ハイドロプレーニング現象とは？現象が起こる速度や原因を解説

雨の多くなる季節、道路は雨水で水しぶきが上がるほどの状態になる日も多くなります。

雨天時の走行はもちろん、水たまりができた道路を走行する際に気を付けたいのが、「ハイドロプレーニング現象」です。

ハイドロプレーニング現象は、雨天時にスピードを上げると起こりやすく、梅雨やゲリラ豪雨が起こりやすい夏場は特に注意が必要です。

この記事では、ハイドロプレーニング現象が起こる原因や対処法について解説していきます。

ハイドロプレーニング現象とは？

ハイドロプレーニング現象とは、濡れた路面や水溜りの上を走行した際にタイヤが滑り、ブレーキやハンドル操作が全く効かなくなる現象のことです。

「水膜現象」「アクアプレーニング現象」と呼ばれることもあります。主に雨の日に高速道路で、この現象が発生しやすいです。

ハイドロプレーニング現象が起こると、路面とタイヤとの間に水膜ができることで摩擦力が失われ、「走る」「曲がる」「止まる」の全ての動作の制御ができなくなります。

ハンドルが軽くなったように感じ、車がふわっと浮いた感覚がしたあと、ブレーキが全く効かなくなり危険です。

そのため、ハイドロプレーニング現象が起こると、車の操作が困難になってスリップ事故が起こりやすくなります。

ハイドロプレーニング現象は「雨の日」と「時速80km」で起こりやすい

ハイドロプレーニング現象は、雨の日に車の速度が80km/hを超えると発生しやすい、と言われています。そのため雨の日の高速道路では、特に起こりやすい現象です。

タイヤは速度が上がるほど回転数が増えて、地面との接地時間が短くなるため、排水性が低くなります。

そのため、スピードが出た状態で水溜りに入ってしまうと、タイヤの排水能力が水のもつ粘度を処理しきれなくなり、タイヤと路面の間に水が残ってしまいます。

タイヤと路面の間に水が残ると、ブレーキが正常に効きません。

スピード以外でハイドロプレーニング現象が発生する５つの原因

ハイドロプレーニング現象は、雨の日に車の速度が80km/hを超えると発生しやすいですが、それ以外にも原因があります。

これらの場合は、一般道でもハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。

タイヤの空気圧が低い

タイヤの空気圧が不足すると、タイヤと路面との接地面積が大きくなります。接地圧が低下するため、タイヤと路面の間にある水を排水しきれなくなってしまい、ブレーキを効かせることが難しくなってしまいます。

タイヤのすり減り

タイヤのすり減り、溝が摩耗しきっているとタイヤの排水性が悪くなり、正常にブレーキが効きません。また、溝の内部に砂や小石などが詰まっていたり、異物が挟まっていたりすると、同様の状況になってしまいます。

スタッドレスタイヤを履いている

ノーマルタイヤ（サマータイヤ）よりもスタッドレスタイヤの方が、ハイドロプレーニング現象が起きやすいです。

スタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤと比べるとゴムがやわらかいため、路面に溜まった水をはじき飛ばすことが得意ではありません。

そのため、速度が上がると車が路面から浮いたような状態になりやすく、ハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。

スタッドレスタイヤを履いている時期、雨天時の高速道路では、慎重な運転が特に求められます。

深い水たまりの上を走行

路面に溜まった水の量が多いと、タイヤの溝だけでは排水しきれません。タイヤと路面の間に水が残り、スリップを引き起こしてしまいます。

タイヤの回転方向に指定がある場合、逆向きになっている

「トレッドパターン」と呼ばれる、タイヤの回転方向に指定がある場合、逆向きに装着されていると排水が追いつかなくなり、スリップが起きてしまいます。

ハイドロプレーニング現象が起こったときの対処法

ハンドルが軽く感じ、車が浮いたような感覚になったら、以下の手順で車を操作してください。

ハイドロプレーニング現象が起こってしまうと、車のコントロールが全く利かなくなってしまいます。

ブレーキを強く踏もうとしたり、ハンドル操作で何とか切り抜けようとしてもコントロールが効かないため、ますますパニック状態に陥ってしまい、状況が悪化してしまう可能性があります。

車の状態が落ち着くまでは成り行きに任せ、自然に停止するのを待ってください。

ハイドロプレーニング現象を未然に防ぐには？

ハイドロプレーニング現象の防止策は、雨天時の運転ではスピードを抑えること、タイヤの点検を定期的に行うことの2点です。

スピードを抑える

雨の日や雨天の後の道路では、スピードを抑えて走行しましょう。ハイドロプレーニング現象は雨の日だけでなく、水たまりが原因で起こる現象です。特に、車の速度を80km/hで走行する高速道路の運転は注意してください。

首都高速道路株式会社の調査によれば、「雨の日は晴れの日の、約4倍も事故が起こっている。」という結果が出ています。

雨天時の事故の原因は、スリップによるものが多いです。ハイドロプレーニング現象によって、スリップが起きている事例も見られます。

出典：首都高速道路株式会社｜雨の日に事故が多発しています

通勤ルートで水たまりができやすい道路を走行する場合、雨の日や雨天直後はルートを変えるのも一つの手段です。

定期的にタイヤの点検を行う

ハイドロプレーニング現象はタイヤの点検を定期的に行い、異常に気付くことで未然に防げます。タイヤの空気圧やタイヤゴムの摩耗状態を、月に一度のペースで重点的にチェックしてください。

タイヤの空気圧が低いと、車の燃費が悪くなったりタイヤゴムの摩耗が早くなってしまいます。

タイヤゴムが摩耗しているということは、タイヤが滑りやすくなっている状態なので、天候に関わらずスリップを起こしやすくなります。

定期的なチェックがどうしても難しい場合は、排水性の高いタイヤに変えてみましょう。

タイヤを含めた車の日常点検については、以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。

ハイドロプレーニング現象についてのまとめ

ハイドロプレーニング現象を起こさないためには、以下の3つを心掛けてください。

ハイドロプレーニング現象は、雨の日に車の速度が80km/hを超えると発生しやすい現象です。雨天時の高速道路の運転には、特に注意をはらいましょう。

雨の日は運転時の視界が悪くなるだけでなく、事故が起こりやすい道路状態でもあります。タイヤの状態を万全にした上で、必要以上にスピードを出さず、安全運転を心がけるようにしてください。