サスペンションとは?種類や交換するメリット、費用相場を解説
車の操作性や乗り心地を快適にするために、「サスペンション」というパーツが欠かせません。
サスペンションとはタイヤに取り付けられるパーツで、地面から来る振動をやわらげる効果があります。
車を長年乗り続けると、サスペンションは劣化するので、一定の期間で交換するのがおすすめです。
しかし、サスペンションの形式は色々な種類が存在し、車両によって採用されているものが異なります。
この記事では、サスペンションの種類や特徴を解説しつつ、サスペンションの選び方について解説します。
目次
サスペンションとは?構造について解説
サスペンションとは、車体の底部とタイヤをつなぐ部品です。車が安定して走行するために、路面から来る振動や衝撃を緩和する役割を果たします。
現代の車のサスペンションは、コイルスプリング・ショックアブソーバー・サスペンションアームの3つのパーツで構成されています。
コイルスプリング
いわゆる「バネ」です。固さによって、走行中に起こる前後左右のバネ傾き量が決まります。
車や人に伝わる衝撃や振動を和らげるパーツです。
ショックアブソーバー
「ダンパー」とも言い、これが無いと振幅するスプリングにより、車は揺れ続けます。
コーナリング性能や乗り心地に大きな影響を及ぼすパーツです。
サスペンションアーム
ボディに対するタイヤの位置を決めて、タイヤやサスペンションが上下動する際のガイドとなる支持腕になります。車体固定部を軸に、円運動をしてタイヤを上下させるパーツです。
サスペンションの種類と特徴
サスペンションの形式としては、主に以下の6種類があります。
・ストラット式
・ダブルウィッシュボーン式
・トーションビーム式
・マルチリンク式
・リジットアクスル式
・エアサスペンション
それぞれの形式と、特徴については以下で解説していきます。
ストラット式
ストラット式は、1本のサスペンションアームと、スプリングが同軸に配置されたショックアブソーバーで、タイヤを支持する形式です。
シンプルな形式で、安価で少ないスペースで設置できるので、多くの小・中型車の前後サスペンションに採用されています。
採用されている主な車両 |
軽自動車、普通自動車、スポーツカー、セダン(主に5人乗り以下)など |
ダブルウィッシュボーン式
上下に配置された、アルファベットのA型アームで、タイヤを支える形式になります。
デコボコ道などで、上下動してもタイヤの傾きが変化しづらいのがメリットです。
また、タイヤのグリップを有効に使えます。横方向からの衝撃にも強く、乗り心地が良いのも特徴的です。
しかし、ストラット式と違い、配置するスペースが必要になります。そのため、スペースに余裕がある大型セダンなどに採用されています。
採用されている主な車両 |
大型セダン、高性能サスペンションが必要なスポーツカー |
トーションビーム式
左右一体型のサスペンションアームが特徴的です。部品点数が少ないため、製造コストが抑えられるのがメリットになります。
コーナリングのときも、タイヤを含むサスペンション全体が内側を向くため、安定性を確保したまま走行できます。
スプリングとショックアブソーバーを個別に配置するので、垂直方向の設置スペースを減らせるのもメリットです。
そのため、主に小型FF車のリアサスペンションとして採用されています。
採用されている主な車両 |
小型FF車 |
マルチリンク式
棒状リンク(4本以上)を組み合わせてできた、サスペンション形式です。
動きは、ダブルウィッシュボーン式を模範としており、それでいて、より自由度の高い設計ができます。
そのため、ダブルウィッシュボーンの上位版として、高級車やスポーツカーに採用されています。
また、ダブルウィッシュボーン式に、アームを追加して性能を高めたサスペンションは、「マルチリンク式」と呼ばれる場合があります。
採用されている主な車両 |
高級車、高性能サスペンションが必要なスポーツカー |
リジットアクスル式
リジットアクスル式は、山道や地面が凸凹した道に強いです。そのため、オフロードカーの前後サスペンションや、小型4WD車のリアサスペンションとして主に採用されています。
左右の車輪を繋ぐホーシング内部に組み込まれた、動力伝達機構がタイヤをスムーズに動かします。
さらに片側のタイヤが持ち上がった場合は、もう片側のタイヤが地面に押しつけるサスペンションアームとして機能するので、トラクション性能を強力に発揮することが可能です。
スプリングとショックアブソーバーはホーシングに直接取り付けられ、大きなサスペンション作動域を確保しています。
採用されている主な車両 |
オフロードカー、小型4WD車 |
エアサスペンション
エアサスペンションは、金属スプリングの代わりに空気バネによって車の重さを支えます。
エアバッグには空気が充填されており、クッションの役割を果たし、ふわふわとした低反発の独特な乗り心地の良さが特徴的です。
また、エアバッグ内の空気圧を変化させることで、乗り心地や車高を変化することもできます。
そのため、乗り心地の改善はもちろん、停車時に車高を下げることで、乗降性を高めるのにも効果的です。
ただし装着するには、圧縮空気を生み出すコンプレッサーを車載する必要があります。構造が複雑で、部品代も高価になるので、手を出しにくいのがデメリットです。
採用されている主な車両 |
普通自動車、スポーツカー、高級車まで幅広い車両に対応 |
サスペンションを交換する効果やメリットについて
ここまで、サスペンションの構造や種類について解説しました。しかし、実際にサスペンションを交換することで、どんな効果があるのか?
ここではサスペンションを交換する効果や、メリットについて解説していきます。
ハンドリングや操作性の向上
平地での運転ではあまり乗り心地は変わりませんが、山道やカーブの多い道ではハンドリングや操作性の違いを感じやすいです。
サスペンションが劣化すると、ダンパーがコイルスプリングの上下運動を抑制できなくなります。
また、コイルスプリングがヘタると、カーブで車の傾きを抑えるのが難しいです。
そのため、劣化してしまったサスペンションを新しくすることで、ハンドリングなどの操作性を向上することができます。
乗り心地や騒音の改善
コイルスプリングやショックアブソーバーが劣化すると、振動を上手に吸収することができず、乗り心地が悪くなったり騒音が気になったりします。
また、サスペンションにはゴムでできた箇所があり、ゴムが劣化するとオイル漏れを引き起こす原因になります。
サスペンションを交換することで、乗り心地や騒音が改善し、快適な運転をすることが可能です。
車の印象を変えることができる
純正のサスペンションではなく、サードパーティーの製品に交換することで、車高を高くして車の印象が変わります。
特に、車高を変えることを目的とした「車高調(車高調整式サスペンション)」や「ダウンサス」に交換すれば、好みの高さに調整することが可能です。
車高ダウンしたいと思っている人にとっては、大きなメリットでしょう。
愛車をより好みの見た目に近づける、ドレスアップ目的で車高を調整することができるのも、サスペンションを交換するメリットのひとつです。
サスペンションの交換方法や交換時期について
サスペンションを交換する際は、ディーラーや整備工場でお願いしてください。
交換する時期については「走行距離5万km以上、または購入から10年経過」が目安になります。
ただし、これくらいになると車の買い替えを考えても良い時期です。車を買い替えるのか、サスペンションだけを変えるのか、慎重に判断しましょう。
交換する際は、ディーラーや整備工場などの専門店から無料見積を必ずもらい、サービスや価格を比較したうえで、自分に合ったお店で交換するようにしてください。
サスペンションを交換する際の費用相場
サスペンションの交換費用は、サスペンション全体を交換するか、一部のパーツを交換するかで異なります。
サスペンション全体を交換
サスペンションの本体価格は5万円〜30万円ほどが相場です。そして本体価格に加えて、工賃がかかります。
たとえば、サスペンションを全て交換した場合は、10万円〜40万円程度が相場だと思ってください。
一部のパーツを交換
サスペンションの一部のパーツを交換して、車の操作性や乗り心地を改善する方法もあります。
コイルスプリングや、ブッシュと呼ばれるゴム製品を交換する場合は、本体価格と工賃を合わせて、以下の費用が目安です。
- コイルスプリング:2万円〜6万円
- ブッシュ(ゴム製品):2万円〜5万円
パーツを一部のみの交換するのであれば、サスペンション全体を交換するよりも費用を抑えられます。
サスペンションについてのまとめ
- サスペンションは、車の操作性や乗り心地を快適にするためのパーツ
- サスペンションには、ストラット式やダブルウィッシュボーン式をはじめ、6つの種類がある
- サスペンションの交換時期は、走行距離5万km以上、または購入から10年経過が目安
素人が自分でサスペンションを選んだり、交換したりすることは難しいです。無理とは言いませんが、基本的にはプロに相談してお任せしてください。
車検のタイミングでサスペンションについて相談して、交換するのもおすすめです。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。