでは、警察庁が公表している資料を元に、自動車の盗難件数(認知数)や検挙数、盗難に遭いやすい車種について解説していきます。
【盗難件数】直近10年間の推移
警察庁の資料によると、自動車の盗難件数は年々減少傾向にあります。2015年の自動車盗難の認知件数は13,821件でしたが、2020年以降は5,000件〜6,000件ほどで推移しています。
出典:令和7年3月・生活安全企画課・自動車盗難等の発生状況等について|警察庁
ただし、検挙率は50%前後で推移しているため、自動車の盗難に遭うと検挙できる確率は「4割から半分程度」ということが分かります。
盗難されやすい車種
盗難されている車種は2024年(令和6年)、2023年(令和5年)と、国産高級車が目立ちます。
出典:令和7年3月・生活安全企画課・自動車盗難等の発生状況等について|警察庁
警察庁の資料によると、盗難台数の多い車種は2024年がトヨタ・ランドクルーザー、2023年がトヨタ・アルファードということでした。
そのほか、レクサスのSUVなどの名前が上がっており、トヨタから発売される国産高級車は盗難に遭いやすいことが分かります。
※この数値は未遂等を含まないため、前述で紹介した「自動車盗難認知件数」とは異なります。
※注意※長い間、動かしていない車は盗難に遭いやすい
盗難に狙われやすい車の傾向として、動かす頻度が少ないというのがあります。月極駐車場のような場所だと、動いていない車というのはオーナーが来る頻度が少ないため、盗難しやすいというのが理由です。
その車が長い間動いていないかどうかの確認ですが、次のような方法で窃盗団は見分けます。
- タイヤの上に石ころを置く
- ワイパーに偽物の買取りチラシを挟む
車を動かせば、石が落ちたりチラシが無くなっていたりしているため、その車が長い間放置されているかどうかが確認できるというわけです。
そのため運転する機会が少ない人も、盗難防止の意味を含めて、たまに車を動かすようにしてください。
車を長い間放置する場合のリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【盗難の手口】近年の傾向
盗難の手口として近年目立つのが、次の4つです。
- リレーアタック
- イモビカッター
- コードグラバー
- CANインベーダー
リレーアタック
リレーアタックとは、スマートキーの仕組みを悪用した車両盗難の手口の一つです。
この方法では、スマートキーが発する微弱な電波を特殊な装置で増幅し、車両まで中継することで、ドアロックを解除しエンジンを始動させることが可能になります。
これにより、鍵が車両から離れた場所にあっても盗難が行われてしまいます。
【リレーアタックの仕組み】
イモビカッター
イモビカッターとは、車両の盗難防止装置である「イモビライザー」を無効化するための装置で、これを悪用した車両盗難の手口が問題視されています。
イモビライザーは、車の鍵に埋め込まれたICチップと車両側のセンサーが通信し、正しい信号が一致した場合にのみエンジンが始動する仕組みです。
しかし、イモビカッターを使用することで、この仕組みを無効化し、不正にエンジンを始動させることが可能になります。
【イモビカッターの仕組み】
コードグラバー
コードグラバーとは、スマートキーの仕組みを悪用した車両盗難の手口の一つです。
この方法では、スマートキーが発する電波信号を受信し、その信号に含まれる固有のIDコードを複製することで、車両のドアロックを解除し、エンジンを始動させることが可能になります。
この手口は、リレーアタックよりもさらに高度で悪質とされています。
【コードグラバーの仕組み】
CANインベーダー
CANインベーダーとは、車両の電子制御システムを悪用した高度な盗難手法の一つです。
この手口では、車両内部のネットワークであるCAN(Controller Area Network)に直接アクセスし、不正な指示を送信することで、エンジン始動やドアロック解除などを可能にします。
この方法は従来の盗難手法と異なり、スマートキーの電波を必要としません。物理的な痕跡をほとんど残さないため、非常に巧妙で厄介です。
【CANインベーダーの仕組み】
【盗難防止】車を盗まれないようにする方法は?
車を盗まれないようにするには、次の対策がおすすめです。
- 盗難防止グッズの使用
- カーセキュリティの導入
- 【リレーアタック】節電モードに設定する
- 【リレーアタック】電波遮断ケースの使用、鍵の保管場所を工夫
- 【CANインベーダー】セキュリティシステムの導入
盗難防止グッズの使用
警視庁では、自動車の盗難を防止するために、「自動車盗難防止装置」として次のグッズの活用をおすすめしています。
- ハンドルロック
ハンドルに装着し、固定する装置です。不正な解錠が難しいディンプルキー付きの物を推奨しています。 - タイヤロック
タイヤに装着し固定する装置です。不正な解錠が難しいディンプルキー付きの物を推奨しています。 - 警報装置(警報アラーム)
ガラスの破壊や、こじ開け等の衝撃を感知した場合に警報音(アラーム)を発する装置です。 - GPS機能付位置探査装置
車両が盗まれた場合でも、GPS機能で位置の探査が可能な装置です。
物理的な盗難防止としては、ハンドルロックやタイヤロックの使用がおすすめです。ハンドルロックを選ぶ際は、素材に注目してください。
ハンドルロックは、硬い高硬度合金鋼がおすすめです。ウレタンなど樹脂でできているハンドルロックは、パイプカッターなどの工夫により簡単に切断することができます。
そのため、簡単に切断できない高硬度合金鋼のハンドルロックがおすすめです。
【ハンドルロック】
【タイヤロック】
カーセキュリティの導入
カーセキュリティとは電気的な制御によって、窃盗団による車のエンジン始動、または盗難が難しくなるように設計されている製品です。
たとえば、不正なエンジン始動をキャッチして音と光で威嚇する機能や、「ショックセンサ」のような、車が衝撃を受けると警報を発する機能があります。
カーセキュリティの製品には、日本で言えばユピテル社が製造しているパンテーラやゴルゴがあります。海外だとクリフォード、ヴァイパー、ホーネットなどが有名です。
【リレーアタック】節電モードに設定する
スマートキーを「節電モード」にすることで、リレーアタックを防ぐことができます。
トヨタの公式サイトでは、スマートキーの節電モードについて、次の設定方法が記載されています。
節電モード設定方法
スマートキーの施錠ボタンを押しながら、解錠ボタンを2回押すと、インジケータが4回光り、節電モードの設定が完了します。
引用:リレーアタックによる車両盗難に対する応急対策はあるか? | トヨタ自動車WEBサイト
節電モードを解除する際は、キーのいずれかのボタンを押せば大丈夫です。節電モードは盗難リスクを下げられるほか、電池が長持ちすることにも繋がります。
【リレーアタック】電波遮断ケースの使用、鍵の保管場所を工夫
節電モードの設定がないスマートキーの場合は、物理的に電波を遮断する方法が有効です。
スマートキーを電波を遮断するケースやポーチに入れることで、電波の漏洩を防ぎます。また、ビスケットやクッキーなどを入れる、大きな缶にキーをしまうのも効果があります。
もしくは、玄関付近など外部からアクセスしやすい場所を避け、奥まった場所や金属製の容器に保管してください。
【CANインベーダー】セキュリティシステムの導入
CANインベーダーによる盗難防止には、セキュリティシステムの導入を検討してみてください。
車外からCANに不正侵入して流し込まれる信号を遮断する部品を追加することで、不正なドア解錠やエンジン始動を抑えることができます。
たとえばトヨタ純正のセキュリティシステムの場合、17,050円から導入が可能です。
参考:トヨタ アクセサリー | 安心・安全 | セキュリティシステム | トヨタ自動車WEBサイト
車の盗難防止についてのまとめ
- 自動車の盗難件数は年々減少傾向にあるが、検挙率は40~50%程度である
- 近年の自動車の盗難手口はリレーアタック、イモビカッター、コードグラバー、CANインベーダーが挙げられる
- ハンドルロックやタイヤロックなどを使い、積極的な盗難防止を行う
自動車の盗難手口は、年々進化しています。スマートキーは便利な一方、近年では盗難の手口として利用されています。
新しい技術が出てくると、それを悪いことに使う者は一定数存在するため、車を購入したときは最新の盗難防止方法を常にチェックしましょう。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。