フェード現象とは?ベーパーロック現象の違い、原因や対処法を解説

トラブル

フェード現象やベーパーロック現象は、ブレーキのトラブルが原因で起こる現象です。どちらもブレーキの効きが悪くなるため、交通事故に繋がる危険性があります。

フェード現象もベーパーロック現象も、ブレーキの効きが悪くなる現象ですが、原因を含めて違いが分かりにくいです。

こちらでは、フェード現象とベーパーロック現象の原因や現象、それぞれの違いや対処法について解説していきます。

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違いが分かりにくい!フェード現象とベーパーロック現象、共通の原因

フェード現象とベーパーロック現象は、ブレーキが効きづらくなる現象です。どちらの現象も、長い下り坂などでフットブレーキを踏み続けることが原因で起こります。

  • 現象:ブレーキが効きづらくなる
  • 原因:長い下り坂などでの、フットブレーキの連続使用

フェード現象もベーパーロック現象も、現象や原因が共通しているため、一見すると違いが分からない人も多いと思います。

フェード現象とベーパーロック現象の違い、覚え方

フェード現象とベーパーロック現象は、どちらも原因と現象が共通しているため、違いが分かりにくいかもしれません。

それぞれの現象ですが、実は以下の違いがあります。

  • フェード現象:摩擦材の発熱により起こる現象
  • ベーパーロック現象:ブレーキオイルの沸騰により起こる現象

つまり、摩擦材が発熱するのがフェード現象、ブレーキオイルが沸騰するのがベーパーロック現象と覚えてください。

フェード現象の原因は、摩擦材の発熱

フェード現象は、摩擦材の発熱が原因で起こる現象です。フットブレーキを何度も使うと、ブレーキパッドの熱が高くなることで、摩擦材が発熱します。

摩擦材が発熱すると、部品であるゴムや樹脂が耐熱温度を超えて、摩擦材が熱分解されてガスが発生します。

そのガスが「ブレーキローター」という、ブレーキ部品の間に挟まることで摩擦力が減ります。これによって、ブレーキの効きが悪くなるのがフェード現象の仕組みです。

フットブレーキを何度も使用する
ブレーキパッドの熱が高くなって、摩擦材が発熱する
摩擦材が発熱すると、熱分解されてガスが発生する
ガスがブレーキローターの間に挟まって摩擦力が低下する
摩擦力が低下することで、ブレーキの効きが悪くなる

ベーパーロック現象の原因は、ブレーキオイルの沸騰

ベーパーロック現象は、ブレーキオイル(ブレーキフルード)が沸騰することで起こる現象です。

長い下り坂などでフットブレーキを使いすぎると、摩擦熱が発生します。その摩擦熱がブレーキオイルに伝わって沸騰します。

ブレーキオイルが沸騰すると気泡が発生して、ブレーキペダルに油圧が伝わらず、ブレーキが効きづらくなります。これがべーパーロック現象の仕組みです。

フットブレーキを何度も使用する
摩擦熱が発生して、その熱がブレーキオイル(ブレーキフルード)に伝わる
ブレーキオイルが沸騰すると気泡が発生する
気泡が発生すると、ブレーキペダルに油圧が伝わりにくくなる
油圧が伝わりにくくなると、ブレーキが効きづらくなる

フェード現象やベーパーロック現象が起きたら?

車の運転中にフェード現象やベーパーロック現象が起きたら、エンジンブレーキを使ってスピードを落としてください。

ギアを少しずつ下げて減速して、コンビニや路肩など駐車できるスペースがあれば、車を停めましょう。減速するときは、いきなり低速ギアに入れるのではなく、徐々にシフトダウンしてください。

  • マニュアル車:ブレーキから足を離して減速して来たら、3速ギア・2速ギアへと入れる
  • オートマ車:ブレーキから足を離して減速して来たら、シフトを2やL(ローギア)に入れる

この方法で抵抗力が働くため、エンジンブレーキを上手に活用することができます。

ちなみに、走行中に急にエンジンを切るのはNGです。エンジンをいきなり切ると、パワーステアリングが利かなくなるため、ハンドル操作が上手にできなくなる危険性があります。

直し方はブレーキを冷やすこと

フェード現象やベーパーロック現象の直し方は、ブレーキを冷やすことです。

フェード現象は摩擦材の発熱、ベーパーロック現象はブレーキオイルの沸騰により起こります。どちらも熱が原因のため、冷やすことで再度ブレーキの効きが戻ることがあります。

高速道路や山道を走行中に、フェード現象やベーパーロック現象が起きたら、脇道や路肩などの安全な場所に車を停車して、ブレーキを休ませてください。30分ほど停車して休ませれば、ブレーキが元の温度に戻ります。

交通量の少ない道路であれば、ゆっくり走りながら風を当てて、ブレーキを冷やしてもらえば大丈夫です。

フェード現象とベーパーロック現象が起きる前兆

フェード現象やべーパーロック現象が発生する前兆は、以下の2つです。

  • 異臭を感じる
  • ブレーキの効き具合が悪く感じる

異臭を感じる

フェード現象やべーパーロック現象は、どちらも熱が原因です。運転中に焦げ臭いニオイを感じたら、フェード現象やべーパーロック現象が起こる前兆かもしれません。それぞれの現象が起こる前に、車を停車させてブレーキを休ませましょう。

ブレーキの効き具合が悪く感じる

ブレーキを踏んだ際に以下の違和感があれば、フェード現象やべーパーロック現象が起きる前兆です。

  • ブレーキを踏んだときに、ふわふわとした感覚がある
  • いつもよりブレーキを深く踏み込めない
  • ブレーキの踏み心地がいつもと違う

これらの違和感を覚えたら運転をやめて、しばらく車を停めてください。もしも違和感が払拭されなければ、ディーラーや整備工場などで、プロの整備士に車の状態を点検してもらいましょう。

フェード現象やベーパーロック現象を起こさない運転

フェード現象やベーパーロック現象を起こさない運転として、長い下り坂ではフットブレーキの多用を避けて、エンジンブレーキを上手に使うことです。

長い下り坂に入る前は、ギアを低速にして減速しておいてください。坂道を下っているときは、エンジンブレーキを多用するようにしましょう。

ブレーキの点検も定期的に行う

フェード現象やベーパーロック現象を起こさないためには、ブレーキの点検を定期的に行うことが大切です。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)は2年に1回、つまり車検の時期に交換するようにしてください。 ブレーキオイルは2年〜4年、距離にして1万キロ前後が交換推奨となっています。 

しかし日本には梅雨があり、湿度がかなり高くなる時期があるため、4年は持たないことがあります。そのため、ブレーキオイルは車検ごとに交換することで、安心して運転することができます。

また車を日常点検する際には、ブレーキペダルの踏みしろは適切か?ブレーキオイルは適量か?などについてチェックしてください。

日常点検については、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

フェード現象やベーパーロック現象についてのまとめ

  • どちらの現象も、フットブレーキの使いすぎが原因でブレーキの効きが悪くなる
  • フェード現象の原因は摩擦材の発熱、ベーパーロック現象の原因はブレーキオイルの沸騰と覚える
  • フェード現象やベーパーロック現象が起きたら、ゆっくりと減速してブレーキを冷やす

ブレーキの効きが悪くなったら、誰でも焦ると思います。しかし、その原因の大半は、フェード現象やベーパーロック現象かもしれません。

ブレーキの効きが悪くなったら、ゆっくりと減速して車を停めてください。30分ほど停車したら、ブレーキの状態を確認しましょう。

それでもブレーキの効きが悪いようであれば、ロードサービスを呼んでプロの整備士に車の状態を点検してもらってください。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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