車の定期点検のペースは?車検と法定点検の違いも解説

愛車は、できるだけ長い間 運転できる状態をキープしたいですよね。
そのためには、人間も自分の体を健康管理するように、車も定期的にメンテナンスをする必要があります。
車は車検や法定点検といった、法律で義務付けられているメンテナンスが存在します。しかし、これは1年や2年に1回なので、細かく状態を把握するためには、日常点検が欠かせません。
今回の記事では、日常点検と法定点検の内容、車検と法定点検の違いについて解説します。
車の定期点検とは
車の定期点検とは、その名の通り定期的に車の状態を確認することです。自分で行う「日常点検」と、法律で義務付けられている「法定点検」があります。
日常点検とは、自分で車の状態をチェックするため、特に検査項目などは設けられていません。
法定点検は、ディーラーや専門店にお願いして、車のプロに詳しく車の状態を見てもらいます。
日常点検
頻度
車の日常点検は、月に1回がベストです。面倒に感じる人もいるかもしれませんが、車の内と外、全部 チェックしたとしても30分程度で終わるでしょう。
「毎月の第3土曜日に日常点検をする。」
「月のはじめ、もしくは月末に日常点検をする。」
など、習慣化しておくことが大事です。
費用
日常点検は、基本的には自分で行います。そのため、費用は一切 必要ありません。
ただし、エンジンオイルや冷却水などに漏れが見つかれば、修理や交換が必要です。その場合は、ディーラーや整備工場で費用を支払い、交換してもらいましょう。
内容
自分で行う日常点検の項目は、車の外側と内側の点検の2種類があり、以下の通りになります。
【外点検】
- タイヤの空気圧・損傷・溝の深さのチェック
- ランプが正常に点灯・点滅するか
- ワイパーブレード・ラバーが劣化していないか
- ガラスに汚れや傷がないか
- 車のすき間に異物がはさまっていないか
- エンジンオイル・冷却水などの残量確認
【内点検】
- エンジンのかかり具合が正常か
- ブレーキペダルの踏み応えに違和感はないか
- ハンドブレーキを引いたときに違和感はないか
- アクセルペダルに引っかかりはないか
- ウィンドウがスムーズに動くか
内点検については、普段からよく車を運転する人は、気付く場合があるでしょう。あまり車を運転しない場合は、外点検が終わった後に車を走行して、チェックしてみてください。
車の日常点検については、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてくださいね。
法定点検
法律で義務付けられた点検、と聞くと「車検」を思い浮かべる人が多いことでしょう。
しかし、車検とは別に「法定12ヶ月点検」「法定24ヶ月点検」といった、法定点検が存在します。
頻度
12ヶ月・24ヶ月の法定点検は、その名の通り1年に1度、2年に1度 受ける点検です。どちらも「道路運送車両法 第48条」によって、点検を受けることが義務付けられています。
【道路運送車両法 第48条】
自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない 引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000185 |
ちなみに、一般的な乗用車や軽自動車以外の、中小型トラック・バス・タクシーなどは、3ヶ月に1回や6か月に1回など、頻度に差があります。
費用
法定点検の費用の内訳は、主に以下の通りです。
【法定点検の費用】
法定12ヶ月点検 | 法定24ヶ月点検 |
・軽自動車:1万2000円前後 ・小型車・普通車:1万5000円前後 ・ハイクラス車:1万7000円前後 | ・軽自動車:2万円前後 ・小型車・普通車:2万5000円前後 ・ハイクラス車:2万8000円前後 |
お店によって差はありますが、上記がだいたいの費用相場です。これらのほかに、パーツの修理・交換が必要な場合は、別途 費用がプラスされます。
また、法定24ヶ月点検の場合は、2年に1回の車検と同時に行うのがほとんどです。そのため、これらの費用とは別に、車検の費用がプラスされると思ってください。
お店を選ぶ場合は、複数のディーラーや専門店から、見積もりをもらって比較しましょう。
値段が安いのはもちろん、サービス内容なども比較して、ベストなお店を選ぶようにしてくださいね。
内容
法定12ヶ月点検の検査項目は26項目あり、法定24ヶ月点検の場合は56項目になります。
全ての項目で、異常がないかチェックをしましょう。故障している場合、故障する疑いがある場合は、修理やパーツ交換が必要です。
それぞれの検査項目については、以下が主な内容になります。
【法定点検の点検項目】
法定12ヶ月点検 | 法定24ヶ月点検 |
【操舵装置】 (ステアリング) ・パワーステリングのベルトの緩みや損傷 【制動装置】 (ブレーキ) ・ブレーキペダルの遊び、効き具合 ・駐車ブレーキの踏みしろと、ブレーキの効き具合 ・ホースおよびパイプの漏れや損傷、取り付け状態 ・マスターシリンダー、ホイールシリンダー、ディスクキャリパーの液漏れ ・ブレーキディスクおよびパッドのすき間、パッドの摩耗 【走行装置】 ・タイヤの状態、ホイールナットやボルトの緩み 【動力装置】 ・クラッチペダルの遊び、切れたときの床板とのすき間 ・トランスミッションおよびトランスファーのオイル漏れ、オイル量 ・プロペラシャフトおよびドライブシャフトの連結部の緩み 【電気装置】 ・点火プラグの状態、バッテリターミナルの接続状態 【原動機】 (エンジン) ・排気の状態、エアクリーナーエレメントの状態、潤滑オイル漏れ、水漏れ 【排気管とマフラー】 ・取り付けの緩みと損傷 | ※法定12ヶ月点検と合わせて、主に以下の項目がプラスされています。 【走行装置】 ・フロントホイールベアリングおよびリアホイールベアリングの劣化具合 【緩衝装置】 サスペンションの取り付け部と連結部の緩み、劣化、損傷 ショックアブソーバーの油漏れ、損傷 【動力装置】 ・デファレンシャルのオイル漏れ、オイル量 【電気装置】 ・電気配線の接合部の緩みおよび損傷 【原動機】 (エンジン) ・燃料装置の燃料漏れ 【ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置】 ・ブローバイガス還元装置のメターリングバルブの状態、配管の損傷 ・燃料蒸発ガス排出抑制装置の配管損傷、キャニスターの詰まりと損傷、配管の損傷 ・一酸化炭素等防止装置の機能 【排気管とマフラー】 ・マフラーの機能 【フレームとボディ】 ・緩みと損傷 |
車検と法定点検の違い
車検と法定点検は、似ていると感じる人が多いでしょう。しかし、車検と法定点検では、意味や目的が異なります。
【車検と法定点検の違い】
- 車検:車の現在の状態に問題があるかどうかを検査する
- 法定点検:故障の防止。車の1年後の消耗や故障を見越して点検・整備する。
以上のように、法定点検の方が「車の健康診断」としての意味合いが強くなります。
法定12ヶ月・24ヶ月点検も、法律で義務付けられた点検ですが、実は受けなくても特に罰則はありません。
そのため、法定24ヶ月点検は2年に1回の車検と合わせて受ける人が一般的ですが、法定12ヶ月点検の方は、受けない人もいます。
しかし、車の状態を正常にキープするためには、法定12ヶ月点検もしっかりと受けた方が良いでしょう。
車検と法定点検の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてくださいね。
最後に
法定点検は、法律で義務付けられています。受けなかったとしても罰則はありませんが、1年や2年に1回 受けることで、車の寿命が伸びます。
点検を受けないと、故障するリスクが高くなります。検査費用が掛かかりますが、しっかりと点検を受けた方が、長期的に見てコスパが良いでしょう。
また、日常点検についても、季節の変わり目で注目したい項目があります。特に、夏の終わりや冬が来る前には、普段の日常点検よりも慎重にメンテナンスしてください。
季節ごとの点検・メンテナンスについては、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてくださいね。