絶対NG!不正改造車(違法改造車)とはどんな車が該当する?罰則や通報窓口も解説
2023年11月に、不正改造をした車からタイヤが外れ、幼児に衝突して亡くなるといった事故が、全国的にニュースになりました。
不正改造車とは「道路運送車両の保安基準」に適合しない車のことで、一歩間違えると大事故を起こすリスクがあります。
安全な交通社会を保つためには、車を不正改造しないことはもちろん、不正改造車を見たら通報することが大切です。
この記事では、不正改造車の基準から罰則、不正改造車を排除する運動と通報窓口について解説していきます。
目次
不正改造車(違法改造車)とは、道路運送車両の保安基準に適合しない改造車
不正改造車とは「違法改造車」とも言い、「道路運送車両の保安基準」に適合しない改造車のことを指します。
例としては、ライトの色を規定外のものにしたり、マフラーの切断や取り外したりすることが挙げられます。
不正改造車は「整備不良車両」とみなされ、取り締まりや罰則の対象です。罰則のほかには車検が通らなかったり、自動車保険の適用・契約ができなくなったりします。
そのため、保険期間中に違法な改造が行われた場合は、事故を起こしても保険金が支払われないケースがあります。
不正改造車の罰則は「6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」
不正改造の実施者については、「道路運送車両法第99条の2、第108条」により「6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」が設けられています。
また、不正改造の使用者の罰則に関しては「国土交通省|安全な車社会のために」から確認できます。
- 自動車が改造によって保安基準に適合しない状態にあるとき、使用者に対し必要な整備を行うことを命じることができます。
- 整備命令が発令された場合は必要な整備を行わなくてはならず、整備命令に従わない場合は、車両の使用停止命令や50万円以下の罰金の対象となります。
不正改造車の具体例9つ
こちらでは「国土交通省|不正改造車の具体例」の情報を元に、不正改造車の内容について解説していきます。
灯火類(ライト等)の灯火の色等
車の灯火類には意味があり、灯光色の変更を禁止しています。理由としては、ほかのドライバーや歩行者などに誤解を与え、危険であるからです。
ブレーキライトやウインカー等は、それぞれの灯光の色が定められており、その他の色を使用することなどにより、他の交通に誤認を与え事故を誘発する恐れがあります。
「道路運送車両の保安基準第34条、第36条〜第41条」では、灯火類の灯火の色等について以下の規定があります。
箇所 | 色 |
---|---|
車幅灯 (スモールライト/ポジションライト) | 白色であること |
番号灯 (ナンバープレート) | 白色であること |
尾灯 (テールライト) | 赤色であること |
制動灯(ブレーキライト) | 赤色であること |
後退灯(バックアップライト) | 白色であること |
方向指示器(ウインカー) | 橙色であり、点滅回数が毎分60回以上120回以下であること |
後部反射器(リフレクター) | 赤色であること |
運転席および助手席の窓ガラスへの着色フィルムの貼り付け
ドライバーの視野の妨げにならないよう、フロントガラスや運転席・助手席の窓ガラスには、可視光線の透過率70%未満の着色フィルム等の貼り付けを禁止しています(道路運送車両の保安基準第29条)。
ほかの車や道路標識、歩行者を含む他の交通状況を確認できないと危険であるためです。
フロントガラスのフィルムの基準については、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
ディーゼル車の排出する黒煙
ディーゼル車から多量の黒煙が排出されると、後方の車両の視界不良や、歩行者に健康被害が出て危険です。そのため、黒煙排出量に影響のある噴射ポンプの改変や規格外の軽油の使用を禁止しています。
「道路運送車両の保安基準第31条」では、黒煙汚染度規制値や光吸収係数規制値について規制があります。
黒煙汚染度規制値 | 光吸収係数規制値 |
---|---|
平成4年規制以前:汚染度50% 平成5・6年規制:汚染度40% 平成9~17年規制:汚染度25% | 平成21~30年規制:0.50m-1 |
タイヤおよびホイールの車体(フェンダー)外へのはみ出し
タイヤの回転部分が車体より突出していると、歩行者の被服等を巻き込む危険性があります。
「道路運送車両の保安基準第18条」では、車体より回転部分が突出することを禁止しています。
はみ出しタイヤについては、以下の記事でも詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
突入防止装置(リヤバンパー)の切断・取り外し 荷台さし枠の取り付け
突入防止装置(リヤバンパー)を、切断したり取り外したりすると、ほかの車が追突した場合に、追突した車両の車体前部が潜り込むのを防げなくなり危険です。
また、さし枠を取り付けて過積載の状態で走行すると、制動距離が延びるなどしてこちらも危険です。
「道路運送車両の保安基準第18条の2」と「道路運送車両の保安基準第27条」では、突入防止装置についての規制を設けています。
消音器(マフラー)の切断・取り外し
基準不適合マフラーの装着や、消音器の取り外しをすると、騒音で周囲に迷惑を与えます。ほかのドライバーや歩行者はもちろん、周辺に生活する人の生活環境を破壊して、騒音公害の原因になるからです。
「道路運送車両の保安基準第30条」では、騒音防止装置についての規制が設けられています。
平成22年4月以降の製作車に適用される消音機(マフラー)の基準については、こちらからご確認ください。
前面ガラス等への装飾板の取り付け
フィルムと同様に、「前面ガラス等への装飾板の取り付け」も禁止されています。
理由は「運転席および助手席の窓ガラスへの着色フィルムの貼り付け」と同じく、運転者の視野の妨げになり危険だからです。
基準外のウイングの取り付け
車のボディからはみ出したウイングは、歩行者に接触する危険性があります。「道路運送車両の保安基準第18条」により、基準外のウイングの取り付けが禁止されています。
ウイングの取り付けの基準は、主に以下の通りです。
- 側方への翼形状を有していないこと
- 確実に取り付けられていること
- 鋭い突起がないこと
- その付近の最外側、最後端とならないこと
速度抑制装置(スピードリミッター)の解除・取り外し
大型トラックは重量が重いため、高い速度で衝突すると大きな被害を与えます。
そのため、速度抑制装置(スピードリミッター)の装備義務があるトラックの、速度抑制装置の解除や取り外しが、「道路運送車両の保安基準第8条」により禁止されています。
取付対象車両 | 基準 |
---|---|
車両総重量8t以上、 又は最大積載量が5t以上のいわゆる「大型貨物自動車」 | 自動車が90キロメートル毎時を超えて走行しないよう燃料の供給を調整し、かつ、自動車の速度の制御を円滑に行えるものであること。 速度抑制装置を装着していることを示す黄色のステッカーが車室内の運転者の見やすい位置及び車両の後面に貼付されていること。 |
不正改造車を排除する運動と通報窓口について
国土交通省と、自動車関係32団体で構成する不正改造防止推進協議会では、「不正改造車を排除する運動」を実施しています。
活動内容は、主に以下の通りです。
- 不正改造を「しない」「させない」ための啓発等
- 街頭検査の実施
- 不正改造車に関する情報収集
具体的には、SNSやポスターで不正改造車の危険性を啓発し、各運輸支局等に「不正改造車・迷惑黒煙車情報提供窓口」を設置しています。
そして「不正改造車・迷惑黒煙車情報提供窓口」に寄せられた情報をもとに、不正改造車ユーザーへ改善報告を求めるハガキを送付するなど、不正改造車の排除のための諸活動をしています。
もしも「不正改造車かな?」と思う車があれば、「国土交通省|安全な車社会のために」からお住いの運輸支局を調べて通報することが可能です。
運輸支局の連絡時間は、平日9時〜17時(土日祝日・年末年始は休み)となっています。
不正改造車についてのまとめ
- 不正改造車とは「道路運送車両の保安基準」に適合しない車のこと
- 不正改造車の実施者については「6ヶ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金」の罰則が設けられている
- 不正改造車を見かけたら、各運輸支局に通報することが大切
不正改造車は大事故を起こすリスクを孕んでおり、実際に死亡者を出すことがあります。痛ましい事故を起こさないためにも、「車を不正改造しない」「不正改造車を見たら通報する」ことが大切です。
※ダックスの工場は、陸運局の認証工場になっています。不正改造車(違法改造車)は、修理することが出来ないのでご注意下さい。
この記事の監修者
DUKS 府中店 営業事務
吹浦 翔太
業務歴12年、現場での職務経験6年を経て今はお客様窓口の受注業務を担当しています。
現場で培った経験を活かしお客様に最善な修理をご案内しております。