追突事故の過失割合は10対0が基本!例外のケースや慰謝料など解説

トラブル

「前を走行している車に、後ろから追突してしまった。」
この場合は、追突事故になります。追突事故とは、同一方向を進行する前方車両に対して、後続車両が衝突する事故です。

追突事故の場合、基本的に過失割合は10対0で、加害者が全面的に悪くなります。しかし、場合によっては、被害者にも過失割合が付くケースもあります。

この記事では追突事故の過失割合を中心に、被害者にも過失割合が付くケースや、追突事故の慰謝料について解説していきます。

追突事故の過失割合は10対0で加害者が悪い

「動いている車同士の事故に、加害者が10対0で悪いというのはありえない!」という意見をたまに聞くことがあります。

しかし追突事故に関しては、基本的に10対0の過失割合で加害者(追突した側)が悪くなります。理由としては道路交通法・第26条にて、以下のルールが定められているからです。

【道路交通法・第26条】  

同じ方向を進行する車両の後ろを進行するときは、前を進行する車両が急停止しても、追突を避けられる距離を保って運転しなければならない。

引用:道路交通法 | e-Gov 法令検索

追突事故の原因や状況にもよりますが、基本的には走行中に後ろから追突した車と、追突された車の過失割合は10対0となります。

なぜ追突事故は加害者が100%悪いのか?

追突事故で加害者(追突した側)が100%悪くなるのは、車間距離が原因です。

道路交通法・第26条では「前を進行する車両が急停止しても、追突を避けられる距離を保って運転しなければならない。」と明記されています。

つまり追突事故は「後続車両が、車間距離を十分に空けていなかったのが原因。」とされ「加害者が、100%責任を負わなければいけない。」と、みなされるのです。

追突事故の具体例

以下のようなケースは、100%の確率で過失割合が10対0となり、加害者が全面的に悪くなるので注意してください。

  • 路肩等に一時停車している車に対して、後ろから追突してしまった
  • 信号待ちをしている車に対して、後ろから追突してしまった
  • 前方車両が危険を察知して急ブレーキをかけたところ、車間距離が不十分で後ろから追突してしまった
  • 高速道路を運転中、車間距離に余裕があったのにもかかわらず、スピードを出しすぎて後ろから追突してしまった
  • 前方車両が適切な速度で走行しているにもかかわらず、猛スピードで走って後ろから追突してしまった

【例外】追突事故の過失割合が10対0にならないケース

追突事故だとしても、被害者が何かしらの落ち度があった場合は、過失割合が10対0にならないケースがあります。具体的には、以下の5パターンです。

  • 不要な急ブレーキをかけた
  • 追い越し妨害
  • 駐停車禁止場所に車を駐車・停車していた
  • 灯火義務を怠った
  • 修正要素がある

不要な急ブレーキをかけた

被害者が理由もなく、不要な急ブレーキをかけて、後ろから追突してしまった場合、被害者側に30%ほどの過失割合が付く可能性があります。

理由としては道路交通法・第24条にて、以下のルールが定められているからです。

【道路交通法・第24条】  

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

引用:道路交通法 | e-Gov 法令検索

そのため、危険を防止する以外の目的で、急ブレーキをかけるのは違法行為となり、被害者側にも落ち度があります。

また、あおり運転目的で執拗に急ブレーキをかけてくる車に対しては、「妨害運転罪」が成立する可能性があります。その際は急ブレーキをかけた側に、飲酒運転と同等の重い罰則がくだされます。

あおり運転については、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

追い越し妨害

前方車両が追い越されるのを防ぐために、妨害運転をした場合は「追い越し妨害」とみなされて、被害者側に20〜40%の過失が付く可能性があります。

追い越し妨害とは、具体的に以下のような運転です。

  • 追い越そうとしてくる後続車両に対して、速度を上げて追い越されないようにした
  • 後続車両が自分を追い越そうとしていることを理解した上で、わざと速度を落とさなかった

禁止場所に車を駐停車していた

路肩等に一時停車している車に対して、後ろから追突してしまった場合は追突事故になります。しかし、そこが駐停車禁止場所の場合は、被害者側に10〜20%の過失が付く可能性があります。

駐停車禁止の場所については、道路交通法・第44条にて以下のように定められています。

【道路交通法・第44条】

・交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内(線路)、坂の頂上付近、勾配が急な坂、トンネル内
・交差点やその端、道路のカーブから前後5メートル以内の場所
・横断歩道、自転車横断帯、またはその端から前後5メートル以内の場所
・安全地帯の左端とその前後10メートル以内の場所
・バスや路面電車の停留場の標示板(表示柱)から10メートル以内の場所
・踏切とその端から前後10メートル以内の場所

引用:道路交通法 | e-Gov 法令検索

灯火義務を怠った

灯火義務とは、夜間にヘッドライトやテールランプを点灯させて運転することです。被害者が灯火義務を怠ったことが原因で追突事故が起きると、被害者側に10〜20%の過失が付く可能性があります。

灯火義務については、道路交通法・第52条にて以下のように定められています。

【道路交通法・第52条】  

車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。

引用:道路交通法 | e-Gov 法令検索

修正要素がある

修正要素とは、基本過失割合を加算・減算する要素です。実際の事故状況など、事故の個別の事情に応じて定められています。

たとえば、被害者に「著しい過失」や「重過失」があると、それぞれの過失割合が加算されます。

内容過失割合
著しい過失・酒気帯び運転
・前方不注意
・不適切なハンドル
・ブレーキ操作
・携帯電話やスマホの画面を注視しながらの運転
・おおむね時速15km以上30km未満の速度違反
(高速道路を除く)
当事者に過失割合が10%程度加算される
重過失・酒酔い運転
・居眠り運転
・無免許運転
・過労、病気、薬物の影響などの理由により正常な運転ができない恐れがある状態での運転
・おおむね時速30km以上の速度違反
(高速道路を除く)
当事者に過失割合が20%程度加算される

玉突きでの追突事故の過失割合

3台以上の車両が追突する玉突き事故の場合、原因や状況によって過失割合が変わります。

たとえば、先頭車両A・真ん中車両B・最後尾車両Cで、3台の玉突き事故が起きた場合、状況別による追突事故の過失割合は以下の通りです。

必要のない急ブレーキをかけた場合

状況過失割合
真ん中車両Bが必要のない急ブレーキを踏み、最後尾車両CがBに追突、その衝撃でBが先頭車両Aに追突した場合・車両A:0%
・車両B:30%
・車両C:70%

不適切なハンドル・ブレーキ操作をした場合

状況過失割合
真ん中車両Bが、不適切なハンドル操作やブレーキ操作をして、最後尾車両CがBに追突、その衝撃でBが先頭車両Aに追突した場合・車両A:0%
・車両B:20%
・車両C:80%

一見、必要のない急ブレーキをかけたり、不適切なハンドル・ブレーキ操作をしたりした真ん中車両Bが一番悪いように思います。しかし、このような場合でも、過失割合が大きいのは最後尾車両Cです。

追突事故の慰謝料はいくら?

追突事故の慰謝料については、被害者の怪我の具合や車の破損状態によります。

たとえば被害者に怪我がなく、車もリアバンパーが凹んだくらいなど軽い事故であれば、車の修理代として5万円〜20万円ほどで済みます。

しかし、相手が怪我をして数ヶ月の通院が必要な場合は、50万円ほどの慰謝料が請求されるでしょう。

また、むちうちで後遺症が残ったりした場合は、後遺障害等級によって100〜300万円の慰謝料を求められる可能性があります。

それに加えて車の破損が酷いと、高額な修理代の請求は避けられません。

追突事故の過失割合についてのまとめ

  • 追突事故の過失割合は、基本的に10対0で加害者が悪い
  • 被害者に何らかの落ち度がある場合は、過失割合が10対0にならないこともある
  • 追突事故の慰謝料は、被害者の怪我や車の破損状態で大きく変わる

被害者に落ち度がなければ、追突事故は加害者が全面的に悪くなります。運転する際は車間距離を十分に空けて、前方車両が急ブレーキをかけても、後ろから追突しないように気を付けてください。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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