子供を車内に放置した場合の危険性|法律や事例を交えて解説

トラブル

炎天下の車内は短時間で高温になり、子供にとって命の危険が伴います。特に乳幼児は体温調節が未発達であり、熱中症を発症しやすくなり非常に危険です。

過去には車内放置による死亡事故も発生しており、社会全体で防止に取り組むことが求められています。

「少しの間だから大丈夫。」と油断せず、たとえ数分でも子供を車内に残さないことが重要です。

今回の記事では、子供を車内に放置した場合の危険性を中心に、法律の知識や事例を交えて解説していきます。

危険|子供を車内に放置した場合のリスク

子供を車内に放置した場合のリスク

子供を車内に放置した場合のリスクとして、まず挙げられるのが「熱中症」です。特に夏場は、30分で車内温度が50℃を超えるため非常に危険です。

外気温25℃で子供は熱中症になる危険性がある

外気温が25℃の場合、車内の温度は急速に上昇し、短時間で子供が熱中症になる恐れがあります。

JAFの調査によると、直射日光の当たる車内では、外気温が25℃でも1時間後には車内温度が約37〜44℃に達することが確認されています。

特に乳幼児は体温調節機能が未発達であり、熱がこもった車内では体温が急激に上昇し、命に関わる事態になり危険です。

たとえ短時間でも、子供を車内に残すことは避けてください。車を離れる際は必ず子供を連れて行き、車内の温度上昇による危険を防ぎましょう。

出典:約55%が子どもを車内に残してクルマから離れたことがある!?ゴールデンウィーク、クルマでお出かけの際にはご注意を! | JAF

夏は15分の車内放置でも熱中症になるリスクが高い

JAFの別の調査では、炎天下の車内に子供を放置すると、「エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数が危険レベルに達した。」という結果が出ました。

出典:車内温度/夏(JAFユーザーテスト)

夏の炎天下では、車内の温度が急速に上昇し、30分で50℃を超えることがあります。

特に子供は体温調節機能が未発達であり、高温の環境では短時間で熱中症を発症する危険性が高いです。

窓を少し開けても車内の温度上昇を防ぐ効果は限定的であり、エンジンを停止した車内では熱がこもりやすくなります。

高温の車内では脱水症状や意識障害を引き起こし、最悪の場合は命に関わる事態になる恐れがあります。

夏場は5分〜10分ほどのわずかな時間でも、子供を車内に残すと危険です。炎天下での車内放置による危険を避けるためにも、車を離れる際は必ず子供を連れて行ってください。

法律|子供を車内に置き去りした場合の罰則

車内に子供を置き去りにする行為は、児童虐待に該当する可能性があり、法律で罰則が定められています。

日本の「児童虐待防止法」では、長時間の放置は監護義務の怠慢とみなされ、刑法第218条の「保護責任者遺棄罪」に問われる場合があります。

刑法第218条:保護責任者遺棄等

老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
(原文ママ)

引用:刑法 | e-Gov 法令検索

この罪に該当すると、3ヶ月〜5年以下の懲役刑が科されます。さらに、子供が死亡した場合は「保護責任者遺棄致死罪」となり、より重い刑罰が適用されることもあります。

疑問|エンジンをかけてエアコンをつけていれば問題ないか

エンジンをかけてエアコンをつけていれば、子供を放置しても問題ないか?

「少しの時間だけなら大丈夫か。」
「エンジンをかけてエアコンをつけていれば問題ないか。」

といった具合に考えて、思わずエンジンをかけてエアコンをつけたまま、子供を車内に放置する人もいるかもしれません。

しかし、ドライバーが車を離れる際はエンジンを止めなければいけないことが、「道路交通法」により定められています。

道路交通法第71条

車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること。

引用:道路交通法 | e-Gov 法令検索

反則行為名は「停止措置義務違反」で、違反点数が1点つきます。反則金は普通車が6,000円、大型車が7,000円を支払うことになります(刑事処分の場合は5万円以下の罰金)。

約55%の親が車内に子供を放置したことがある

約55%の親が車内に子供を放置したことがある

JAFの調査によると、約55%の親が過去に車内に子供を残した経験があることが判明しています。

この調査では「短時間であっても車を離れたことがある。」と回答した人が、半数以上を占めました。

その理由として「買い物や送迎のためすぐ戻る予定だった。」「子供が寝ていたため起こしたくなかった。」などが挙げられています。

車内に放置して、小さい子供が亡くなるというニュースを時折目にしますが、どこか他人事のように思っている人も多そうです。

現在では4月や10月でも、気温が25℃を超える日も珍しくありません。車内は短時間で高温になり、熱中症の危険があるため、数分でも子供を車内に残すことは避けるべきです。

出典:約55%が子どもを車内に残してクルマから離れたことがある!?ゴールデンウィーク、クルマでお出かけの際にはご注意を! | JAF

過去の事例|子供を車内に置き去りして起きた事件

故意ではないとしても、うっかりミスなどのヒューマンエラーにより、子供が車内に放置されて事件に発展することがあります。

こちらでは、ヒューマンエラーによって発生した、子供を車内に置き去りして起きた過去の事件を2つ紹介します。

「自分は子供を車内に置き去りにすることはない。」と過信せず、自分事として見ていただけると幸いです。

保育園に送るのを忘れた父親が車内に2歳の子供を放置(大阪:2022年11月)

2022年11月12日、大阪府岸和田市で、2歳の女児が車内に約9時間置き去りにされ、熱中症で死亡する事件が発生しました。

父親は朝、保育所に送るために娘3人を車に乗せましたが、次女を預けるのを忘れ、そのまま帰宅。

夕方、保育所に迎えに行った際に次女が登園していないことを知らされ、車内を確認したところ、意識不明の状態で発見されたとのことです。

女児は病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。この事件を受け、保育施設や保護者の安全管理の重要性が改めて認識されました。

参考:車内で長時間置き去りか、2歳女児死亡 父親「保育所に送り忘れた」

通園バスで3歳女児を置き去りに(静岡:2022年9月)

子供を車内に放置して事件に発展するのは、一般家庭だけとは限りません。

2022年9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で、3歳の女児が通園バスに置き去りにされ、重度の熱中症で死亡する事件が発生しました。

女児は午前8時50分頃に登園したものの、車内に約5時間取り残され、午後2時過ぎに職員が発見します。

発見時には体温が40℃近くまで上昇しており、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。

この日は園長が代理で運転をしており、降車時の確認が不十分だったことが原因とされています。

事故を受け、政府は全国の通園バスに安全装置の設置を義務付ける方針を決定しました。

参考:通園バス置き去り3歳女児死亡 元園長に禁錮1年4か月の実刑判決 | NHK | 事件

子供の車内放置を見かけたら通報するべき?

子供の車内放置を見かけた場合、警察(110番)や消防(119番)への通報が推奨されています。また、児童相談所への連絡も有効な手段です。

子供を車内に放置する行為は、熱中症の危険があるだけでなく、児童虐待(ネグレクト)とみなされる可能性があります。

特に炎天下では短時間で車内温度が急上昇し、命に関わる事態になることもあり非常に危険です。

通報は子供の安全を守るための重要な行動であり、ためらわずに対応することが求められます。車内放置は危険な行為であり、社会全体で防止に努めることが大切です。

子供を車内に放置についてのまとめ

  • 気温が25℃のとき、子供を車に放置すると熱中症になる危険性がある
  • 夏の炎天下では、エンジンを止めて子供を放置すると、15分で熱中症になる危険性がある
  • エンジンをかけてエアコンをつけて車両を離れるのは法律違反

子供を車内に放置した挙句、命を絶つ事件は毎年のようにニュースで目にします。保護者の意識を高めることが、悲劇を防ぐ第一歩です。

子供の安全を守るために、車内放置の危険性を正しく理解し、周囲と協力して予防に努めましょう。

この記事の監修者

GlassD吹浦先生

DUKS  府中店 営業事務

吹浦 翔太

業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。

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