タイヤチェーンの効果!チェーンがあればスタッドレスはいらない?

雑学

降雪地域に住んでいたり、冬のアウトドアや旅行に出掛けたりする人は、スタッドレスタイヤの装着に加えて、タイヤチェーンを車に積んでおきましょう。

スタッドレスタイヤは氷上性能や雪上性能に優れていますが、アイスバーンや雪の山道ではまだまだ安心して走行できません。

「スタッドレスタイヤ+チェーン装備=滑りやすい路面では鬼に金棒」で、立ち往生のリスクを軽減することができます。

この記事では、タイヤチェーンを装着する目的や効果、タイヤチェーンの種類について解説していきます。

チェーンがあればスタッドレスはいらない、という考えは間違い

雪が降る機会が少ない地域では、ノーマルタイヤ(夏タイヤ)で冬を通して、雪が降ったらタイヤチェーンをつける人も存在すると思います。

結論としては、チェーンがあればスタッドレスはいらない、夏タイヤに非金属チェーンをつければ大丈夫、という考えは間違いでありおすすめできません。

冬はスタッドレスタイヤに履き替えるのが基本

冬の間は、スタッドレスタイヤに履き替えるのが基本です。雪が降らなくても、冬の朝は路面凍結している場合があります。凍結している道路を走行するときは、夏タイヤよりもスタッドレスタイヤの方が安心です。

また、スタッドレスタイヤは夏タイヤとは違い、低い気温でもタイヤのやわらかさを維持する性質を持っています。

低温下でもしっかりと路面に密着して、グリップ力を発揮しながら運転できるスタッドレスタイヤに履き替えることで、冬場は安全運転することができます。

ノーマルタイヤにチェーン装着だと積雪時の走行に不安

JAFの実証実験によると、時速40km/hでの制動距離テストを行った場合、ノーマルタイヤにチェーン装着だけでは、積雪時の運転に不安が残る結果になりました。

「スタッドレスタイヤのみ」や「オールシーズンタイヤのみ」よりも「ノーマルタイヤ+非金属チェーン」の方が、ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離が長かったのです。

圧雪路・時速40km/hでの制動距離テスト

・ノーマルタイヤ+非金属チェーン:28.4m
・スタッドレスタイヤのみ:17.3m
・オールシーズンタイヤのみ:22.7m
・ノーマルタイヤのみ:29.9m
※制動距離とはブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離
出典:走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

JAFは「チェーンは、種類や路面状況によって制動距離が長くなることもあるので注意が必要である。」と結論付けています。

そのため、チェーンがあればスタッドレスはいらない、夏タイヤに非金属チェーンをつければ大丈夫、という考えは間違っています。

冬場はスタッドレスタイヤに履き替えて、降雪時や積雪時でチェーン規制が出た際には、チェーンを装着するのがおすすめです。

タイヤにチェーンをつける目的

タイヤにチェーンをつける目的は、大雪のときでも安心安全に車を運転をするためです。

2018年12月から、大雪の際に安全な通行を確保することを目的としたチェーン規制が施行されました。

急な上り下りがある峠や、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所では、チェーンの装備が求められます。

出典:国土交通省(チェーン規制について) 

チェーン規制は、スタッドレスタイヤであっても装備しなければいけません。スタッドレスタイヤでもチェーンをつけていないと、大雪時には立ち往生してしまうことがあり命の危険に関わります。

2020年末の関越道では、新潟豪雪の影響で2,100台以上の車が立ち往生しました。

国土交通省の調べによると、原因のひとつに「冬用タイヤやチェーン未装着車両が走行していた」ことが挙げられます。

出典:今冬発生した 大規模な車両滞留等について|国土交通省

降雪地域や山間部にお住まいの人はもちろん、冬に長距離移動をする人は、スタッドレスタイヤの装備に加えて、車内にタイヤチェーンを常備しておきましょう。

タイヤチェーンの効果とは?

タイヤにチェーンをつけることで得られる効果は、積雪や凍結した路面で安全運転がしやすくなることです。

JAFが氷盤路で行った実証実験によると、チェーンを装備したノーマルタイヤと装備していないノーマルタイヤとでは、制動距離に46m以上の差が出ています。

氷盤路・時速40km/hでの制動距離テスト

・ノーマルタイヤ+非金属チェーン:59.0m
・スタッドレスタイヤのみ:78.5m
・オールシーズンタイヤのみ:101.1m
・ノーマルタイヤのみ:105.4m
※制動距離とはブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離
出典:走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

スタッドレスタイヤも氷上性能・雪上性能に優れていますが、積雪した山道ではまだまだ安心できません。

凍結した路面や雪の山道ではスタッドレスタイヤに加えて、万が一のためにチェーンを装備しておくと安心です。

タイヤチェーンのデメリットは「手間」

タイヤチェーンのデメリットは、チェーンの脱着に手間がかかることです。積雪や凍結した路面では、チェーンをつけっぱなしで走行してかまいませんが、雪が溶けたり凍っていない道路ではチェーンを外さなければいけません。

乗り心地が悪かったり騒音が出たり、金属チェーンの場合は振動が大きくなったりします。

そのため長距離移動の場合は、サービスエリアやコンビニの駐車場などで、チェーンの脱着をこまめに行う手間が発生します。

タイヤチェーンの種類と特徴

タイヤチェーンの種類は、金属タイヤチェーンと非金属タイヤチェーン、布製タイヤチェーンの3つに分けられます。

金属タイヤチェーン

金属タイヤチェーンの特徴として、以下のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット

・凍結した道路では非金属チェーンよりも高い性能を誇る
・価格が非金属チェーンよりも安い
・コンパクトに収納できるため車に常備しやすい

デメリット

・振動や騒音が大きいため走行時の乗り心地が良くない
・乾燥した路面で走行するとチェーンが切れるリスクがある
・金属なので錆び対策が必要

金属タイヤチェーンは非金属タイヤチェーンよりも高い氷上性能を誇る反面、乾燥した路面では切れたり振動が大きくなったりします。

そのため毎日のように雪道を走行する人、旅行やアウトドアで雪山に向かう人にはおすすめ

です。

乾燥した路面で走行すると切れるリスクがあるため、重量のある車には不向きになります。

はしご型と亀甲型

金属タイヤチェーンには、はしご型と亀甲型といった2種類の形状があります。

はしご型の特徴

・タイヤの駆動力を路面に伝えやすいため坂道の走行に向いている
・亀甲型に比べると横滑りしやすい

亀甲型の特徴

・はしご型に比べて横滑りしにくく坂道の走行にも向いている
・はしご型と比べると乗り心地が良い

亀甲型の方が、はしご型と比べると乗り心地も良く坂道にも強いです。

そのため金属タイヤチェーンを装着するなら、亀甲型をおすすめします。

非金属タイヤチェーン(ゴム、ウレタン)

非金属タイヤチェーンの特徴は、以下のメリット・デメリットが挙げられます。

メリット

・凍結した路面や雪道で安定した性能を誇る
・金属チェーンよりも取り付けが簡単にできる
・乾燥した路面で走行してもチェーンが切れにくい
・振動や騒音が非金属チェーンよりも少ない

デメリット

・金属チェーンに比べると価格が高い
・コンパクトに折りたためないため金属チェーンよりも場所をとる

凍結や積雪した路面でもオールマイティに運転できるのが、非金属タイヤチェーンの強みです。場所は少々とりますけど取り付けが簡単なので、急な降雪でもすぐに装着できます。

ただし、山の雪道では金属タイヤチェーンよりも若干性能に劣ります。そのため非金属タイヤチェーンがおすすめなのは、たまに雪が降る地域に住んでいる人や、市街地で車通勤をしている人です。

布製タイヤチェーン

最後に紹介するのは、オートソックなどの布製タイヤチェーンです。布製タイヤチェーンは、雪道やアイスバーンでその効果を強く発揮します。

前述で紹介したJAFの実証実験では、圧雪路において「ノーマルタイヤ+非金属チェーン」よりも「ノーマルタイヤ+オートソック」の方が高い性能を発揮しました。

圧雪路・時速40km/hでの制動距離テスト

・ノーマルタイヤ+非金属チェーン:28.4m
・ノーマルタイヤ+オートソック:20.1m
※制動距離とはブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離
出典:走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

このように雪道でも高い性能を誇る布製タイヤチェーンですが、耐久性においては不安です。

金属チェーンや非金属チェーンと比べると耐久性が低く、雪道を頻繁に走行する場合は破損する危険性があります。

あくまで、短期間や緊急時での使用で効果を発揮するものと考えて、頻繁に装着するのは控えてください。

タイヤチェーンの効果についてのまとめ

  • チェーンがあればスタッドレスはいらない、という考えは間違い
  • 冬場はスタッドレスタイヤに履き替えて、降雪時・積雪時はチェーンを装着する
  • タイヤチェーンの種類は金属、非金属、布製があり、TPOによって使い分ける

車を運転する人は、凍結した路面や雪道をいつ走行するかも分からないので、タイヤチェーンを常備しておくと安心です。

降雪地域に住んでいたり、冬でも旅行やアウトドアに出掛けたりする人は、金属タイヤチェーン(亀甲型)をおすすめします。

都心部や市街地での運転が主で、あまり冬の山道を運転しない人は、非金属タイヤチェーンや布製タイヤチェーンを車に常備しておきましょう。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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