煽り運転(妨害運転罪)の罰則|厳罰化のきっかけ、対処法や立件を解説

トラブル

煽り(あおり)運転は、近年大きな社会問題になっています。不特定多数の車が行き交う道路では、自分もいつ被害に遭うか分かりません。

現在、煽り運転は「妨害運転罪」という罪名になっており、他の車両の通行を妨げるような危険運転をすると重い罰則が科せられます。

誰でも、煽り運転の被害に遭う可能性があります。そのため、被害を受けたらどう対処して良いのか、立件するにはどうすれば良いのかについて、把握しておきましょう。

今回の記事では、煽り運転の罰則や基準、煽り運転をされたときの対処法、立件したいときはどうすれば良いのか、について解説していきます。

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煽り運転の厳罰化はいつから?きっかけになった事件とは?

煽り運転の罪名は「妨害運転罪」です。こちらでは、煽り運転の罰則はいつから始まったのか、煽り運転が厳罰化されたきっかけについて解説していきます。

煽り運転の厳罰化はいつから始まった?

令和2年(2020年)6月30日より、煽り運転に対する罰則が科せられることになりました。それが「妨害運転罪」です。

運転中に他の車両に対して、通行を妨げる悪質な行為を行うと刑事罰の対象になります。妨害運転罪になると、一発で免許取消しになるほどの重い罪です。

出典:危険!「煽り運転」はやめましょう|警察庁Webサイト

煽り運転が厳罰化されたきっかけ

煽り運転が厳罰化されたきっかけは、「東名高速夫婦死亡事故」や「常磐線あおり事件」などの事件により、煽り運転が大きな社会問題になったことです。

特に、平成29年(2017年)に起きた、神奈川県の「東名高速夫婦死亡事故」は、妨害運転罪が導入される大きなきっかけになった事件だったと言われています。

これはパーキングエリアで被害者に注意された犯人が、高速道路で時速100kmのスピードで追走し、追い越し車線上で停車させて、後続を走ってきたトラックが追突し、煽り運転を受けた夫婦が死亡、娘2人が怪我をした事故です。

この事件以降も、令和元年(2019年)に起きた「常磐線あおり事件」はワイドショーでも連日話題となり、煽り運転が社会問題になるきっかけとなりました。

煽り運転(妨害運転罪)の罰則

煽り運転(妨害運転罪)の罰則

煽り運転(妨害運転罪)の罰則は、「3年以下の懲役、または50万円以下の罰金」で一発で免許取り消しです。罰則の重さは「酒気帯び運転」や「酒酔い運転」と同等です。

通行妨害目的で交通の危険の恐れのある方法により、一定の違反をした場合

・3年以下の懲役、または50万円以下の罰金
・違反点数25点により免許取消し(欠格期間2年)

上の行為に加え、著しい危険(高速での停車等)を生じさせた場合

・5年以下の懲役、または100万円以下の罰金
・違反点数35点により免許取消し(欠格期間3年)

出典:「煽り運転」は犯罪です!一発で免許取消し! | 政府広報オンライン

急ブレーキや車間距離を必要以上に詰めて、他の車両等の通行を妨害すると、最大で懲役3年の刑に処せられます。

また、これらの妨害運転に加えて高速道路での停車など、著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられます。

妨害運転罪になると一発で免許取消しとなり、最低でも2年間は車を運転することができません。

妨害運転罪の構成要件|どこからが煽り運転とみなされるのか?

妨害運転罪の構成要件、どこからが煽り運転とみなされるのか?

どこからが、煽り運転(妨害運転罪)とみなされるのか?それは、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキや車線変更をしたり、車間距離を極端に詰めたりしたときです。

煽り運転(妨害運転罪)の対象となるのは、以下の行為に該当するので参考にしてください。

煽り運転(妨害運転罪)の対象となる10類型の違反

・通行区分違反:対向車線にはみ出す
・急ブレーキ禁止違反:急ブレーキをかける
・車間距離不保持:車間距離を極端に詰める
・進路変更禁止違反:急な進路変更を行う
・追越し違反:危険な追い越し
・減光等義務違反:執拗なパッシング
・警音器使用制限違反:執拗なクラクション
・安全運転義務違反:幅寄せや蛇行運転
・最低速度違反:高速道路での低速走行
・高速自動車国道等駐停車違反:高速道路での駐停車

出典:妨害 (あおり) 運転の対象となる 10類型の違反|対象

【対処法】煽り運転を受けたらどうすれば良い?

もしも煽り運転をされたら、サービスエリアなど安全な場所へ避難して、110番通報をして警察を呼んでください。

政府広報オンライン」では、煽り運転の対処法について以下のように呼びかけています。

  • 安全な場所へ避難する(サービスエリアやスーパーの駐車場など)
  • 警察に110番通報する
  • 警察が来るまで車外に出ない
  • ドライブレコーダー等で相手の行為を撮影する

煽り運転(妨害運転)を受けた場合は、駐車場など安全と思われる場所に避難してください。車線上や路側帯に停車すると、後続車に追突される可能性があるため危険です。安全かつ、人目が多い場所であれば、そちらに避難するのがおすすめです。

車を停めたらドアロックや窓を完全に閉めて、警察に110番通報します。同乗者がいれば、運転中に警察へ通報してもらってください。また、近くに警察署や交番があれば、直接助けを求めてもかまいません。

警察が到着するまでは、車内で待機しましょう。相手が追ってきて脅したり挑発したりしてきても、不用意に車外に出ないでください。

事前対策としては、ドライブレコーダーの設置が有効です。煽り運転の行為を映像として記録に残しておけば、相手が現場からいなくなっても捜査の役に立ちます。

警察を待っている間、相手が危害を加える行為をしてきたら、スマートフォンで撮影をして証拠を残しておきましょう。

出典:「煽り運転」は犯罪です!一発で免許取消し! | 政府広報オンライン

煽り運転は立件が難しいのか?

「妨害運転罪」が制定された直後は、煽り運転で立件するのが難しいケースもありました。しかし、近年ではドライブレコーダーの普及や捜査体制の強化により、立件されるケースも増えています。

こちらでは煽り運転の立件が難しいケース、煽り運転を立件するにはどうすれば良いかについて解説していきます。

煽り運転の立件が難しいケース

煽り運転の立件が難しいと言われる理由は、証拠の不十分性や故意の立証の難しさ、警察の判断によるケースが挙げられます。

証拠の不十分性で言えば、煽り運転は瞬間的な行為が多く、被害者側のドライブレコーダー映像がなければ、故意の立証が困難です。加害者が否認した場合、客観的な証拠がないと立件に至らないことがあります。

また、車間距離不保持などの行為は、意図的な妨害との区別が難しい場合があり、警察官の判断によって警告で終わることもあります。

ポイント

・証拠の不十分性
・故意の立証が難しい
・警察官の判断

煽り運転は後日の通報だと立件が難しくなる

煽り運転の立件は後日連絡だと、証拠の鮮度低下や加害者特定が難しくなり、事件との因果関係立証も難しくなります。

現行犯であれば、警察が現場で状況を確認でき、証拠保全や加害者特定が容易です。ドライブレコーダー映像も重要ですが、現行犯逮捕が最も確実かつ迅速な解決につながります。

煽り運転に遭遇したら、安全な場所に停車してすぐに110番通報し、状況や相手車両の特徴を詳しく伝えるようにしてください。

煽り運転を立件するには?

煽り運転を立件するには、ドライブレコーダーの映像が最も有力な証拠となります。それ以外には、目撃者の証言が重要です。

可能であれば、煽り運転の状況や加害車両の特徴(ナンバープレート、車種、色など)を目撃者に記録してもらい、連絡先を交換しておきましょう。

また、自身の車両の損傷状況(傷や凹みなど)も、煽り運転と因果関係を示す証拠となる可能性があります。

警察への迅速かつ詳細な通報も重要で、状況を正確に伝えることで、警察の捜査を促すことができます。被害状況を写真や動画で記録することも有効です。

ポイント

・ドライブレコーダーの設置はマスト
・目撃者を探す
・警察には迅速に連絡する

【Q&A】煽り運転について、よくある質問

こちらでは煽り運転について、よくある質問を解説していきます。

Q
煽り運転の通報は後日しても警察は対応してくれますか?
A

ドライブレコーダーの映像など、明確な証拠があれば対応してくれます。

逆に言えば、映像などで明確な証拠がなければ、後日通報での対応は難しいです。煽り運転を受けた場合、警察への通報は被害を受けている最中や直後などに行いましょう。

Q
自転車も煽り運転の対象ですか?
A

自転車も煽り運転の対象になります。

実例を挙げると、令和3年(2021年)10月に岡山県倉敷市で、車に対して自転車で煽り運転容疑をした男子高校生が書類送検されました。

煽り運転についてのまとめ

  • 煽り運転の罪名は「妨害運転罪」で、飲酒運転と同様の刑事罰が科せられる
  • 他の車両等の通行を妨害する目的で危険な運転をすると「妨害運転罪」になる
  • 煽り運転をされたら安全な場所に車を停め、警察に通報して映像等の証拠を残しておく

煽り運転は近年大きな社会問題となっており、自分もいつ被害に遭うか分かりません。ドライブレコーダーの設置がまだの人は早めに設置をして、いつでも妨害運転の証拠を残せるようにしておきましょう。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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