福祉車両とは?どんな種類があるのか、優遇される税金や助成制度を解説
親が要介護者になった場合、もしくは子供や配偶者が身体に障害を抱えた場合は、福祉車両の導入を検討しなければなりません。
あまり考えたくはありませんが、もしもの場合は介護車両にすると、移動がラクになり家族で出かける際の負担も軽くなります。
費用に関する心配事ももちろんありますが、福祉車両には消費税が非課税になったり、助成制度が設けられていたりします。
この記事では福祉車両の種類から、優遇される税金や助成制度について解説していきます。
目次
福祉車両の種類は主に6タイプ
福祉車両の種類は、主に以下の6タイプに分かれます。
- スロープタイプ
- リフタータイプ
- 送迎タイプ
- シート回転タイプ
- リフトアップタイプ
- 運転補助装置
こちらでは、それぞれのタイプについて詳しく解説していきます。
スロープタイプ
スロープタイプは、車椅子のまま自動車への乗り降りができる福祉車両です。車両後部に付いているスロープで、車椅子の人でもスムーズに乗り降りができます。
軽自動車や小さめのワンボックスでも対応している場合があり、 構造が単純なため価格を抑えられるのが嬉しいポイントです。
リフタータイプ
リフタータイプの福祉車両は、後部座席にある電動リフトを使い、車椅子ごと乗降する自動車です。スロープの場合は人が後ろから車椅子を押しますが、リフタータイプの場合は電動リフトに乗せるだけで、車椅子ごと自動車に乗り降りすることができます。
乗り降りが楽なため介護者の体力的負担を減らすことができ、車両が大きければ大人数でも利用できます。
送迎タイプ
送迎タイプは、電動ステップや車内手すりなどを搭載しているタイプの福祉車両です。
高齢者や身体に不自由がある人が、車を乗り降りする際に補助となる、ステップや手すりといった補助装置が付いています。そのため、福祉施設や医療施設などへの送迎に利用される福祉車両です。
シート回転タイプ
シート回転タイプは、主に助手席のシートがレバー操作で回転し、楽な姿勢で乗り降りできる福祉車両です。足腰が弱ってきた人や、身体に不自由がある人におすすめです。
自動車メーカーによっては、スライドしたり傾斜したりする機能や、フットレストが付いている車種も存在します。
リフトアップタイプ
リフトアップタイプには助手席が昇降するタイプと、後部座席が昇降するタイプの2つに分かれます。
助手席が昇降するリフトアップタイプは、助手席が電動で回転して車外へスライドダウンするのが特徴です。
後部座席が昇降するリフトアップタイプは、車椅子として利用できるセカンドシートタイプで、そのまま車外へスライドダウンします。シートは脱着できるので、そのまま車椅子としての利用が可能です。「サイドリフトアップシート」という名前で、呼ばれることもあります。
運転補助装置
運転補助装置は、車椅子生活など身体に不自由がある人でも、自分で運転ができるタイプの福祉車両です。主に「手動運転補助装置」「足動運転補助装置」のどちらかで、運転できる仕様になっています。
身体の自由・不自由は人それぞれなので、その人に合った仕様や部品のカスタマイズが必要になるのが一般的です。そのため自動車を購入するための手間や、費用がかかることも珍しくありません。
福祉車両の税金優遇・助成制度について
福祉車両を購入したり、一般車両を福祉車両に改造したりする場合、税金優遇や助成制度を受けられるなどの措置があります。
購入やリース、改造費用が非課税になる
介護車両を含めた福祉車両には、基本的に消費税がかかることはありません。福祉車両の消費税が非課税になるパターンは、以下の通りです。
- 福祉車両を購入する際の購入費用
- 福祉車両をレンタルする場合のリース費用
- 一般車両を福祉車両に改造する際の改造費用
注意点として、自動車を購入して福祉車両に改造すると、改造費は非課税の対象ですが、車両の購入費には消費税がかかります。
詳しくは、国税庁のホームページから確認してください。
車両だけでなく付属パーツも非課税になる
福祉車両は自動車本体だけでなく、車に備え付ける色々な付属パーツが非課税になります。非課税となる付属パーツは、以下の通りです。
- カーオーディオ
- カーラジオ
- カークーラー、エアコン
- 空気清浄器
- 字光式ナンバープレート
- フォグランプ
- アルミホイール
- リアスポイラー
- ハイマウントストップランプ
- エアフォルムバンパー(別称「フロントスポイラー付バンパー」)
- フロントガード(別称「フロントグリルガード」または「フロントロアスカート」)
- フードオーナーメント(別称「シャイニングエンブレム」)
- カーナビゲーション
自動車税(軽自動車税)・自動車取得税も減免になる
「障害者手帳」「愛の手帳」などをお持ちの場合に、自動車税(軽自動車税)や自動車取得税が減免されるケースがあります。
自動車税(軽自動車税)や自動車取得税は地方税です。どれくらい減免されるか気になる場合は、住んでいる地域の自治体に聞いてみましょう。
また、排出ガスや燃費などの環境性能を一定基準でクリアしていれば、一般車と同様にエコカー減税を受けることも可能です。
各自治体で助成を受けることができる
福祉車両を購入するときや、一般車両を福祉車両に改造するときなどに各自治体が費用を助成してくれます。
例えば東京都新宿区の場合、車両改造に関しての助成は以下の通りです。
・手足の不自由な方が就労等に伴い使用する自動車を改造する場合、事前申請により改造費用を助成します。
・操向装置及び駆動装置等の改造費用を、133,900円まで助成します。
・助成を受けられる所得制限があります。
・18歳以上の身体障害者手帳の上肢、下肢又は体幹機能障害1~2級
・自ら運転する車を所有する方
助成の内容は、各自治体によって違います。福祉車両を購入する場合や、一般車両から福祉車両に改造する際は、一度お住まいの自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
社会福祉協議会からの低金利融資
各都道府県には社会福祉協議会があり、福祉車両の低金利融資を受けられるケースがあります。
貸付できる金額や貸付条件は地域によって異なり、制度を利用する場合は所得制限が設けられています。気になる人は、お住まいの社会福祉協議会に相談してみてください。
高速道路など、有料道路の料金割引
障がい者本人が運転する場合、また障がい者を乗せて運転する場合に、高速道路など有料道路の料金に対して、割引が受けられます。
NEXCO東日本の「ドラぷら」には、福祉車両の有料道路の料金割引について以下の記載があります。
全国の有料道路事業者が統一的に実施する有料道路における障害者割引制度は、通勤、通学、通院等の日常生活において、有料道路を利用される障がい者の方に対して、自立と社会経済活動への参加を支援するため、有料道路料金について割引措置をさせていただくものです。
引用:ドラぷら|有料道路における障害者割引
※一部抜粋
ちなみに、割引率は50%です(10円未満の端数が生じる場合は切り上げ)。
福祉車両は新車が良いのか、中古車でも大丈夫なのか?
福祉車両に限らず、自動車を購入する際は新車よりも中古車の方が値段がお手頃です。
「一般車両とは違うから、福祉車両の場合は新車で購入した方が良いのではないか?」と、悩まれる人もいると思いますが、中古で福祉車両を購入しても問題はありません。
福祉車両の優遇措置は、新車も中古車も同じです。消費税の非課税や助成金の内容は、新車でも中古車でも変わりません。
新車へのこだわりがなく、少しでも費用を抑えたい場合は中古車の購入を検討してみてください。
ただし、福祉車両は高齢者や障がい者が、不自由なく車を乗り降りするための自動車です。安易に値段だけで決めず、機能や整備具合などを細かくチェックしましょう。
複数の店舗から見積もりを取り寄せたり、中古車店舗を何件か渡りながら、慎重に購入するのがおすすめです。
福祉車両についてのまとめ
- 福祉車両にはスロープタイプから運転補助装置まで、6つのタイプがある
- 福祉車両は消費税が非課税になったり、助成制度が設けられていたりする
- 福祉車両は、中古車での購入でも問題ない
福祉車両の導入・改造する際は、どんな車両を選べば良いか、ディーラーや中古車販売店に相談してみてください。助成については、住んでいる地域の自治体に問い合わせてみると、詳しい内容を知ることができます。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。