12月に交通事故が多くなる原因・事故時の対処法を解説

1年間を通して全国的に最も交通事故が多くなるのは12月ですが、その理由をすぐに答えることはできるでしょうか。
警視庁の発表によると、過去10年の統計からの傾向として交通事故による死亡者数が多くなるのは12月であることが分かっています。
12月は帰省や旅行で車を運転する人が多くなる時期です。交通事故を起こさない、交通事故に巻き込まれないためにも、冬の交通事故の原因、冬の運転や車の装備について、確認しておきましょう。
今回は、12月に交通事故が増える原因をはじめ、冬の運転のポイントについて解説していきます。
目次
12月に交通事故が多くなる理由
1年間の中で12月に最も交通事故が増える理由として、
- 日の入りが早い
- 路面凍結が起きる
- 帰省・繁忙期シーズン
この3点が主に挙げられます。
日の入りが早い
12月に交通事故が多くなる理由として考えられるのが、日照時間の短さです。12月は冬至などもあり、一年の中でも最も日照時間が短くなる月です。
警察庁の発表によると、平成28年~令和2年で起こった各時間帯の交通事故の傾向は、以下のように表れています。

参考:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html
(※警察庁の統計表より)
昼間は少ない『自動車 対 歩行者』の事故が薄暮~夜間に関しては大きく増加しているのが分かります。
これは、冬の薄暮(日没の1時間前後)は帰宅ラッシュとも重なるので、自動車や歩行者ともに交通量が自然と多くなるからです。
『冬の薄暮×交通量の多さ』から、日照時間が短い12月は特に交通事故が起きやすいのです。
路面凍結によるスリップ事故の増加
冬は、外の暗さに加えて路面凍結(アイスバーン)があります。
例えば、暗い道で歩行者や対向車に気付いて、慌ててブレーキをかけたとしましょう。しかし、路面凍結の影響でブレーキが間に合わなかったり、ハンドルが取られてスリップ事故が起きたりします。
寒い北国はもちろんですが、路面凍結や降雪後の道に慣れていない地域の人も、注意が必要です。
帰省・繁忙期シーズン
同じ冬でも、12月に交通事故が増加する要因としては、『師走の忙しさ』が挙げられます。
12月は帰省シーズンであり、正月に向けて食料や日用品を買い込む人が多くなります。また、繁忙期に差し掛かる企業も多くなることから、仕事や物流の関係で車の移動も多くなります。
『帰省シーズン×買い溜め×繁忙期』が相まって交通量が多くなるので、必然的に交通事故が増えてしまうのです。
警視庁による過去10年の統計データ
警視庁から発表されている過去10年の統計データを見てみましょう。

参考:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/toukeihyo.html
(※警察庁の統計表より引用)
令和2年に関しては、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言などの影響もあり、全体の交通事故死亡者数が減少しています。
しかし、緊急事態宣言が発令される前の1~3月よりも、12月の方が交通事故死亡者数は多くなっていることが分かります。
冬の運転で注意するべきポイント
冬の運転では、以下のことに注意してください。
- ヘッドライトを早めに点灯する。
- 対向車や歩行者に注意しながらハイビームを活用する。
- 昼夜問わず車間距離を充分に空け、スピードを落として走行する。
- 長距離ドライブ時はこまめに休憩をとる。
ヘッドライトを早めに点灯する
まず、早めにヘッドライトを点灯することで、対向車や歩行者に気付いてもらいやすくなります。12月頃になると17時前には日没を迎えるので、薄暗くなり始める16時半頃にはライトを点灯してください。
さほど交通量の多くない道では、対向車や歩行者の有無を確認しながらハイビームを活用することで、遠くに居る相手にも自分の存在を知らせることができます。
ただしハイビームのまま走行を続けてしまうと、強い射光によって前走車や歩行者の視界を遮ってしまうことがあります。走行や歩行の安全に影響を及ぼしてしまうので、対向車や歩行者に気づいたら必ずロービームに切り替えてください。
車間距離を充分に空ける
冬は路面が凍結します。交通量の多い昼間だけでなく、気温が著しく下がる早朝や夜間でも車間距離を十分に空けながらスピードを落として走行してください。
長距離ドライブ時はこまめに休憩をとる
また、冬の運転時は交通状況や路面の状況、気がかりなことなど、様々な方向に神経を使っています。帰省や旅行などの長距離ドライブ時はこまめな休憩をとり、心身ともにリフレッシュするようにしましょう。
雪道走行には特に注意を
冬は雪のシーズンでもあり、降雪・積雪時には特に注意して運転してください。いざというときのことを考えて、冬の車の装備は早めに済ませておきましょう。
本格的な冬が来る前に冬用の装備
本格的な冬が来る前に、以下の装備や確認をしておくと、冬でも安全運転で過ごせる可能性が高くなります。
- スタッドレスタイヤへの交換
- タイヤチェーンを常備しておく
- バッテリーやエンジンオイル、ワイパーやウォッシャー液の確認
- コーティングを施行する
ここで、スタッドレスタイヤは万能ではないことをぜひ覚えておいてください。スタッドレスタイヤのみでは、路面凍結や雪道の走行に対応しきれない場合も多くあります。
路面凍結が酷い日や雪の日は、スタッドレスタイヤ切り替えと同時にタイヤチェーンの装備をしておくと安全です。
冬の車の装備に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
最後に
今回は、冬の交通事故と12月に交通事故が増える原因について解説しました。
- 年末に車で帰省や旅行をする。
- 冬でも通勤で車をよく運転する。
- 降雪や積雪の多い寒冷地に住んでいる。
- 冬の運転に慣れておらず、雪道や路面凍結での運転の経験が少ない。
特に12月の運転には充分注意してください。他の月よりも交通量がぐんと増えるので、より安全運転を意識して運転しましょう。