【高速道路】現在の深夜割引廃止はいつから?新しい条件や仕組みを解説

雑学

今年から、高速道路の深夜割引が変更になるのをご存知でしょうか?利用時間や割引の計算方法が変更されるなど、大幅な見直しがあります。

新しい深夜割引は利用時間が大幅に拡大されるため、トラックドライバー以外にも一般の利用者も知っておくとお得です。

今回の記事では、現在の高速道路の深夜割引がいつから廃止されるのか?新しい深夜割引の条件や内容、見直しの背景について解説していきます。

現在の高速道路の深夜割引廃止はいつから?

結論から言うと、2025年6月9日現在、高速道路の深夜割引廃止がいつからになるのかは未定です。

高速道路の深夜割引は2025年7月頃を目途に、旧来の内容から新しい内容に移行する予定でしたが、再度延長されることが同年5月28日に決定しました。

理由は、2025年4月6日~7日にかけて、NEXCO中日本管内で大規模なETCシステム障害が発生したからです。

高速道路の深夜割引見直しに向けたシステム整備の状況について

NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本(以下、「高速道路会社」という。)は、令和7年7月頃からの深夜割引見直しに向けて、システム整備を進めておりましたが、令和7年4月6日にNEXCO中日本管内で広域的なETCシステム障害が発生しました。

これを受け、高速道路会社では、令和7年4月18日に広域的なETCシステム障害発生時の危機管理検討委員会を立ち上げ、障害の原因究明や再発防止策等の議論を行っているところです。

深夜割引見直しの運用開始時期については、工程の精査を実施しているところですが、深夜割引見直しに向けたシステム整備を一時中断していることなどから、令和7年7月頃からの運用開始は困難となっております。

運用開始時期の見通しについては、システム整備の再開の状況を含めて、引き続き、工程を精査していく必要があるため、改めてお知らせさせていただきます。
引用:高速道路の深夜割引見直しに向けたシステム整備の状況について | NEXCO東日本

新しい深夜割引の移行予定は、次の流れで延長が繰り返されています。

当初は、2025年3月頃に新しいシステムへと移行する予定だった
2024年12月に「システム整備に想定以上の時間がかかっている」ことを理由に、2025年7月頃への予定変更を発表
「2025年4月6日~7日にかけて発生した大規模なシステム障害」を理由に、同年5月28日に制度導入の再延長を決定(予定が決まり次第発表)

いつから新しい深夜割引になるかは、NEXCO3社(NEXCO東日本・中日本・西日本)の発表をお待ちください。

【旧】現在の深夜割引の条件、内容

2025年6月までの高速道路の深夜割引

現在の深夜割引は、0時〜4時の時間帯が対象となる割引です。2025年1月現在の深夜割引については、次の表を参考にしてください。

対象車種全ての車種が対象
対象日時毎日0時~翌4時
対象道路NEXCO3社(NEXCO東日本・中日本・西日本)が管理する、全国の高速道路及び宮城県道路公社の仙台松島道路
※京葉道路・第三京浜道路・横浜新道・横浜横須賀道路は割引の対象外
割引概要高速料金30%割引
適用条件・ETC車載器を取り付けている車両
・ETCが整備されている入口インターチェンジをETC無線通信により走行

走行時間は、0時〜4時に対象の高速道路を走行していれば、高速道路に入ったり出たりする時間は何時でも大丈夫です。たとえば、次のすべての場合に割引が適用されます。

対象の時間帯:OKパターン具体例

・1時に高速道路に入り、3時30分に高速道路を出た
・1時に高速道路に入り、5時に高速道路を出た
・23時に高速道路に入り、3時に高速道路を出た
・23時に高速道路に入り、5時に高速道路を出た

深夜割引を含めた、高速道路の割引についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

【なぜ?】高速道路の深夜割引が見直しされる背景

高速道路の深夜割引が見直しされる背景

高速道路の深夜割引が見直しされる背景には、「0時待ち問題」の解消、公平性の見直しが挙げられます。

「0時待ち問題」の解消

「0時待ち問題」とは、高速道路の深夜割引(0時〜4時に走行)の適用を受けるために、トラックを中心とした多くの車両が、料金所の出口手前で0時になるのを待って滞留する現象を指します。

現在の制度では、0時を1分でも過ぎて料金所を通過すれば、もれなく3割引きを受けることができます。

ということは割引を受けるために、「0時より前に高速道路を出たくない!」と思うドライバーが、一定数存在するということです。

そのため、高速道路の出入口手前やサービスエリア、パーキングエリア手前で待機するトラックが増えてしまう問題が発生しています。

これが、いわゆる「0時待ち問題」と呼ばれるものです。

運送業者は少しでもコストを抑えるため、深夜割引を利用として「0時待ち問題」が起きています。それが、労働環境の悪化に繋がっていると捉えられています。

新しい深夜割引では、適用の時間帯を拡大することにより、出入口手前で待機するトラックの緩和、ドライバーの負担軽減が期待されています。

今回の割引制度の見直しでこうした待機が解消され、ドライバーの負担が減ることが期待されています。

公平性の見直し

深夜割引は、物流業界にとって重要な制度です。しかし、割引が特定の業種や時間帯に偏っていることで、他のドライバーとの公平性に欠けるとの指摘があります。

新しい深夜割引では適用時間を拡大することにより、料金体系の公平性や透明性を見直す狙いがあります。

新しい高速道路・深夜割引の条件や仕組みとは?

こちらでは、NEXCO東日本の資料を元に、新しい深夜割引の変更点について解説していきます。

出典:高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

変更点①時間帯の拡大、走行した時間帯のみ3割引

従来の深夜割引は、0時〜翌4時までが対象時間でした。新しい深夜割引は、22時〜翌5時へ拡大します。

また、その時間帯に走行したETC車の料金を一律3割引きにするのではなく、22時〜翌5時に走行した分のみ3割引きになります。

従来は「23時に高速道路に入り、3時に高速道路を出た」といった場合、23時〜0時も含めて一律3割引でした。

しかし、新しい深夜割引は対象の時間帯だけ3割引きとなります。つまり「21時に高速道路に入り、0時に高速道路を出た」としても、21時〜22時の間は3割引きにはなりません。

高速道路の深夜割引、時間帯の拡大、走行した時間帯のみ3割引
高速道路の深夜割引、時間帯の拡大、走行した時間帯のみ3割引

画像引用元:高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

変更点②割引計算方法の変更

現在は「料金所通過時間」で割引計算されます。新しい制度ではこれに加えて、ETC無線通信専用アンテナを活用した「走行距離」に基づいて割引額を算出します。

つまり、深夜割引が適用される時間帯に料金所を通過していなくても、実際にその時間帯に走行した距離に応じて割引が適用されます。

また、現行の平日朝夕割引と同様に、後日還元型による割引制度に変更されます。これは、車両ごとの通信データの処理に時間がかかることが要因です。

高速道路の深夜割引、割引計算方法の変更

画像引用元:高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

変更点③上限距離の設定

新しい制度では無謀な運転の抑制策として、割引適用距離に上限が設定されます。詳しい内容は、次の通りです。

車種区分等上限距離詳細
軽自動車等
普通車
中型車乗合型自動車
1時間あたり105km割引適用時間帯において利用時間が4時間を超える場合、上記の計算から利用時間30分に相当する上限距離を減じる。
※ただし、減じた後の上限距離は利用時間4時間に相当する上限距離(420km)を下回らないものとする。
大型車
特大車
(乗合型自動車以外)
1時間あたり90km割引適用時間帯において利用時間が4時間を超える場合、上記の計算から利用時間30分に相当する上限距離を減じる。
※ただし、減じた後の上限距離は利用時間4時間に相当する上限距離(360km)を下回らないものとする。

※上記計算は22時〜翌5時ごとに行う。

出典::高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

【深夜割引見直し後の上限距離の設定(無謀な運転の抑止策)】

深夜割引の割引適用時間帯の走行距離を増大させることを目的とした「速度超過」などの無謀な運転を抑止し、引き続き安全・安心に高速道路をご利用いただくために、割引適用時間帯の走行距離に上限を設定します。
深夜割引の割引適用時間帯の走行距離が上限距離を超える場合は、上限距離を用いて、深夜割引の割引後料金を計算します。(上限距離以下の場合は、割引適用時間帯の走行距離に応じて計算します。)
なお、上限距離は、厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」における連続運転時間の考え方等を参考に、利用時間が4時間を超える場合は30分の休憩を考慮して設定します。

引用::高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

変更点④割引適法方法

新しい制度では、「ETCマイレージサービス」や「ETCコーポレートカード」を利用した、後日還元型による割引制度に変更となります。

深夜割引が適用されるには、「ETCマイレージサービス」や「ETCコーポレートカード」への事前登録が必要です。また、料金所通過時に課金する通行料金が変更となります。

高速道路の深夜割引、割引適法方法
高速道路の深夜割引、割引適法方法

画像引用元:高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

変更点⑤長距離逓減(ていげん)制の拡充

新しい制度では、400㎞超の走行を対象に「長距離逓減(ていげん)制」を拡充します。

これは NEXCO3社が管理する高速道路のうち、対距離料金を適用する高速自動車国道の利用にあたり、利用距離に応じて通行料金を次第に減らす仕組みのことです。

長距離運転による通行料金の負担増を軽減するのが目的で、一度に400km以上走行する車両に関しては、高速道路の料金が段階的に自動で安くなります。

ちなみに対距離料金を適用しない高速自動車国道、一般有料道路、他の高速道路会社が管理する高速道路は対象外であり、長距離逓減の対象距離には含まれません。

高速道路の深夜割引、長距離逓減(ていげん)制の拡充

画像引用元:高速道路の深夜割引の見直しについて|NEXCO東日本

高速道路の深夜割引についてのまとめ

  • 高速道路の深夜割引は2025年6月現在、いつから新しい制度になるかは未定である
  • 新しい深夜割引では、適用時間が「0時〜翌4時」から「22時〜翌5時」に変更される
  • 新しい深夜割引を利用するには「ETCマイレージサービス」や「ETCコーポレートカード」への事前登録が必須

新しい深夜割引では、適用時間の拡大により、トラックドライバーはもちろんのこと、一般のドライバーも利用しやすくなります。夜に高速道路を頻繁に利用する人は、今回紹介した内容を参考にしてください。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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