無車検運行とは?車検切れの車で公道を運転した場合の罰則を解説
車検切れした車で公道を走行すると〝無車検運行〟となり、厳しい罰則が科せられます。「うっかり知らずに運転してしまった」では済みません。
とはいえ、車検に出すタイミングと仕事やプライベートの忙しさが重なった場合に、気が付いたら車検が切れてしまう可能性はあります。その場合、公道を走行することはできないので、ディーラーや業者に引き取りに来てもらうのがベストです。
この記事では、無車検運行を走行した場合の罰則、対処法、リスクについて解説していきます。
目次
無車検運行の罰金・違反点数は?
無車検運行とは、車検切れした車で公道を運転することです。こちらでは、無車検運行の罰則について解説していきます。
無車検運行は6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金
車検切れした車で公道を運転すると「無車検運行」にあたり、道路運送車両法第五十八条の違反となり、同法第百八条の処罰の対象です。
車検切れの車で公道を走行した場合の罰則については、以下の表を参考にしてください。
無車検運行 (車検切れ) | 無保険運行 (自賠責保険切れ) | 無車検運行+無保険運行 | |
---|---|---|---|
罰則や罰金 | 6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金 | 1年以下の懲役 又は50万円以下の罰金 | 1年6ヶ月以下の懲役、又は80万円以下の罰金 |
行政処分 | 30日間の免停処分 | 30日間の免停処分 | 90日間の免停処分 |
違反点数 | 6点 | 6点 | 6点 |
無保険運行も合わせると1年6ヶ月以下の懲役、又は80万円以下の罰金
無保険運行とは、自賠責保険の期限が切れているのに公道を運転する行為です。車検と同様に自賠責保険に加入していないと、公道で車を走行することはできません。
車検の期限は基本的に24ヶ月ですが、自賠責保険でも多くの人が24ヶ月の期限で加入していることでしょう。車検のタイミングで、同じく自賠責保険も更新できるので、まとめて作業を済ませられるからです。
そのため、車検切れと同様に自賠責保険の期限にも注意してください。両方とも期限切れで、公道を走行した場合は重い懲役、もしくは罰金が科せられます。
自賠責保険(強制保険)については、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
無車検運行をすると一発で免停処分に
違反点数の場合は累積点数が6点になると、30日間の免許停止処分になります。無車検運行や無保険運行をすると、6点の違反点数になるので一発で免停です。
また、免停が解除になると点数は0点にリセットされますが、前歴(行政処分前歴)が付きます。前歴が付いてしまうと処分内容が厳しくなり、前歴が2回以上のドライバーが無車検運行をすると、免停ではなく「免許取消処分」となるので注意しましょう。
交通違反の点数制度については、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
車検切れした車の「所有」だけでは罰則対象にならない
車検切れの車の罰則は、「あくまで公道を走行した場合」のみです。そのため、車検切れの車を所有しているだけでは罪に問われません。
公道での走行なので、私有地や私道での走行も罰則は発生しないです。とはいえ、車で自由に走行できるだけの広い私有地を持っている人は少ないでしょう。
基本的に車は公道で走行するものなので「車検が切れたら運転できなくなる」と考えて良いです。
車検切れした車にも自動車税はかかる
自動車税は車検切れしていようがいまいが、車を所有している全員に納税義務が発生します。車検切れで車を全く運転していない車に税金を払うのはもったいないです。
自治体によっては、車検切れの車の自動車税を保留扱いにして、後からまとまった金額を請求する場合もあります。このケースだと、一度に多額の税金を請求されるかもしれません。
車検切れの車を放置していると、公道で車を走行できない車に税金を支払わなければいけなくなるので、早めに対処するのがベストです。
無車検運行で事故を起こした場合のリスクについて
無車検運行で事故を起こしたら、罰則が重くなったり最悪の場合は逮捕されたりします。また、加入している保険の補償が適用されない可能性が高いです。
さらに重い罰則、最悪の場合は逮捕される
無車検運行で事故を起こした場合、当然ながら罰則は重くなります。車検切れの罰則と事故の罰則の両方が課されるためです。
また、車検切れが悪質・故意だと判断された場合は逮捕される可能性もあります。
- 車検切れを長期にわたって放置している
- 前歴が多い
このようなケースは、逮捕されると考えて良いでしょう。
保険の補償が出ない可能性が高い
車検切れと同じく、自賠責保険切れの場合も事故による補償が発生しません。任意保険の場合も、車両保険や人身傷害保険の補償について支払われないケースがあります。
また、任意保険の対人賠償は、自賠責保険の上乗せが一般的です。自賠責保険の補償範囲分については自己負担になると考えてください。
車検の有効期間、車種別一覧表
自家用乗用車の車検の有効期限は、新車登録から初回の検査が3年間、以降は2年ごとに車検を受ける必要があります。普通自動車も軽自動車も、年数に違いはありません。
自家用乗用車も含めて、貨物車など車検の有効期限を以下の表にまとめたので参考にしてください。
主な車両と年数 | |
---|---|
自家用乗用車 | ●普通自動車、軽自動車、小型自動二輪車(250CC以上のバイク) →初回車検3年/2回目以降2年 |
自家用貨物車 | ●総重量8t以上 →初回車検1年/2回目以降1年 ●総重量8t未満 →初回車検2年/2回目以降1年 ●軽貨物車 →初回車検2年/2回目以降2年 |
特殊用途車両 | ●キャンピングカー、教習車や消防車などの特殊用途 →初回車検2年/2回目以降2年 ●マイクロバス、幼稚園送迎車などの特殊用途 →初回車検1年/2回目以降1年 |
大型特殊車両 | ●クレーン車やフォークリフトなどの大型特殊車両 →初回車検2年/2回目以降2年 |
運送事業用車両 | ●旅客用の普通自動車(バス、タクシー、ハイヤー) →初回車検1年/2回目以降1年 ●旅客用の軽自動車 →初回車検2年/2回目以降2年 ●貨物運送事業トラック(総重量8t以上) →初回車検1年/2回目以降1年 ●貨物運送事業トラック(総重量8t未満) →初回車検2年/2回目以降1年 ●貨物運送事業トラック(軽自動車) →初回車検2年/2回目以降2年 |
レンタカー | ●普通自動車、小型自動車 →初回車検2年/2回目以降1年 ●軽自動車 →初回車検2年/2回目以降2年 |
車検が切れている車の対処法
車検が切れた車の対処法は車検を再取得するか、売却や廃車にすることです。
車検を再取得する
車検を再取得するには、仮ナンバーを取得して整備工場などの専門店に持ち込むか、ディーラーや車検代行業者に車を引き取りに来てもらう方法があります。
仮ナンバーを取得するには、各市区町村の役所に行き「自動車臨時運行許可申請書」に必要事項を記入します。
役所に行く時間がとれない場合は、ディーラーや車検代行業者の引き取りサービスを利用しましょう。業者のなかには、無料引取をしてくれる店舗も存在します。
車検の再取得については、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
売却するか廃車にする
車の走行距離や年数が長い場合は、売却して新しい車の購入費用に充てるのも良いでしょう。意外にも、車検切れだけでは車の買取最低額にはほぼ影響しません。
また、車が故障して動かない等の理由で、車検切れした車を放置している場合は、廃車処分を検討しましょう。廃車は廃車買取業者に依頼するのがおすすめです。廃車買取業者に任せると、解体業者を探して問い合わせる手間や、運輸支局に足を運ぶ手間を代わりに行ってくれます。
売却にしても廃車にしても、注意点は4月1日を迎えると自動車税を支払う義務があることです。売却や廃車をする場合は、3月中に手続きを済ませてください。
廃車については、こちらの記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
無車検運行の罰則について、その他の疑問・質問
こちらでは無車検運行の罰則について、その他の疑問・質問を解説していきます。
運転中でなくとも、悪質だと判断された場合は運転中でなくても逮捕されます。
また、無車検運行が後から発覚すると、行政処分や刑事処分に科せられます。
ナンバー自動読取装置・Nシステムにより、車検切れが発覚する可能性があります。
このナンバー自動読取装置・Nシステムは、全国の道路にほぼ設置されています。Nシステムが設置されている道路を通ると、ナンバープレートが読み取られ、データベースで照会されて車検が切れていないかどうかが判断されます。
2018年9月~2019年3月の半年間で、43台となっています。
国土交通省の資料によるとNシステムを用いた結果、2018年9月~2019年3月の半年間で、37,403台中43台が車検切れして公道を運転していたと出ています。
出典:国土交通省|車検切れ運行車両対策の実施結果
無車検運行の罰則・罰金についてのまとめ
- 無車検運行をすると6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金
- 車検切れの車にも自動車税はかかるので、早めの対処を
- 車検が切れた場合の対処法は車検を再取得するか、売却や廃車にする
車検の期限は24ヶ月、つまり2年間です。フロントガラスに四角いステッカーが貼り付けられており、その数字が期日になります。 小さい数字が「年数」で、大きい数字が「月」です。少なくとも期限が切れる1ヶ月前には、車検に出すようにしましょう。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。