飛び石の傷は車両保険内 適用させない方がいい場合の理由とは

前方を走行する車両が巻き上げた石などが、自分の車に衝突してガラスやボディに傷ができることを「飛び石被害」と言います。

傷の大きさにもよりますが、基本的には応急処置をしてからディーラーや専門店で修理してもらうのがベストです。

飛び石による傷による修理費用は車両保険でカバーできますが、保険を適用するかどうかは慎重に判断しなければいけません。

飛び石による傷は車両保険が使える

飛び石が原因で車のガラスやボディに傷ができた場合、車両保険の「飛来中・落下中の他物との衝突」により補償されます。エコノミーでも一般条件でも、飛び石による損害は補償の対象です。ちなみに、車両保険に入ってない場合は補償の対象外で、自賠責保険ではカバーされません。ただし、車両保険に入っているか入っていないかに関わらず、飛び石の傷による修理代金は全額自己負担した方が、お得になる場合があります。

飛び石の保険適用を慎重に判断する理由

飛び石の傷を修理する場合、たとえばフロントガラスの修理なら10,000円〜25,000円ほどの費用で済みます。これくらいの費用なら、自分で全額負担した方が長期的に見たらお得です。

理由としては、翌年度以降の等級が1ランク下がり、保険料の支払額が上がるからです。また、修理費用も全額が補償されるとは限らないので、気を付けなければいけません。

等級が１ランク下がり保険料が上がる

自動車保険を申請すると、次年度の自分の保険等級が下がり、それに伴い費用が増加することがあります。その結果、支払った保険料が還付金より多くなり、赤字になることもあります。

したがって、自動車保険を選ぶ際には、修理費用や今後数年間の保険料など、あらゆる角度から検討する必要があります。

修理費用の全額が補償されるとは限らない

保険会社や契約条件によっては、修理費総額が全額戻ってくるとは限りません。なぜなら、車両保険に「免責金額」が含まれている場合、保険会社側は免責金額で減額された修理費総額しか返還できないからです。

飛び石の被害は相手に損害請求できるのか？

飛び石による被害は他の車から引き起こされるものですが、どの車が引き起こしたか特定できないため、賠償を求めることは不可能に近いです。

相手を正確に特定できたとしても、飛び石は意図的であることは少ないため、相手の車両保険で修理費を負担してもらうことは困難です。

仮に飛び石が計画的なものであったとした場合は、相手方に賠償請求を求めることになりますが、通常は、相手方が損害を与える意図を持って行動できるものではありません。

仮にそうであったとしても、それを証明するのは難しいため、相手方の自動車保険に賠償を求めるのは現実的ではないといわれています。

飛び石で車が破損したときの責任は？保険の適用を含め対処法を解説

飛び石の傷を見つけたら応急処置をして保険会社に相談を

飛び石による被害を発見した場合は、応急処置をして保険会社に連絡する必要があります。等級が1段階下がるか、免責がある場合もありますが、有利な補償が得られるかどうかは、個々の状況次第です。

フロントガラスの交換が15万円と高額な場合、保険に加入する方が賢明な選択かもしれません。

フロントガラスに飛び石による傷を発見した際は次のような対処をすることを推奨します。

保険会社と提携している修理工場もありますが、費用の総額やサービスの質を確認するために、自分で自動車ガラスの専門店などから見積もりを取るのがベストです。

どれだけ保険料が上がるか？で判断する

車両保険を適用してフロントウィンドウを交換した場合の出費額が、今後支払わなければならない保険料の上昇分を上回ってしまうのであれば。保険を適用するのがベストな選択と言えます。

逆に、出費額の方が安くなるのであれば、保険を使わずに自費で交換・修理を行った方が経済的です。

保険を適用した場合、保険料がいくら上がってしまうかということについては、契約している保険会社に問い合わせれば概算を出してくれます。

ただし、保険料の改訂・車の買い替えなどによって保険料は変わってしまいます。問い合わせ時に概算を出してもらったとしても、正確な金額というわけではないので注意してください。

フロントガラスの修理(補修)費用や交換費用

フロントガラスの傷の状態によっては、修理(補修)か交換かで費用が大きく変わってきます。保険適用するか、しないかの判断をするための参考として費用相場を紹介します。

修理(補修)の費用相場

フロントガラスを修理する際の費用相場は、1万2千円〜2万5千円ほどです。

フロントガラスの傷消し料金は、傷の深さや長さによって変わってきます。傷は大きく分けて以下のような特徴があります。

「深くて長い傷」の修理料金が最も高く、2万5千円ほどの費用がかかります。あくまで目安の料金なので、ディーラーや専門店によって、料金が変わると思っておいてください。

フロントガラス交換の費用相場

修理にも限界があり、大きい傷や深い傷であれば、ガラスの交換も検討しなければなりません。ガラス交換の費用は車やガラスの大きさ、純正ガラスを使用するかどうか、特殊化加工が必要かどうかによっても変わってきます。

交換費用に関して、目安となる金額を以下にまとめたので参考にしてください。

フロントガラスの交換費用に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

フロントガラス交換の費用って？軽自動車・普通車のガラス交換はどこですべきか、車両保険の活用とあわせて解説

ボディの修理費用

ボディの修理費用は、以下が費用相場になります。

傷が大きかったり、凹んでいたりすると修理費用は高くなります。ディーラーや専門店によって費用は異なりますが、板金業者にお願いすると費用が安くなります。

フロントガラスと同様に、費用に関しては複数の専門店から見積もりをもらって、比較するようにしてください。

ちなみにバンパーやボンネットだけの修理の場合、軽い擦り傷なら3,000円〜5,000円ほどの費用で済む可能性があります。

走行中に飛び石の被害を受けたときの対処法

ボディの傷に関しては被害を受けたときよりも、時間が経ってから気付くことがあります。しかし、フロントガラスに飛び石の被害を受けたときは、傷が大きいほどすぐに気付く場合が多いです。

フロントガラスに傷ができると視界が遮られることがあるので、被害に気が付いたらすぐに安全な場所に停車して、ダメージの状態を確認してください。

被害を受けてしまった時に取るべき行動

飛び石が車に当たり、ガラスが割れてしまったなどの被害にあってしまった場合、

安全な場所に停車する

まずは安全な場所へ移動して停車してください。

見た目が小さい傷だとしても、走行中の風圧や振動などで傷が広がってしまう可能性が高いです。

安全性の確保のためにも、まずは冷静に応急処置を施すよう動きましょう。

ダメージの状態を確認する

駐車場の確保ができたら、傷の程度を判断します。10円玉以下の傷でしたら、修理(補修)で対応できる可能性がありますが。10円玉以上の傷は、ガラスを交換する対応になります。

加入している保険会社へ連絡を入れる

保険会社は飛び石などの問い合わせにも対応してくれるので、傷の度合から走行ができるかどうかまでを判断してくれることがあります。

走行ができないと判断された場合は、そのままロードサービスに連絡をしてくれます。

修理や保険を請求する手順や必要なものまでも説明してくれるので、落ち着いて説明を受けるようにしてください。

できるだけ飛び石被害に遭わないような走りを心がける

特に高速道路の走行は、飛び石被害が発生しやすい状況に晒されています。

飛び石の被害にできる限り遭わないようにするためには、以下の2点に留意した走行を心がけましょう。

前方車両との車間距離を長く取る

前方を走る車が巻き上げて飛んでくる石は、いずれ重力にしたがって地面に落ちていきます。前方車両との車間距離が詰まっていると、飛び石の被害を受ける可能性が高くなります。

車間距離が短ければ短いほどそのリスクは高くなってしまうので、適切な車間距離をとるか、少し長めに車間距離をとって走行してください。

走行速度・車線変更を適切に

高速道路を走行する際、最も走行速度が上がるのが「車線変更」です。

前方を走行する車を追い越すためにスピードを上げた際、対向車線(対向の追越車線)から横方向に向かって石や異物が飛来し、被害を受ける可能性があります。

追い越した後は、適切なタイミングで走行車線へ戻りましょう。前方や周囲に砂利を積んだトラックなどが走行していないかを十分確認し、走行車線へ戻ってください。

追越車線を走行し続けていると、道路交通法に触れてしまうので注意してください。

飛び石の保険についてのまとめ

もしものときの損害をまかなってくれる車両保険を適用して、逆にお金で損をしないためにも、加入している保険の内容はしっかりと把握しておきましょう。