車の定期点検(法定点検)とは?費用や内容、車検との違いも解説
愛車は、できるだけ長い間 運転できる状態をキープしたいものです。そのためには、人間も自分の体を健康管理するように、車も定期的にメンテナンスをする必要があります。
車はいつでも安全な状態で運転できるよう、定期的に点検を受けることが、法律で義務付けられています。
この記事では、車の定期点検の内容や、車検と定期点検の違いについて解説していきます。
目次
車の定期点検とは、一般的には「法定点検」のこと
車の定期点検とは、一般的には「法定点検」のことを指します。これは法律で義務付けられている点検で、法定12ヶ月点検と24ヶ月点検が存在します。
法律で義務付けられた点検、と聞くと「車検」を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、車検と法定点検は別で受けなければいけません。
車の定期点検(法定点検)の費用や内容について
こちらでは、定期点検(法定点検)の費用や内容について解説していきます。
検査のペース
12ヶ月・24ヶ月の法定点検は、その名の通り1年に1度、2年に1度 受ける点検です。どちらも「道路運送車両法 第47条・第48条」によって、定期的に点検を受けることが義務付けられています。
【道路運送車両法第47条】
引用:道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
(使用者の点検及び整備の義務)
第四七条 自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。
【道路運送車両法 第48条】
自動車(小型特殊自動車を除く。以下この項、次条第一項及び第五十四条第四項において同じ。)の使用者は、次の各号に掲げる自動車について、それぞれ当該各号に掲げる期間ごとに、点検の時期及び自動車の種別、用途等に応じ国土交通省令で定める技術上の基準により自動車を点検しなければならない
ちなみに、一般的な乗用車や軽自動車以外の、中小型トラック・バス・タクシーなどは、3ヶ月に1回や6ヶ月に1回など、頻度に差があります。
定期点検(法定点検)の費用
法定点検の費用の内訳は、主に以下の通りです。
法定12ヶ月点検 | 法定24ヶ月点検 |
---|---|
・軽自動車:1万2000円前後 ・小型車、普通車:1万5000円前後 ・ハイクラス車:1万7000円前後 | ・軽自動車:2万円前後 ・小型車、普通車:2万5000円前後 ・ハイクラス車:2万8000円前後 |
お店によって差はありますが、上記がだいたいの費用相場です。これらのほかに、パーツの修理・交換が必要な場合は、別途 費用がプラスされます。
また、法定24ヶ月点検の場合は、2年に1回の車検と同時に行うのがほとんどです。そのため、これらの費用とは別に、車検の費用がプラスされると思ってください。
お店を選ぶ場合は、複数のディーラーや専門店から、見積もりをもらって比較しましょう。値段が安いのはもちろん、サービス内容なども比較して、ベストなお店を選ぶようにしてください。
定期点検(法定点検)の検査内容
法定12ヶ月点検の検査項目は27項目あり、法定24ヶ月点検の場合は57項目になります。全ての項目で、異常がないかチェックをしましょう。故障している場合、故障する疑いがある場合は、修理やパーツ交換が必要です。
それぞれの検査項目については、以下が主な内容になります。
法定12ヶ月点検 | 法定24ヶ月点検 |
---|---|
【操舵装置】(ステアリング) ・パワーステリングのベルトの緩みや損傷 【制動装置】 (ブレーキ) ・ブレーキペダルの遊び、効き具合 ・駐車ブレーキの踏みしろと、ブレーキの効き具合 ・ホースおよびパイプの漏れや損傷、取付状態 ・マスターシリンダー、ホイールシリンダー、ディスクキャリパーの液漏れ ・ブレーキディスクおよびパッドのすき間、パッドの摩耗 【走行装置】 ・タイヤの状態、ホイールナットやボルトの緩み 【動力装置】 ・クラッチペダルの遊び、切れたときの床板とのすき間 ・トランスミッションおよびトランスファーのオイル漏れ、オイル量 ・プロペラシャフトおよびドライブシャフトの連結部の緩み 【電気装置】 ・点火プラグの状態、バッテリターミナルの接続状態 【原動機】 (エンジン) ・排気の状態、エアクリーナーエレメントの状態、潤滑オイル漏れ、水漏れ 【排気管とマフラー】 ・取り付けの緩みと損傷 【車載式故障診断装置】 ・スキャンツールを使い、自動運転技術や安全装置に異常がないかを確認 | ※法定12ヶ月点検と合わせて、主に以下の項目がプラスされています。 【走行装置】 ・フロントホイールベアリングおよびリアホイールベアリングの劣化具合 【緩衝装置】 ・サスペンションの取り付け部と連結部の緩み、劣化、損傷 ショックアブソーバーの油漏れ、損傷 【動力装置】 ・デファレンシャルのオイル漏れ、オイル量 【電気装置】 ・電気配線の接合部の緩みおよび損傷 【原動機】 (エンジン) ・燃料装置の燃料漏れ 【ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置】 ・ブローバイガス還元装置のメターリングバルブの状態、配管の損傷 ・燃料蒸発ガス排出抑制装置の配管損傷、キャニスターの詰まりと損傷、配管の損傷 ・一酸化炭素等防止装置の機能 【排気管とマフラー】 ・マフラーの機能 【フレームとボディ】 ・緩みと損傷 |
車の定期点検(法定点検)の期限を過ぎた場合の罰則は「なし」
法律で義務付けられている法定点検ですが、実は検査を受けなくても罰則はありません。また検査する期間が、早くなってしまっても問題ないです。
ただし車は安全な状態をキープしないと、運転中に異常が発生して事故を起こす危険性が高くなります。一定期間ごとに点検を実施することにはしっかりと意味があるため、決められた期間で定期的に点検をするのが理想です。
車検と法定点検の違い
車検と法定点検は、何となく似ていると感じる人が多いでしょう。しかし車検と法定点検では、意味や目的が異なります。
車検と法定点検の内容や、受けなかったときの罰則などの違いについては、以下の表を参考にしてください。
車検 | 法定点検 | |
---|---|---|
内容 | 車の現在の状態に問題があるかどうかを検査する | 故障の防止 車の1年後の消耗や故障を見越して点検、整備する |
罰則 | 6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金 ※車検切れした車で公道を走行した場合 | 特になし |
以上のように、法定点検の方が「車の健康診断」としての意味合いが強くなります。また、法定点検は受けなくても特に罰則はありませんが、車検の場合は罰則が設けられています。
車検を受ける際に、ディーラーや整備工場などの代行車検に依頼する場合は、法定点検24ヶ月点検も合わせて行うのが一般的です。運輸支局に持ち込んで、自分で検査を行うユーザー車検を行う場合は、車検の前に法定24ヶ月点検を受けなければいけません。
そのため、法定24ヶ月点検は2年に1回の車検と合わせて受ける人が一般的ですが、法定12ヶ月点検の場合は検査を受けない人もいます。
車検と法定点検の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
日常点検も実は義務
定期点検(法定点検)以外にも、実は車のユーザーは日常点検をすることが、「道路運送車両法第47条の2」により義務付けられています。
【道路運送車両法第47条の2】
引用:道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
第四七条の二 自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
もちろん法定点検と同様で、日常点検を行わなくても罰則はありません。しかし車を安全な状態に保つには、日常点検を行うのがおすすめです。
こちらでは、日常点検のペースや内容について解説していきます。
検査のペース
車の日常点検は、月に1回がベストです。面倒に感じる人もいるかもしれませんが、車の内と外、全部 チェックしたとしても30分程度で終わるでしょう。
「毎月の第3土曜日に日常点検をする。」
「月のはじめ、もしくは月末に日常点検をする。」
以上のように、日常点検は習慣化しておくことが大事です。
検査の費用
日常点検は、基本的には自分で行います。そのため、費用は一切 必要ありません。ただし、エンジンオイルや冷却水などに漏れが見つかれば、修理や交換が必要です。その場合は、ディーラーや整備工場で費用を支払い、交換してもらいましょう。
検査の内容
自分で行う日常点検の項目は、車の外側と内側の点検の2種類があり、以下の通りになります。
外点検 | 内点検 |
---|---|
・タイヤの空気圧、損傷、溝の深さのチェック ・ランプが正常に点灯、点滅するか ・ワイパーブレード、ラバーが劣化していないか ・ガラスに汚れや傷がないか ・車のすき間に異物がはさまっていないか ・エンジンオイル、冷却水などの残量確認 | ・エンジンのかかり具合が正常か ・ブレーキペダルの踏み応えに違和感はないか ・ハンドブレーキを引いたときに違和感はないか ・アクセルペダルに引っかかりはないか ・ウィンドウがスムーズに動くか |
内点検については、普段からよく車を運転する人は、気付く場合があるでしょう。あまり車を運転しない場合は、外点検が終わった後に車を走行して、チェックしてみてください。
車の日常点検については、以下の記事でも詳しく解説しています。
車の日常点検が面倒な場合は「6ヶ月点検」を利用する
「仕事やプライベートが忙しくて、日常点検をする時間がない。」
「車の知識がないので、自分で点検をするのは何か怖い。」
そんな人は、6ヶ月点検を利用してみるのがおすすめです。法定点検は法律で義務付けられている車の点検ですが、6ヶ月点検は各自動車メーカーが推奨する車の点検になります。
名前の通り、6ヶ月ごとに行う車の点検です。ディーラーで新車を購入した場合、1回目の点検は無料で受けられ、2回目以降も数千円で検査することができます。
自分で日常点検ができないけど、車の状態を安全に保ちたい人は、6ヶ月点検を受けるのがおすすめです。
6ヶ月点検については、以下の記事でも詳しく解説しています。
車の定期点検(法定点検)についてのまとめ
- 車の定期点検とは、一般的には「法定点検」のこと
- 定期点検(法定点検)の期限を過ぎた場合の罰則はないが、車の状態を安全に保つには検査は必須
- 日常点検も定期的に行うことで、車を安全な状態で保ちやすくなる
法定点検を受けないと、故障するリスクが高くなります。検査費用が掛かかりますが、しっかりと点検を受けた方が、長期的に見てコスパが良いでしょう。
また、日常点検についても、季節の変わり目で注目したい項目があります。特に、夏の終わりや冬が来る前には、普段の日常点検よりも慎重にメンテナンスしてください。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。