スタッドレスタイヤの選び方|性能やサイズの見方、タイヤの保管方法を解説
冬になると、スタッドレスタイヤに履き替えるのが主流です。スタッドレスタイヤといっても様々な種類がありますが、できるだけ使用環境や目的に合ったタイヤを選びたいところです。とはいえ、基準でスタッドレスタイヤを選べば良いのか迷ってしまいます。
この記事では、スタッドレスタイヤの特徴からサイズの見方、環境に応じた性能観点から、スタッドレスタイヤの選び方について解説していきます。
目次
スタッドレスタイヤとは
スタッドレスタイヤとは、凍結または積雪した路面でも、「走る」「曲がる」「止まる」といった、タイヤの基本性能を発揮してくれるタイヤのことです。
スタッドレスタイヤが登場する前は、タイヤに金属のスタッド(鋲)が数多くある、「スパイクタイヤ」が主流でした。
スパイクタイヤは金属のスタッドの影響で、冬道をひっかいて加速や制動するものです。凍結もしくは積雪した路面では問題ありませんが、乾燥した路面ではアスファルトをひっかいて粉塵が舞うため、環境悪化の懸念から1991年に利用が禁止されました。
そのためその「スタッドがない、冬用のタイヤ」という意味から「スタッドレスタイヤ」と呼ばれるようになりました。
スタッドレスタイヤの特徴
スタッドレスタイヤの特徴としては、「低温に強い」ことと「雪を噛んで、氷をひっかく」の2点です。
低温に強いスタッドレスタイヤは、氷点下の道路でもグリップに必要なやわらかさがあります。また、スタッドレスタイヤのエッジ成分は細かい横溝になっており、雪道や凍結した路面でひっかきます。
スタッドレスタイヤのサイズの見方
スタッドレスタイヤを交換する際は、車のサイズに適したものを選ばなければなりません。タイヤサイズは、タイヤの側面部分(サイドウォール)に、メーカー名や製品名、製造番号とともに詳しいサイズが表示されています。
サイズ表示の具体例「205 / 65R 15 95S」とした場合、以下の数字に注目してください。
205:タイヤ幅
65:扁平率
15:ホイールサイズ
他の数字に関しては、一般的な乗用車の場合はあまり気にする必要はありません。基本的には、ディーラーや専門店で購入するので、一緒にサイズを確認しながら交換するようにしましょう。
スタッドレスタイヤの性能
スタッドレスタイヤを装着する際に、注目したい性能は以下の5つです。
- 氷上性能
- 雪上性能
- 寿命、耐摩耗性能
- ドライ性能、ウェット性能
- 燃費性能
こちらでは、それぞれの性能について解説していきます。
氷上性能
アイスバーンなどの凍った路面で、どれくらい安全運転できるかの性能です。氷上性能が高いスタッドレスタイヤは、タイヤのゴムがやわらかいという特徴があります。ただし、タイヤのゴムがやわらかすぎると、摩耗や劣化が激しいというデメリットもあります。
雪上性能
雪上性能は、積雪した路面でもタイヤが空回りしにくいのが特徴です。ふかふかでやわらかい雪の上や踏み固められた雪道、シャーベット状の雪道など、様々な雪の路面でどれくらい車をコントロールできるかが、この性能のポイントです。
寿命、耐摩耗性能
環境や保管状況、使用頻度などによって異なりますが、スタッドレスタイヤの寿命は3〜4年が一般的です。スタッドレスタイヤの利用期間が短い場合は、しっかりとタイヤを保管することが大切です。
ドライ性能、ウェット性能
ドライ性能は乾燥した路面、ウェット性能は雨や雪解けで濡れている路面での性能です。スタッドレスタイヤはノーマルタイヤに比べると、ドライ性能やウェット性能が劣ります。ただし近年では、ウェット制動能力が高い商品も出ているので、チェックポイントの一つとして覚えておいてください。
燃費性能
氷上性能が高いスタッドレスタイヤは、ゴムがやわらかくタイヤの減りが早いので、ノーマルタイヤと比べると燃費が悪いです。しかし近年では、燃費性能が向上したスタッドレスタイヤも販売されています。ただし、氷上性能が優れて燃費も良くなると、価格が高くなるのがデメリットです。
スタッドレスタイヤの選び方は、性能と運転する環境を考慮する
地域によっては断続的な降雪があったり、気温が下がる時間帯と上がる時間帯によって路面の凍結状態が大きく違ったりと、様々な路面状況があります。
スタッドレスタイヤを使用する環境に応じて重視する性能も変わるため、以下のような例を参考に選んでみてください。
路面凍結(アイスバーン)が多い地域:氷上性能
あまり雪が降らない地域:ドライ性能やウェット性能
積雪の多い地域:氷上性能・雪上性能
レジャーや旅行で積雪地域に出かける場合:トータルバランス
路面凍結(アイスバーン)が多い地域
路面凍結が起こりやすい地域で使用する場合には、路面への密着度、除水性能の高さ、エッジ効果の点に注目し、氷上性能の高いスタッドレスタイヤを選んでください。
あまり雪が降らない地域
あまり雪が降らない地域におすすめなのが、ドライ性能やウェット性能が高いタイヤです。
こういった地域は冬でも乾燥した路面を運転する機会が多いので、ドライ性能やウェット性能が高いと、タイヤの寿命が伸びやすくなります。
積雪の多い地域
降雪や積雪が多い地域でスタッドレスタイヤを使用する場合には、タイヤの空回りなどのトラブルを防ぐため、氷上性能や雪上性能に特化したタイヤを選んでください。
寒冷地に強いゴム素材であるか、エッジ効果はどうか、雪を踏み固めて雪の柱を作ることで駆動力を得る「雪柱せん断力」はどうかという点に注目しましょう。
レジャーや旅行で積雪地域に出かける場合
ウィンタースポーツなどで降雪の少ない地域から降雪地域へ移動するのみの場合は、トータルバランスに着目してタイヤを選んでください。
高速道路を走行することも視野に入れ、高速安定性を重視したタイヤ選びもおすすめです。
タイヤの寿命と交換するタイミング
スタッドレスタイヤの寿命は3〜4年が目安ですが、環境や使用頻度によって寿命は変わります。スタッドレスタイヤの寿命については、目視で確認できるので、以下のポイントを参考にしてください。
- プラットフォームが見えるかどうか
- ひび割れや硬化があるかどうか
プラットフォームとは、スタッドレスタイヤの残り溝を表すサインです。残り溝が半分を切ると出てくるので、プラットフォームが出たらすぐにタイヤを交換してください。
また、ひび割れや傷が目に付くと、タイヤがパンクしたり破裂したりする危険性があります。
スタッドレスタイヤの寿命を発揮するには、正しい保管方法が大切
スタッドレスタイヤは、正しい保管方法でないと寿命が短くなります。サマータイヤ(ノーマルタイヤ)に履き替える春〜秋にかけては、以下の保管方法を心掛けてください。
- 屋内で保管して日が当たる場所を避ける
- タイヤ専用の保管カバーを使用する
- タイヤの置き方に気を付ける
- タイヤラックを使用する
- 空気圧を下げる
- イヤを洗い、油分や水分を拭き取る
タイヤは気温や湿度の高い場所に保存すると、寿命が短くなります。そのため日光が当たる場所を避けて、タイヤ専用のカバーをかけるようにしてください。
またタイヤの置き方についてですが、ホイール付きかホイールなしかによって、タイヤの置き方が変わります。
スタッドレスタイヤの正しい保管方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
雪道走行はタイヤチェーンの装備も忘れずに
スタッドレスタイヤにしたからと言って、雪道走行が安全とは限りません。必ずタイヤチェーンを装備するようにしましょう。
特に大雪の場合は、スタッドレスタイヤだけの走行は非常に危険です。ベストなのは雪の日はできるだけ運転しないことですが、走行しなければいけないときは、スタッドレスタイヤに加えてタイヤチェーンの装備を忘れないでください。
スタッドレスタイヤの選び方についてのまとめ
- スタッドレスタイヤの特徴は、低温に強いことと、雪を噛んで氷をひっかくこと
- スタッドレスタイヤを選ぶ際は、氷上性能や雪上性能、寿命や耐摩耗性能などを考慮する
- スタッドレスタイヤの選び方は、運転する環境によって異なる
スタッドレスタイヤは適したサイズを選ぶことはもちろん、使用する環境に応じた性能をもつタイヤを選んでいくことがベストです。
積雪の多い道や路面凍結が著しい地域の道路を走行する場合は、スタッドレスタイヤの装着だけでなく、必ずタイヤチェーンを装備してください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。