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布製タイヤチェーンのメリット・デメリット|高速道路のチェーン規制に使える?

雑学

車の装備で冬に外せないのが、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンです。現在ではタイヤチェーンでも、様々な種類が存在します。

金属製やゴム、ウレタンなどの非金属チェーン、そして装着や脱着が簡単なことから、布製タイヤチェーンが人気を集めています。

ひと昔前までは馴染みの薄かった布製タイヤチェーンですが、一体どんな商品なのでしょうか?

この記事では、布製タイヤチェーンの効果や性能、メリット・デメリットについて解説していきます。

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布製タイヤチェーンとは?

※画像は「オートソック(AutoSock)」の布製タイヤチェーン

布製タイヤチェーンは、画像のような布で覆って、滑りやすい路面に対応するチェーンです。「布チェーン」「布製チェーン」「タイヤソックス」「スノーソックス」と呼ばれることもあります。

布製タイヤチェーンの代表格が、「オートソック(AutoSock)」です。

オートソックは、1998年にノルウェーで誕生した布製タイヤチェーンです。オートソックは他の布製タイヤチェーンとは異なり、裏表がありません。

見た目は上の画像のように、外側部分にオレンジの十字ベルトが付いています。

また、布製タイヤチェーンのパイオニアということもあり、世界中で定められているスノーチェーン規格の機能、安全性、耐久性をクリアしていて、高い性能を誇ります。

布製タイヤチェーンの性能や効果

布製タイヤチェーンの性能や効果

布製タイヤチェーンは、金属製に比べて軽量で取り付けが簡単なうえ、走行時の振動や騒音が少ないのが特長です。

特殊繊維が雪や氷をしっかりと捉え、グリップ力を高めます。雪道はもちろんのこと、アイスバーン(凍結した路面)でも性能を発揮して、スリップを防止します。

ABSやトラクションコントロールとの相性も良く、車両の制御性能を損なわずに使用可能です。

緊急時や都市部での積雪対策として、実用性と快適性を両立した選択肢です。

布製タイヤチェーンと各タイヤとの比較

布製タイヤチェーン、特にオートソックは滑りやすい路面でも高い性能を誇ります。JAFは2017年に、圧雪路や氷盤路における、タイヤの制動距離テストを行いました。

一部割愛しますが、こちらでは「ノーマルタイヤ+非金属チェーン」「スタッドレスタイヤのみ」「ノーマルタイヤ+オートソック」の制動距離についての比較を紹介します。

【時速40kmでの制動距離テスト】

圧雪路氷盤路
ノーマルタイヤ+非金属チェーン28.4メートル59.0メートル
スタッドレスタイヤのみ17.3メートル78.5メートル
ノーマルタイヤ+オートソック20.1メートル99.2メートル

※制動距離とはブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離

出典:走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)

以上の数値から、圧雪路においては「ノーマルタイヤ+非金属チェーン」よりも「ノーマルタイヤ+オートソック」の方が高い性能を発揮しました。

ただし氷盤路においては、「ノーマルタイヤ+非金属チェーン」よりも性能が落ちます。また「スタッドレスタイヤのみ」と比べた場合は、圧雪路でも氷盤路でも制動距離が長くなりました。

布製タイヤチェーンの耐久性

布製タイヤチェーンの耐久性は、使用環境に大きく左右されます。

乾いた路面では走行距離が約100kmと言われる一方で、雪道だと数100kmの走行にも耐えられます。推奨速度は時速50km以下で、急加速や急ブレーキは劣化を早める要因です。

使用後は汚れを落とし、しっかり乾燥させることで寿命を延ばせます。適切な使い方を守れば、緊急時や短距離の雪道走行に十分な性能を発揮します。

布製タイヤチェーンの耐久性については、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

布製タイヤチェーンは高速道路のチェーン規制にも対応している

布製タイヤチェーンは、高速道路でも使用できます。

2018年に国土交通省が規制区間を新たに指定して、布製チェーンが金属タイヤチェーンの同等品として認められました。

【道路運送車両の保安基準】(走行装置等)第9条第4項

タイヤ・チェーン等は走行装置に確実に取り付けることができ、かつ、安全な運行を確保することができるものでなければならない。

【参考:タイヤチェーンの種類】
(1)金属チェーンタイプ     :金属製のチェーンやワイヤーの製品
(2)ウレタン&ゴムチェーンタイプ:ゴムなどの樹脂製の製品
(3)布製カバータイプ      :アラミドなどの特殊繊維製の製品

引用:道路:雪防災|国土交通省

そのため、現在では高速道路のチェーン規制にも、布製タイヤチェーンは使えるようになっています。

国土交通省の公式サイトの「チェーン規制Q&A」では、タイヤチェーンの種類に「布製カバータイプ:アラミドなどの特殊繊維製の製品」と記載されています。

出典:チェーン規制Q&A|国土交通省

ちなみにスタッドレスタイヤのみだと、チェーン規制中は走行することができません。

布製タイヤチェーンのメリット

布製タイヤチェーンのメリット

布製タイヤチェーンのメリットは、次の通りです。

  • 装着や脱着が簡単にできる
  • 車に収納しやすい
  • 装着する車種を選ばない

こちらでは、布製タイヤチェーンのメリットについて詳しく解説していきます。

装着や脱着が簡単にできる

布製タイヤチェーンは、他のタイヤチェーンと比べると軽量で、装着や脱着が簡単です。力のない女性、高齢者でも楽に取り付けることができます。

車に収納しやすい

布製タイヤチェーンは、車に収納しやすいのも魅力的です。布製で軽く、折りたたみもしやすいため、トランクに積んでも場所を取りません。

車種にもよりますが、シート下やサブトランクといった、車のデッドスペースに収納することもできます。

装着する車種を選ばない

タイヤチェーンはサイズが豊富に用意されており、普通車や軽自動車を問わず、使うことができます。

また、布製であるため薄くできており、クリアランス(タイヤと車体の間にある空間)があまりない車両でも使用しやすいです。

布製タイヤチェーンのデメリット

布製タイヤチェーンのデメリット

布製タイヤチェーンのデメリットは、次の通りです。

  • 使用頻度が高い場合は不向き
  • 乾燥した路面では使いにくい

こちらでは、布製タイヤチェーンのデメリットについて詳しく解説していきます。

使用頻度が高い場合は不向き

布製タイヤチェーンは、金属チェーンや非金属チェーン(ゴム、ウレタン)と比べると耐久性が低く、使用頻度が高い場合には不向きです。

そのため北海道や東北、北信越地方の場合は、布製タイヤチェーンよりも金属チェーンや非金属チェーンを使用しましょう。

乾燥した路面では使いにくい

布製タイヤチェーンは、乾燥した路面で走行すると摩耗が激しくなり、寿命が大幅に短くなるリスクがあります。特に砂利道など、硬いものがある道路では消耗が激しいです。

布製タイヤチェーンは、あくまでも雪道やアイスバーンで使う製品です。そのため、雪道や凍結した道路から抜けて、乾いた路面に入ったら、なるべく早く取り外すようにしてください。

布製タイヤチェーンは降雪、路面凍結が少ない地域におすすめ

布製タイヤチェーンは東京・大阪・名古屋などの都内、西日本などの降雪が少ない地域に使うのがおすすめです。

布製タイヤチェーンのデメリットでも解説しましたが、使用頻度が高い場合の使用は向いていません。

そのため、出張や旅行などで限定的に降雪地帯へ行く場合、またたまに雪が降ったり積もったりしたときに使うのがおすすめです。

降雪や路面凍結の頻度が低い地域に住んでいる場合、トランクに布製タイヤチェーンを積んでおくことで、緊急時に使用することができます。

布製タイヤチェーンの取り付け方

布製タイヤチェーンの取り付けは、力に自信のない人でも簡単に取り付けできます。

商品によって取り付け方は多少異なりますが、基本的には次の手順を参考にしてください。

タイヤの上からカバーを被せる
少しだけタイヤを動かす
カバーの両端を引っ張り、タイヤ全体に巻いていく
ホイール側のバンドを着ける

※取り付ける際は、必ず説明書に従って行ってください。
※取り付けるタイヤは、必ず駆動輪に装着するようにしてください。

布製タイヤチェーンは、金属チェーンのように重たい部品を引っ張ることはないです。また、タイヤの奥の方まで手を伸ばす必要もありません。

簡単でスピーディーに取り付けられるのが、布製タイヤチェーンの強みです。

布製タイヤチェーンを使用する際の注意点

布製タイヤチェーンを使用する際は、次の点に注意しましょう。

  • 雪道やアイスバーンのみに使用する
  • 時速40km以下で走行する
  • 駆動輪に装着する

雪道やアイスバーンのみに使用する

布製タイヤチェーンは、雪道やアイスバーンでの使用を前提に設計されており、乾燥した舗装路では急激に摩耗します。

特にアスファルトや砂利道では繊維が削れやすく、耐久性が著しく低下するため、走行距離が100km未満で破損する恐れがあります。

安全性と寿命を保つためには、雪や氷が残る区間のみで使用し、乾いた路面に入ったら速やかに取り外すことが重要です。

時速40km以下で走行する

布製タイヤチェーンは繊維素材のため、高速走行による摩耗や破損のリスクが高く、推奨される走行速度は時速40km以下です。

これを超えると、チェーンの摩擦力が低下し、ホイールスピンや制動距離の延長につながる恐れがあります。

速度が高いほど繊維への負荷が増し、寿命が短くなる傾向があります。特に雪道やアイスバーンでは、安定した走行と安全性を確保するためにも、低速で丁寧に運転しましょう。

駆動輪に装着する

布製タイヤチェーンは、車の駆動力を路面に伝える「駆動輪」に装着することで、最大限の効果を発揮します。

前輪駆動車なら前輪、後輪駆動車なら後輪に取り付けるのが基本です。誤って非駆動輪に装着すると、加速や登坂時に空転しやすく、制動力や安定性が低下する恐れがあります。

特に雪道や凍結路面では、駆動輪のグリップ力が安全走行の鍵となるため、装着位置の確認は必須です。四輪駆動車の場合は、メーカー推奨の装着方法を事前に確認しましょう。

【Q&A】布製タイヤチェーンについての疑問・質問

こちらでは、布製タイヤチェーンについての疑問・質問について解説しています。

Q
布製タイヤチェーンは高速道路で使えますか?
A

使えます。

金属タイヤチェーンや、ウレタンやゴムといった非金属タイヤチェーンと同様に、布製タイヤチェーンも高速道路で使用できます。

Q
布製のタイヤチェーンは何年くらい持ちますか?
A

年数よりも、走行距離で寿命が決まっています。

乾燥した路面の場合は走行距離100kmが限界ですが、雪道やアイスバーンでは数100kmの寿命だとされています。

布製タイヤチェーン(オートソック)のまとめ

  • 布製タイヤチェーンは降雪、路面凍結が少ない地域におすすめ
  • 布製タイヤチェーンは、チェーン規制にも対応している
  • 布製タイヤチェーンは装着や脱着が簡単で、力に自信のない人でも扱いやすい

布製タイヤチェーンは、使用頻度が高い場合は不向きで、乾燥した道路では耐久性が低いのがデメリットです。

しかし車内に収納しやすく、装着や脱着が簡単なため、降雪が少ない地域では緊急用のチェーンとして活用できます。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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