事故車ガラスの損傷は「車両保険」と「自己負担」のどっちが良い?

対向車から飛んできた石(飛び石)や思いがけない飛来物によって、フロントガラスに傷がついたり割れてしまったりすることがありますよね。
不慮のトラブルに心強いのが「車両保険」ですが、実はどんなトラブルの場合にも車両保険を適用するのが良いというわけではないということはご存知だったでしょうか。
今回の記事では、フロントガラスが損傷したときに、自費で修理代を払った方が良いのか、車両保険を適用した方が良いのか、この2点を判断するポイントを解説していきます。

目次
車両保険について
「自費で修理代を賄う」か「車両保険を適用する」かを判断する前に、車両保険について簡単に押さえておきましょう。
車両保険とは、交通事故、自然災害、盗難、いたずらなど、さまざまなトラブルによって車に損害が生じた際、修理費用などの補償を受けられる保険のことです。
保険会社や商品の内容によって多少の違いはあれど、認識としては車の損傷に対して補償を受けられるもの、と覚えておけば大丈夫です。
修理費用は自費で払う方が安く済む場合もある
車が損傷した際に車両保険を使った場合、翌年の等級がダウンしてしまう場合があります。
翌年の等級がダウンするということは、その分だけ保険料の負担が大きくなってしまうことと同義なので、場合によっては車の修理代金を自費で払うほうが負担額を安く抑えられます。
また、車両保険は保険料の金額を決めている「ノンフリート等級」という制度と、保険会社が負担する修理代を定めた「免責金額」が深く関係しています。
ノンフリート等級について
保険会社は、『ノンフリート等級』と呼ばれる1~20まである等級を設定しています。
通常、新規契約者は6からスタートし、1年間無事故であれば翌年は20に向かって1等級上がり、もし事故を起こした場合は3もしくは1等級下がるという仕組みです。
等級が高いほど事故や補償のリスクが少ない運転者と認められ、保険料は下がります。反対に、等級が低いと保険料は割高になります。
ノンフリート等級制度は2013年に改定されており、それ以前のルールとは大きく異なっている点があります。
飛び石によるフロントガラスの破損を例に挙げると、
【従来】
「等級据え置き事故」とみなされ、車両保険を適用しても翌年度も等級が変わらず、保険料も変わらない。
【現在】
車両保険を適用すると1等級下がり、翌年の保険料が上がる。
ということになります。
つまり、飛び石によってフロントガラスが損傷した場合には、車両保険を適用するかどうかを慎重に吟味する必要が出てくるのです。
車両保険を適用するとノンフリート等級が低くなる
車両保険を適用するとノンフリート等級が低くなり、翌年の保険料が割高になります。
言い換えると、車両保険を適用して修理代を負担してもらう代わりに、翌年の保険料が高くつくことになると言えます。
修理代よりも上がった保険料の方が高くついてしまう場合、車両保険を適用することで損をしてしまう結果になります。
保険料の値上がりまで含めて、見積もりをするようにしましょう。
「免責金額」にも注意
保険会社によっては、修理代の全額を負担してもらえるわけではないことにも注意が必要です。
保険加入者が負担する金額をあらかじめ定めた「免責金額」が設定されている場合、保険会社側は、修理代の総額からその免責金額を引いた金額までしか負担できません。
差額は自己負担になるため、その点についてはぜひ覚えておきましょう。
「車両保険の適用」or「自己負担」を判断する順序
①まずは見積もりを出す
費用を比較するために、まずは修理業者に修理代の見積もりを出してもらいましょう。損傷の状態、加入している車両保険の内容などにもよるので必ずとは言えませんが、車両保険適用を選択するめどとして、20万円を超えるかどうかが、一つの参考となるようです。
②保険会社と相談する
修理代の見積もりを出してもらったら、保険会社に相談しましょう。
- ノンフリート等級が下がった場合の保険料
- 免責金額を含めていくら支払う必要があるのか
など、車両保険を適用した場合にかかる金額を算出してもらってください。
自己負担額と保険適用額を比較すれば、最適なタイミングで車両保険を利用することができます。
車両保険の適用はトータルコストを把握してから判断する
全体の修理金額によって、車両保険を使うか自己負担で修理するかを判断するのがベストです。
たとえ修理代が微々たる額でも、事情によって資金的な余裕がない場合もあります。その際に車両保険を使うのは決して間違った判断ではありません。
最も避けるべきは「車両保険を使わず修理もしない」という結論です。
一時の判断によって自損事故でも交通事故でも、車に損傷が出てしまった時は必ず修理を行うようにしてください。
飛び石被害は相手が特定できても補償は難しい
飛び石の被害を受けた場合、たとえ先行車(加害側)を特定できたとしても先行車の対物保険で修理費用をカバーすることは非常に難しいと言われています。
なぜなら、一般的に飛び石は故意による事故ではないからです。
飛び石が故意によるものであれば相手に補償を求めることは可能なのですが、ほとんどの飛び石被害は相手側が意図したものではないことがほとんどであるため、先行車の対物保険で補償を求めることは非常に困難であるとされています。
ただし、砂利を積んでいる車がシートを被せていなかったり、積載物の安全対策を万全に行っていなかった場合は、相手が特定できれば損害賠償を請求できる場合もあります。
損害賠償請求をするためには確実な証拠が必要になるので、ドライブレコーダーの映像が大きく活躍してくれます。
最後に
今回は、フロントガラスが損傷し修理が必要な場合における車両保険の適用について説明しました。
修理が必要になると焦ってすぐに保険を使いたくなってしまいますが、まずは修理費用がどのくらいかかるかを把握し、適切に車両保険を適用するようにしていきましょう。

この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。